長野黒麺
善光寺参拝と庵野秀明展の鑑賞を終え時刻はちょうど正午になっていた。今日の昼は昨日訪問予定だった店にダメ元でもう一度訪ねてみる事にした。長野放送局近くにある『中華そば しま田』という店だ。
善光寺前から巡回バスに乗り近くまで移動する。驚いた事に長野のバスってSuica使えないんだよ。しかも釣銭が出ない定額投入システム。今時こんな状況だと意図的に客の利便性を無視して頑なに対応しないようにしているとしか見えない。
最寄りのバス停で下車し5分ほど歩いて店に到着。暖簾が掛かって「商い中」と書かれた札が出てる!良かった!念願叶って訪問出来る!店前に待ち客の姿は無かったので早速暖簾を割った。まず目に入ったのが壁に幾つも貼られたメニュー名が書かれた紙。支那そばから始まり、塩、味噌、担々麺、麻婆ラーメン、九州とんこつラーメン、和歌山ラーメンまであるよ。創業年までは調べてもわからなかったが、店内の雰囲気からしてなかなかの年季が感じられた。厨房にはおじさん店主1人のみ。客席は逆L字型カウンター5席のみ…かと思ったら後客が勝手知ったるように厨房裏手に靴を脱いで入っていくのが見えた。きっと座敷席があるのだと思う。口頭で注文で料金後払い。先客3人後客2人。
昨日訪問した『ふくや』が黒いスープだったので何かしらのつながりがあるかも?と期待して黒中華そばを注文してみた。
麺は多加水中太縮れ麺。具はきざみ葱、もやし、平メンマ、海苔1枚、肉厚のバラチャーシュー1枚。スープは黒いが透明度が高く、飲んでみると所謂魚醤を使ったスープなのだろう。なので美味しいは美味しいのだが、昔ながらの中華そば的な素朴さは感じられなかった。この店のメニューのラインナップからすると、おそらくは…だが「富山ブラック」を意識して作ったんじゃないかな?と推測した。それもガチガチにしょっぱい本場富山のやつではなくて、他の地域に展開出来るようにした『麺家いろは』のラーメンをイメージしたのかな?と感じた。
この店のメニューの多彩さに話を戻す。「無駄が減るし客にも拘りイメージをアピール出来るからメニューを絞れ」というのがラーメン店経営的には正しいのだろう。でもここの店主は「ラーメンが好き」で色々作りたくなっちゃう人なのではと想像した。でなければあれほど共通点が少ない多種のご当地ラーメンを提供しようと思わないだろう。そんな風に思うと我がこの店に無意識に惹かれ訪問店に選んだ理由が今更ながら判った気分になり何だか嬉しくなった。ある意味我と同好の士なのだろうから。全部我の妄想なんだけどね。と言うわけで、当初我が勝手に期待した中華そばではなかったが大満足で支払いを済ませ笑顔で退店する事が出来た。
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