始昆布水
「昆布水つけ麺」というものに自分が初めて遭遇したのはJR大口駅近くの『中華そば 髙野』だったと思う。元々自分はつけ麺への興味が薄い方なので、「昆布水つけ麺」がラーメン界にかなり浸透した後と思う。これまでの濃厚魚介つけ麺とは全く別種の一品になっていて驚かされた。昆布水で味と食感を加えた冷たい麺を単体で楽しませてから、今度はアッツアツの鶏油を効かせた清湯醤油のつけ汁でその温度差込みでもう一度楽しめせるというコンセプトは発明だなと感じた。
その「昆布水つけ麺」の発案者が『69'nRollOne』の嶋﨑氏だと知るのは更に時間の経過を要した。ラーメン業界で一世を風靡した「鶏水系ラーメン」の発案者だというのは知っていたので「え?今のラーメン業界の流行を1人で2つ共生み出したのか?」って最初に聞いた時疑った。元祖の味に興味があったけど、当時嶋﨑氏は尼崎で店を経営していたのでそれは叶わなかった。そして嶋﨑氏が昨年9月25日新横浜ラーメン博物館で『ロックンスリー』を電撃出店。期待はしたけど「鶏水系ラーメン」のみの提供だったので「昆布水つけ麺」の登場を待っていた。
それがこの度ラー博倶楽部会員を対象に2日間各100杯限定で提供されると聞いたので早速行ってみることにした。整理券配布は午後3時から、提供開始が午後5時からと聞いていたので午後早めにラー博に到着して昼食として元祖「地鶏醤油」を再び食べてから整理券の列に並ぼうと思い、入館して早速店へ。店前の並びは無かったのでスムーズに入店。客入りは7~8割。この時厨房には嶋﨑氏の姿はなかった。
自分は鶏油好きだけどどちらかというとジャンクor老舗店に重きを置いているのでこの系統のラーメンはあまり食べない。だからたまに食べると美味しいなーと思う。スープ完飲の完食。
その後銭湯の階段の場所に移動し整理券配布の列に並んだ。配布時間の約1時間半前に並びそのまま店舗に移動し食券を購入後更に約2時間待って呼び出しがかかった。しかし開店時間が約10分ほど遅れた。長時間待った甲斐あって初回の入店が出来た。厨房中央には当然ながら嶋﨑氏の姿がありスタッフも10人近く居たと思う。
40分以上待ってようやく提供が開始された。まずは薬味が提供されて時間を置いてつけ汁、更に時間を置いて最後に麺が提供された。提供時店員に都度「ごゆっくりお召し上がり下さい」と言われたのだがその提供順だと全部揃うまで召し上がれないと思うのだが。ともかくようやく念願の「元祖 昆布水のつけ麺」を目の当たりにすることが出来た。
まずは麺側の丼。白くて長めのストレート細麺。結構な麺量があって驚いた。羅臼昆布、利尻昆布等5種類の昆布を使用して作ってしっかりしたとろみ感が出ている透明な昆布水に麺が浸かっており、その下には細かく切られたアカモク(キバサ)という海藻が忍ばされていた。具は姫みつば、酢漬け唐辛子、レモンスライス1枚、穂先メンマ2本、角切り鶏チャーシュー2個。
次にアッツアツの鶏水のつけ汁。中にはきざみ葱が多めに入っていて、丼の縁に大きめの豚チャーシューが1枚ペロンとかかっていた。別皿で提供された薬味は摺り胡麻、生姜、大葉、七味を混ぜたもの。
つけ麺自体あまり食べ慣れていない自分からすれば昆布水つけ麺をどう食べ進めれば良いか判らなかった。そんな人間に向けに食べ方指南の書かれたプレートが卓上に置かれていたのでそれに従って食べていくことにした。その内容を以下に記しておく。
①昆布水に浸かった麺をそのまま食べる…麺の下に隠れているアカモク(キハザ)は無理に引き出したり混ぜたりせず、自然に引き出されるように食べる。
②鶏スープに麺の下半分を浸けて食べる…全部麺を浸してしまうと麺の繊細な旨味がわかりずらくなってしまう。
③薬味は鶏スープに入れる他、麺や肉と合わせても良し。
④最後に残った昆布水と鶏スープを徐々に混ぜて濃度の変化を楽しみながらスープ割りを食す。
上記の食べ方で特に発見があったのは②の麺の下半分だけ鶏スープに浸けて食べる方法。これをすると最初は昆布水で滑りのある冷たい食感、後半に熱々の鶏油と醤油の味がひと啜りで楽しめた。鶏スープ側の温度低下も緩和出来る効果もあった。
ひとつのメニューで色々な味が楽しめるこんな料理を最初に創造した嶋﨑氏に改めてリスペクトの気持ちが湧き上がった。これを食べた他の多くのラーメン店主達が影響を受けていったのも納得の一品だった。ボリュームたっぷりだったしたっぷり待ってからの提供だったので約30分弱時間をかけてゆっくり楽しみ麺もつけ汁も両方完食した。ようやくオリジナルにありつけることが出来て大満足だ。
但し幾つか気になったこともあった。昆布水の粘度も量も計算されて美味しかったのだが、自分の想定していたものより昆布の味わいが希薄に感じてしまった。なのでレモンを絞って味をつけてから食べた。まあこれは自分の味の好みの問題として納得はしている。
もうひとつは提供時間について。整理券等の待ち時間のことは除外するとして店内に案内されてから提供される迄40分以上かかった。これはアッツアツの状態のつけ汁とキンキンに冷やした昆布水麺をあまり時間を置かずに提供しなくてはならないという商品の構造的な問題なのだと推測する。限定100杯とは言え最後の客に提供出来た時刻はどれほど押したのだろうか?と心配になったくらい。それを考えるとラー博の店舗でレギュラーメニューとして提供するのはかなり困難なのではと思えた。とにかく今回はオリジナルの昆布水つけ麺を食した貴重な体験が出来て良かった。





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