再会蜂屋
11月初日。秋晴れの水曜平日。急激に寒くなるかと思いきや、今年の秋は頑張りをみせ、明日からは何と最高気温が25℃近くになると天気予報で言っていた。
1日の勤務を終えた帰宅途中にまたもや新横浜ラーメン博物館に立ち寄る。「あの銘店をもう一度」シリーズ第24弾としていよいよ創業1947(昭和22)年、旭川ラーメンの老舗かつ筆頭店『蜂屋』が満を持して登場となったからだ。我が約17年半の間、ご当地ラーメンを求め日本全国を食べ歩いた中でも特に記憶に残っている店のひとつだ。遡ること約14年前、実質我にとって初めての北海道上陸の地として選んだのが旭川だった。本州と全く違う町並み、広々とした道等北海道の持つ空気感を肌で感じてハイテンションになりながら『青葉』『天金』『梅光軒』『山頭火』等名だたる旭川ラーメン店を巡った。その中でも特に店の持つ雰囲気、存在感、ラーメンの独自性等諸々の要素で我の心に刺さったのが『蜂屋』旭川本店だった。今だに似ているラーメンに出会った事が無い稀有な一杯だった。あまりに印象が強かったのでその5年後再び旭川の地に降り立った時に、今度は五条創業店の方にも行ってみた。店員が若かったせいか本店訪問時のインパクトを超える事は無かったが、心残りだった名物の「はちみつアイス」を食べることが出来て大満足だった。
ラー博には1999年11月から約10年間も在籍していたのでもちろん訪問は果たしている。特に印象深かったのは屋台時代の味を復刻した「初代」、現在の「2代目」、未だ見ぬ空想の「3代目」を食べ比べるという今思い返しても面白いアイデアだったラー博卒業記念メニュー「歴代ミニセット」だ。それを食べ終えてから引いた三角くじで当たって貰った「蜂屋の丼」は今でも我が家で愛用されているよ。
思い入れがある分前置きが長くなったが入館して地下1階の店舗に直行した。お!券売機が電子マネー対応になっている。早速Suicaを使って食券を購入した。店前に待ちは無く店員に食券を渡すと「お好きな席へどうぞ」と言われた。店員は男4人と女2人。先客7人後客5人だったかな。
旭川ラーメン 蜂屋 新横浜ラーメン博物館店
『しょうゆラーメン(普通)』1000円+『豚めし』450円=1450円
基本的に味は醤油のみで後は具のトッピングだけのバリエーション。但し味を普通か濃くするか食券購入時に選べた。この時五条創業店で味濃いめを選択して食べた時に若干後悔した記憶が蘇り普通を選択した。結果的に正解だった。ただでさえ癖の強いラーメンなのだからその癖が増すだけだからだ。あと数量限定のサイドメニュー「豚めし」も頼んだ。
見てみぃこの面構え!と言いたくなるような、ある種のオーラを感じる一杯。丼は本店?持ち出しのロゴ入りオリジナル丼。我が家で約9年間も使っている丼と一緒なので親しみ深い。具はきざみ葱、メンマ数本、脂身の少ないさっぱりした食感のチャーシュー2枚というシンプル構成なのにこの威厳。スープは鯵の丸干しから摂った魚介スープと豚骨スープを別に作って合わせた、所謂Wスープというやつだ。Wスープのパイオニアと言われていた中野の『青葉』のずっと前に生み出していたという事を知って驚いた記憶がある。そのスープの表面は真っ黒な焦がしラードが覆われている。これが「クセがあるけどクセになる」という『蜂屋』のキャッチフレーズのクセの原因のひとつだ。万人受け等端から求めていない尖ったスタイルが我の心を打つんだよなー。
そして最後に言うが、創業店主の兄が生み出したという旭川ラーメンの象徴のような低加水の中細縮れ麺がかなり重要な役割を果たしている。このスープのまま、この具の構成のまま、仮に平打ち中太ストレート麺だった事を想像したら、それだけで我の好みから外れるだろうし、これほど心に刺さらなかっただろうなと断言出来る。それぐらいこの癖強スープと相性が良い。だから食べている時に「ラーメンを食べている幸福感」を感じられる。故に汁一滴残さず完飲の完食、大満足に至った。これだけ際立った個性を持っているのだから、札幌の「純連・すみれ」系のように、弟子の独立・暖簾分け等で有名店が現れ広まっても良さそうだが、あまり『蜂屋』系の店って聞かない。独特のクセは間違いなくあるんだけど、それが一般に浸透してクセになるようになる為にちょっと時間が必要というのがハードルになっているのだろうか?
「蜂屋名物」と大々的に紹介されているが我は初めて知ったサイドメニューの豚めし。こちらは特に可もなく不可もなく。ラー博提供の割にはボリュームがあったくらいで普通に美味しく食べて腹を満たす事が出来た。つまりメインより目立たず、サイドメニューとしてお手本のような一杯という事だ。しっかりした晩飯を食べた満足感に浸れる事が出来た。出店期間は約3週間あるのできっと再訪問するだろう。
早々に退館し家路に着いた。事故があったのかJR線のダイヤが乱れていたので、いつもとは違うコースを辿って帰宅した。
コメント