長野妻科
地獄谷野猿公苑から長野駅に戻って来れたのは午後2時半頃。結構歩いたし立ちっ放しだった為少々疲れていたから、ちょっと早いけど今夜宿泊するホテルへと向かった。駅前の好立地というだけではなく温泉も有りサービスが良いホテルに運良く予約する事が出来たので良かったよ。取り敢えず荷物を部屋に置いて身軽になって早速長野の街へ繰り出した。家を出る前にパンを1個食べただけだったので結構腹が減っている。我の狙いは勿論ラーメンだ。
しかしながら長野県というのはご当地ラーメン不毛の地と言われる地域。実は我は約10年前、日帰り遠征で長野に一度訪れている。その時は失われた長野の老舗ラーメン店が提供していたラーメンを「王様中華そば」と名付けて復刻し定着を試みている状況を確認しようと長野市の有名ラーメン店『気むずかし家』と『ゆいが総本店』の2店だけ訪問してた。当然の事ながら両店共歴史が浅くピカピカな店舗だったので我が地麺巡りで求めていたものとは大きくかけ離れていたのでテンションが落ちた状態のまま新幹線に乗って帰ってきた記憶がある。
でも今回旅立つ前に入念に長野市のラーメン店を調査していたら、何とも魅力的な、我の好みと合致しそうな老舗店を発見する事が出来たんだよ!その内の1店が昭和32年屋台で営業を始め、代を重ねる事4代にもなる長野市を代表する中華そば店『中華そば ふくや』だ。4代目店主は北長野の吉田四丁目店を営業しているらしいが、今回はそちらではなく3代目店主が営業している長野駅から2km以上離れた妻科店に狙いを定めた。目的が地麺巡りに切り替われば我は不思議と疲れは吹き飛び、ひたすら歩いて郊外に向けて歩を進めていった。駅から2kmも離れれば長野は上の写真のような景色になる。駅から歩くこと約30分ぐらいで目的の店に到着する事が出来た。場所は普通の住宅街の一角。それ故にローカルな雰囲気がたまらなく感じた。

無事「営業中」と書かれた看板が出されていたので安心して暖簾を割った。ガラスの引き戸が2重になっているのも豪雪地帯らしくて地麺巡りをしている感じがしてテンションが上がる。入口入って直ぐのところにボタン式券売機が設置されていた。店は厨房と客席スペースが完全に別れており、まるで社食か学食みたいに厨房のおばちゃんに食券を渡すと番号が書かれた付箋が渡さるのだ。そして自分の番号が呼ばれたら厨房に行ってラーメンを受け取る。食べ終わったら返却台に持っていき割り箸等はゴミ箱に捨てるセルフ方式。こういう初見殺しのオリジナルルールがあるというのも我からすればたまらない魅力に映る。地獄谷で猿を見た時等比較にならないくらいにテンションがガンガン上がっていくのが止められない状態になっていたよ。
厨房はおばちゃん1人で切り盛りしている様子。客席はカウンター1席、中央に木製の仕切りがあるテーブル席が2人卓が2つ、4人卓が5つ、座敷に4人卓が4つあった。内外装共田舎町の食堂そのものといった雰囲気も良い!先客4人後客4人。
『中華そば 生卵入』1050円+『ふくめし 小盛』250円=1300円
中華そばは味ひとつのみ。あとは大盛りか小盛りか、チャーシューの枚数のバリエーション。その中で唯一「生卵入」というものがあった。生卵って田舎のラーメンに入れると一気に見映えがする効果があることは知っていたので迷わずそれを選択。更にサイドメニューながら屋号を冠した数量限定のメニュー「ふくめし」なるものがあったので小盛で注文した。

見よれこの顔ッ!スープが黒い!ハッキリとした縮れ麺!このバラチャーシュー!予想通り中央に落とされた生卵は素朴さを倍にする効果を発揮している。いちいち我が地麺巡りで求めていた要素のツボをグイグイ押してくるんだよ。なんという魅惑的な顔をした一杯なのだろうか。しかもこの中華そばがご当地ラーメン不毛の地と思われていた長野に存在していた事が嬉しさを増してくる。ヤヴァイ!興奮が収まらない!具はきざみ葱と平メンマ数本と海苔1枚、バラチャーシュー3枚。中太縮れ麺はやや固めに茹でられている。スープは黒い見た目ほどそんなに濃い味ではない。おそらく胡椒をかける前提の設計になっている。これも歴史を感じる要素だ。こんなもの当然のようにスープ完飲の完食した。当たり前だ。
スープとチャーダレで炊き上げたという数量限定の「ふくめし」。これにはきざみ葱ときざみ海苔、紅生姜がのる。こちらも見た目に反してあっさり味でもちもち感を感じる。これも田舎っぽくって店で食べると雰囲気に合っているんだよ。ラーメンの方に入っていた生卵は早い段階でこちらに引っ越しさせて卵かけご飯のようにして完食した。嗚呼大満足だ!まだ興奮が冷めやらない!これを実食出来ただけでも今回の旅は有意義だったと言い切れる。問題はこの店を長野市民は普通に馴染み深い存在と思っているのだろうが、あまりに普通に思いすぎていることだ。油断していると「王様中華そば」の元になっていた店『光蘭』みたいに失ってから大騒ぎしたというのと同じ轍を踏む事がないよう注意して欲しいと思う。食器を返却棚においてから厨房のおばちゃんに「ごちそうさまー」と声をかけ退店した。
川沿いの道を歩いて長野中心部へ戻る。見知らぬ町の見知らぬ川っぺりを夕陽を浴びながら歩く。不思議と懐かしさが込み上げてきて何故か幸せな気持ちになった。





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