拉博三十
昨日から降り続いていた冷たい雨は今日の昼過ぎには止んだ。でもまだ冬の寒さが続いている。
新横浜ラーメン博物館は本日30周年目を迎えたそうだ。我が今日会社帰りにラー博を訪れたのはその30周年記念企画「あの銘店をもう一度」シリーズの新たな店が今日から営業開始するのでその店狙いだったのだが、それ以外にも様々なイベントが開催されていた。その最もたるものが『一風堂1994』でそれを記念する特別な「お祝いラーメン」を昨日と今日、杯数限定で提供するというもの。それには創業者である河原成美氏と、今や独立し各々が有名店店主になっているかつての弟子達を呼び寄せて共同で作り上げるという力の入れよう。昨日はラー博会員限定なのに整理券を配って1時間待ちの状況になったとか。
我は基本こういうイベントラーメンはスルーするのだが、ラー博到着時にその特別なラーメンが残り20杯を切っているという知らせが出されていた。こうなると悩むよ。どうしようか、一杯3000円もするぞ。でも店前に誰も並んでいない状況だったんだよ。「やらずに後悔するくらいならやって後悔しろ」という言葉を都合良く思い出し券売機で食券を買う決意をした。
その時ちょうど店前で河原成美氏とその弟子達が記念撮影していたのでちゃっかり背後から撮影してしまった。というサプライズがありつつ店内に案内された。
店員は河原成美氏を含め男10人弱と女店員1人。先客は3人くらいしかいなかった。後客は3,4人だったかな。これはラッキーなタイミングだったのだろう。食券を渡すと挨拶文と薀蓄が書かれた紙が入ったクリアファイルと太めの木製の箸が渡された。とてもラーメン店のメニュー名とは思えない。まるで映画のパンフレットだ。これは持ち帰ってOKなのだそうだ。別にいつもの割箸も渡された。
『30周年お祝いラーメン 誕生、そして生きる』3000円
単品3000円超えのラーメンは、もうすぐ18年目を迎える我の食べ歩き人生でも初だ。大きな特別製の有田焼の丼で提供された。
麺はパツパツ固めながら食感は小麦ねっとり感も感じる全粒粉入り極細ストレート麺。具は青葱と素揚げした牛蒡、吊るし焼きチャーシュー2枚と低温調理鶏チャーシュー1枚。スープは背脂がのった豚骨スープ。豚骨臭は皆無だが豚骨の旨みは十分に味わえた。構成自体は意外とシンプルな博多ラーメンで『博多一風堂』らしさは守っている一杯だった。
別皿には海苔1枚と桜玉子の味玉半分、米沢牛の牛すじ煮込みと和牛サーロインローストビーフが1枚。その上に柚子片がちょんと乗っている。茶碗にはひとめぼれと赤米と古代米を混ぜて炊いたもの。ラーメンの麺と具を食べ終わったらスープに投入するらしい。
高級食材の事等ほとんど知識も経験もない我だけど、麺もスープも食べ終わる最後の最後まで美味しいと感じ続けていたのは確か。具の中でも特に別皿のも含めチャーシューは今まで食べた事がないと断言出来るぐらい美味しいものだった。食べながら「すんげぇなぁ!」とか心の中で呟いたもん。けれど正直言えば3000円の価値はあるかどうかは個人的には微妙なところだった。確かに凄く美味しいとは思うのだが、1回3000円も払うに匹敵する満足度があったのか?とアラを探す事を考えそうになったのだけど、これはお祝いラーメン。無粋な事を考えるのは止めて貴重な経験が出来た喜びを噛みしめる事にした。
我がラー博を出る頃には残りあと僅かになっていると聞いた。帰りの電車に乗る頃にはXで売り切れたという知らせがあった。
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