拉麺丼展
薄雲の白い空が広がり最高気温が30℃に迫る日々が続く5月下旬。けれども梅雨入り目前なので今週後半は雨降りの日が続くという予報が出ている。これから貴重になるであろう晴れの時間を有効活用したくて六本木まで出かける事にした。
ラーメン食べ歩きを続けている中で自分でも知らず知らず意識の中での「ラーメンどんぶり」への重要度が高くなっていったという意識はある。ブログに掲載する為ラーメンの写真を撮影し続けていたというのもあったかも知れない。ラーメンを食べる喜びを感じているのは決して味覚だけではない。視覚や触覚も大切な要素だ。例えば地方の老舗有名店へ行った時、その店の文字が掠れたいぶし銀のどんぶりを手に取った時「あーようやくこの店に来れたんだ!実現したんだー!」と実感して喜びがこみ上げてくる。スープを飲まないとどんぶりに書かれた店名の文字が現れて来ない問題は頻繁に発生する事だが、それもラーメンを食べ進めて店名の文字が現れていくことで視覚的に憧れの店のラーメンを確かに実食しているんだという喜びにつながっているのだと思う。
自分はラーメンイベントには基本的に参加しないようにしている理由のひとつに、発泡スチロールで出来た使い捨てどんぶりの存在がある。ただでさえ簡易厨房製作でラーメンの質が下がっているのにあの貧相な器で食べると物凄くテンションが下がる。『家系総本山 吉村家』のどんぶりがある日プラスチック製に変わっただけでも自分で驚くくらいショックを受けたくらいだから。
現在六本木東京ミッドタウン近くにある美術館で「ラーメンどんぶり展」という酔狂なイベントが開催されていることを偶然知って気になったので行ってみることにした。何でもラーメンどんぶりを趣味で収集している人が所有しているものの中から半分くらいを展示しているというのだ。世の中には様々な趣味をもつ人がいるからラーメンどんぶりを集めている人もいるだろうなとは思っていたけどまさか本当にいたというのは…。なにせ店のラーメンどんぶりって普通入手出来ない非売品だからね。コレクションしようとしたらかなりハードルが高いはずだ。趣味として成り立つかさえ疑問なくらいだ。それでもその人が収集したラーメンどんぶりの数は25年間で500杯。ラー博の所有数を超えているかも知れない。それらの実物を見られるというまたとない機会だ。
北は北海道から南は九州まで、だいたい地域順に展示されたラーメンどんぶりの数々。超有名店のものから全国チェーン店のものまで。実際遠征して手に取ったあの日の事を思い出す既知の店から既に閉店してしまった店、まだ未訪問で行ってみたいなあと思っている店や初めて名を聞く店まで。自分でも驚くくらいテンションが上がってしまった。自分がラオタであることを自覚する時間だった。
こうして改めて見ていくと「ラーメンどんぶり」って言うのは、多くの店主がかなりの思い入れて力を注いで製作を依頼しているんだなあと理解する事が出来た。勿論大切な仕事道具として作業効率とかの実用面でもあるだろうが、とにかく各店各々の個性が反映されていて美しく様式美に溢れている。集め始めたら止まらなくなってしまうのも理解出来る。
他に有名人やデザイナーがデザインした1品限りのラーメンどんぶりがいくつか飾られていたがそちらには全く興味は沸かなかったな。だって実際使われてもいない、店主の思い入れとか全く無いやつだから。なのでそのコレクター所有の展示物のコーナーだけ時間をかけて3周くらい見ていたよ。とても面白い展示会だったが惜しむらくは図録が販売されていなかった。欲しかったなー。こんなこと言ったらいけないけど、保管も大変だろうからラー博に寄贈して常時展示して欲しいと思ってしまった。というわけで自分的には有意義な時間を過ごせ大満足で家路についた。



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