百鬼夜展
このところ週末になる度展示会に訪問する日々が続いていて先週は名古屋にまで出張ってしまった。今週から一旦休止しゆったり過ごそうと思っていたのだが、今朝になって気になる展示会が開催されている事を知ってしまった。我が敬愛する漫画家水木しげる御大生誕100周年を記念した「水木しげるの妖怪百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」が横浜そごう6階で年明けから開催されていたらしいのだ。しかも開催期間は明日まで。これは行かなければなるまいと早速ネットで入場券を購入してから出向いた。
会場に到着したのは朝10時過ぎ。その時点で結構な入場者が来て少し混雑していた。
水木しげるの妖怪百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~
我は水木御大を敬愛しているので、御大の生前の頃から御大に関する展覧会は今までも数回訪れている。大体が御大の足跡やその作品群に寄り添った展示が中心だったのだが、今回は妖怪画に特化した展示になっていた。つまり御大の描いた妖怪画だけではなく、御大が収集した「鳥山石燕」等が江戸時代に描いた妖怪画も展示されているのでブースは基本撮影禁止だった。最初は漫画のネタ作りで収集されたのだが結果的には妖怪研究の第一人者となられた御大。貴重な絵を見る事が出来た。江戸時代に生きた人達が感じた姿なきものを具現化しようと試みた肉筆画はとても興味深かった。妖怪というのは山を歩いている時に何かの気配を感じた瞬間、または池なり川なり水の中になにか正体の判らぬ生き物が動いた瞬間等、怖いと感じる前の「あれ?」という違和感。それを他人に口伝した際に正体が判らぬ故色々な脚色がされて姿が与えられたモノ達だと理解している。今のようにスマホどころか電気もない、山や海に趣味で行く人々もそれほどいない。そんな時代の人々の警戒心から生まれた妖怪たち。山を一人で歩いて入る時に、こんな処に誰もいないはずなのに誰かが何かを水で研ぐ音(に似た音)が聞こえるのに姿が見えなかったら何を想像したのか<小豆洗い>。道を歩いているのに突然急激な寒気を感じた時何を想像したのか<震々>。冠婚葬祭等で多くの人達が家を出入りし慌ただしく心が落ち着けない状況の中、面識のない人が家の中に混じっていた(ような気がした)ら何を想像したのか<ぬらりひょん>。そういうのが伝わってきて面白い。妖怪画は一見荒唐無稽な姿に見えたとしても、その人が最初に「あれ?」と奇妙に感じた感覚は事実だし、それが「妖怪は本当にいる」と言えるのだと思っている。柳田國男らが収集した民間に伝わる話にある姿なきものに独自の鋭敏な感覚で形にして精密な絵にしてしまう御大。主役の妖怪より草むらとか木目とか背景の描き方が異常なくらい細かく凄かった。
アプリをダウンロードしてある部分にスマホのカメラを向けると妖怪が浮き出てくるなんていうアトラクションもあった。それは撮影可能だった。子供の頃に夢中になった御大の絵に久々に触れ会いあの頃を思い出す事が出来て楽しかった。出口にある売店で図録他を購入してから会場を後にした。
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