秋地獄谷
我は全国のご当地ラーメンを食べ歩く「地麺巡り」を通じて47都道府県を旅してきたのだが、それを通じてこの国の多様性と、それを内包しうる国土の広さを肌感覚で知る事になり、国内各地を訪問する楽しさに魅了されるようになった。この国が観光立国と言われ始めるずっと前からだ。せっかくこんな良い国土に生まれ育ったのだから訪れなきゃそれだけで人生大損だと思うようになった。全国の名の知れた名所だけでも膨大な数になるので、とても海外など目を向けている余裕はない。というかそもそも我は海外にあまり興味はない。
そこに約3年前、パンデミックという厄災に見舞われてしまい早々気軽に旅行へ出かけられない状況になってしまった。そこで我は旅に変わる趣味を見つけそこにシフトチェンジしたのだが、先月末それに一応の一区切りをつける事が出来たので、再び本格的に旅へ出かけようという気持ちになってきた。4月の期初に設定する特別休暇1日分を飛び石連休にあたる今日に割り当てていたので昨日から4連休となっている。これを有効に活用する為我は信州長野に旅立つ事にした。
いつもの「早起きは三文の得」精神で長野駅に到着出来たのは朝8時40分頃。雲も多いが青空も覗きまずまずの観光日和だ。駅東口のバスターミナルから急行バスで約1時間揺られて到着したのは地獄谷。テレビで何度となく見ていた「温泉につかる猿」が見れるところだ。そこが今や訪日観光客の人気スポットとなっている。なので急行バスは行き帰り共に8割方外国人観光客だった。雪が降る時期になると難易度が跳ね上がる事が想像されるので、ギリギリチャンスと捉え今回の旅の初日の目的地に設定した。バス停から約40分ほど歩いて地獄谷野猿公苑を目指した。思ったより急勾配ではなかったものの着替え等でいつもより重くなったリュックサックは長野駅のコインロッカーに入れてから来るべきだったと少し後悔した。でも地獄谷野猿公苑に入ってしまえば入口にコインロッカーがあったので早速荷物を入れ猿のいる場所に向かった。飼育されているのではなく野生の猿の群れなので果たして今日は出勤しているのかドキドキしながら。
あーいるいる。いっぱいいる。温泉に浸かっているよ。野生の猿の群れは上高地でも遭遇したけど温泉に浸かっているのは地獄谷ならではだろうね。
仲間同士で喧嘩みたいな事をしているやつもいるけど、不思議と人間にちょっかい出してくるやつはいない。というかあんなに大勢にスマホ等を向けられているのにまるで人間などいないものであるかのように気にしていないように見える。平気で人間の足元をくぐり抜けて移動している。
世界的にも日本だけという北限に近い処に生息しているニホンザル。しかも人間のように温泉に浸かっている姿を、映像ではなく目の当たりにすることが出来てとても満足した。
野猿公苑には1時間ほど滞在してからバス停に戻った。目測を誤り長野駅行きの急行バスをベンチもないバス停の脇で80分以上も突っ立ってバスを待つことになった。来月から切り替わる冬季のバス時刻表と間違えて記憶していたからだ。バスはまた外国人観光客で超満席状態になったが無事長野駅に戻ってくる事が出来た。朝7時過ぎに東京駅に到着出来たらその日の午前中に温泉に浸かっている猿を見る事が出来るという環境というのは本当に凄いなと思った。
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