好来再訪
今回の名古屋訪問の目的は展示会がメインだったので、当初は見終わったらラーメン抜きで「ひつまぶし」でも食べて帰ろうと考えていた。しかし地方に出向いてラーメン抜きで帰るのは我には無理だった。出発3日前くらいからソワソワし始めてしまった。ネットで名古屋ラーメンランキングのようなものを見たのだが、上位にズラッと並んでいる店のラーメンは、我からすれば首都圏でも食べられそうなラーメンにしか見えなかった。全然興味が沸かない。地麺巡りを旨とする我なのでやはり名古屋でしか食べられないような老舗ラーメン店に行きたいのだ。
そこで選んだのは1959(昭和34)年創業の『好来道場』。別名「薬膳ラーメン」とも言われ、暖簾分け?された弟子達が「好来系」と言われる系統を愛知県内に勢力を広げている。でも首都圏に進出したような事は聞いた事がない。その好来系の祖である総本店『好来道場』へ我は約14年半前一度訪問している。その際基本のラーメン「松」ではなく、数量限定の文句に誘惑され、「快老麺」というおぼろ昆布が乗った特殊なメニューを注文しており、総本店の基本メニューを食べていなかった事が心残りだった。今回再訪してその心残りを溶かす事にした。
何とか正午前に店へ到着。店前に誰もいなかったので喜んで引き戸を開けて入店すると10人くらいの空席待ち客で店内はごった返していた。何せ1日80杯数量限定、営業は昼3時間のみ、日曜定休とハードルが高めなので土曜は混雑するようだ。店内隅に受付窓口があり先に口頭で注文し支払いを済ませると札が1枚渡される。その札の番号で呼ばれて着席するわけだ。

店内は独特の雰囲気がある。厨房には爺さん店主1人と注文受付接客担当の女店員1人。接客は好感がもてる。客席は厨房前に一列のカウンター10席と4人がけテーブル1卓。カウンター背後には待ち客用の一列の席がありそこに座る。約30分ほど待たされようやく札番で呼ばれ着席出来た。
念願の基本メニュー「松」を並で注文。因みにメンマ盛りが「竹」、チャーシュー麺が「寿」とこの店では呼んでいる。麺はもちもち食感の多加水中太ストレート麺。具はきざみ葱と太めのメンマ数本、柔らかチャーシューが標準なのに4枚も入っていた。スープは鶏ガラ7割、豚骨3割。そこに鰹やムロアジの魚介、更に玉葱、人参、大蒜を入れ6時間以上煮込んで作っているとか。薬膳と言われて想像するような薬のような根菜のような味わいは感じない。単にあっさりして優しい味わいの豚骨醤油っぽく感じる。
悪くはないのだけど食べ進めていく内正直物足りなさも感じて、卓上にある特製ラー油や高麗人参酢を投入して味変した。新店に入ってこれと同じ味のラーメンが提供されたら「味薄いなー」と不満に思ったに違いない。でも不思議とこの雰囲気のある空間で食べると味の物足りなさは感じつつも全然満足してしまう不思議。そして次々来店する客が絶えない人気ぶり。県外から来た部外者がピンと来なくても地元からは支持されているというのが「地麺」というものだ。それが判ると「訪れる事が出来て本当に良かったー!」と嬉しさが込み上げて来るんだよ。
ただ気がかりだったのが厨房にたった1人で立ち調理に当たっている店主が高齢に見えた事。暖簾分けした弟子はそれなりの数はいるのだろうが、ここ総本家の後継者らしい姿の人は見かけなかった。そして最近になって好来系の店も閉店が相次いでいると聞いた。貴重な名古屋好来系元祖であるこの店が『本牧家』本店みたいになってしまわないか心配だな。退店すると店前には10名くらいの行列が生じていた。




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