対麺其四
新横浜ラーメン博物館で4日間開催された「河原成美の対麺」の最終日。今回のコラボ相手は何とラーメン店主ではなく辻仁成というフランス在中の作家?だそうだ。悪いけど自分は全く存じ上げない。そしてこの日だけ完全予約制。そんな有名人なのか?仕方なく手数料まで払って予約した。それでも混雑が予想されると説明書きがあったので入場開始のだいぶ前にラー博に到着。するとラー博会員側にはほとんど並びが出来ず、一方の一般入場口に長い長い行列が延びていった。一見すると女性客が多い印象なので辻仁成氏のファンの人達が多くやって来たのかも知れない。「対麺」予約者は入館後すぐQRコードを読み込み交換で食券を渡された。そして入口の階段とは別の銭湯側の階段を進むよう言われ店前に並んで開店を待った。あとメインのラーメン以外のサイドメニューやワイン、辻仁成氏の著書が券売機で発売されていた。サイドメニューの券だけ購入した。定刻に開店し初回入場出来た。厨房では河原成美氏が麺上げし、辻仁成氏の姿もあった。驚いたのは「そらのいろ」代表の宮崎氏が配膳と料理の説明を行っていたことだ。店員以外も関係者らしき人が大勢いた。
『天下無双のポルケッターメン』2000円
フランス在住だという辻仁成氏にちなんでフランス料理の手法を活かしたのが今回のラーメンだという。河原成美氏は本当にフランス料理が好きだね。
自分は「ポルケッタって何?」というところから始まる。薄いチャーシューが数枚別皿で先に提供されたが、これがポルケッタというものらしい。ローズマリー、パセリ、セージ、レモンの皮、ニンニク、オリーブオイルをペースト状にしたハーブのパテを豚バラ肉に擦り込み塩味をつけて一晩寝かして、その後フライパンで焼いてオーブンに入れたもの…らしい。提供時の宮崎氏の説明ではラーメンに入れると味変アイテムとして機能するようだ。それに春野菜を中心にしたハーブサラダが添えられていた。
麺は生パスタ用の小麦100%で作られた平打縮れ麺。パスタを連想させるようなかためな食感。でも縮れが強いので啜るとラーメンらしさは感じられる。スープは『博多一風堂』をベースにして2種の糀味噌と麦味噌、赤味噌を入れた味噌豚骨。味噌のしょっぱさは抑えられてまろやかな味わい。上にのっているのはカルピスバター、クレソン、半熟塩玉子半分。かかっているのはティムットペッパーというネパール産のスパイスだそうだ。麺の歯ごたえはよく上品な味わいの味噌豚骨スープはなかなか美味しかった。ポルケッタを数枚入れてみたけど自分の舌ではそれほど味変効果は感じられなかった。
サイドメニューはポルケッタを炙って細かくしたものにバルサミコ醤油ソースをかけた所謂チャーシューご飯。こちらにもカルピスバターとクレソンが入っていて、子供の頃好んで食べたマーガリン醤油かけごはんを思い出し懐かしさを感じた。両方とも完食。正直ラーメンを食べたというより高級で珍しい料理を食べたという食後感だったが、お祭りラーメンとして割り切れば貴重な体験込みで満足度は高かった気がする。厨房に向かって「ごちそうさまー」と声をかけて退店した。
「河原成美の対麺」怒涛の4日間が終わった。でも自分の予想だがこのシリーズ、何となくまだ続く気がしている。大企業になった『博多一風堂』では河原成美氏は逆に自分が自由に出来ることが少なくなってしまい、開業当初から深い関係を築き上げてきたラー博の「ラー博LIMITED」は彼の格好の遊び場になっているような気がするからだ。それ自体は決して悪い事ではないと思うよ。世の中にはラオタではなく『博多一風堂』のコアなファン、河原成美氏のコアなファンというのが結構いるんだなーと行列に並んで待っている間につくづく感じるし、そういう人達は大喜びはしているのだろう。でも特に『博多一風堂』に強い思い入れもない、おそらく一般的なラオタ層の自分からすると、河原成美氏の繰り出してくるラーメンは奇抜過ぎて戸惑うことが多い。だから楽しみで期待に胸踊るというふうにはならないというのが正直な感想だ。ラー博はあまり一部に偏ることなく、普通にラーメン好きな人間に喜ばれるであろう企画もして欲しいと思う。個人的には「あの銘店をもう一度」で再出店出来なかった店を「ラー博LIMITED」を使って復刻させるとかしてもらうと嬉しいのだけど。
それと今回で感じた懸念点。これは河原成美氏や『博多一風堂』に限ったことではないのだが、ラー博が完全予約制導入してしまったことに違和感を感じた。一般客の気持ちからすれば入口で入場料払って、更に事前予約しなきゃ入店出来ない店舗があるって理不尽に感じる人が出るんじゃないかな?個人的には「予約が必要になるラーメン店なんてラーメン店じゃない」という気持ちを持ち続けている。それがフランス料理店やイタリア料理店とは違う、ラーメン店の魅力を構成する大きなひとつになっていると思う。古い考え方だろうが、だ。
あともうひとつ。こっちの方がラー博の大問題なのだが、店の関係者と思しき集団を行列に並んでいる人間を尻目に開館前に入場・入店させるようなことは止めるべきだ。そんなのはしたけりゃ開店前夜や閉店後にすれば済むこと。これを放置しておけばいずれ炎上問題に発展するだろう。














































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