新生黒麺
気がつけば10月中旬に差し掛かりめっきり秋めいてきた水曜平日。体感では急に気温が下がったように感じるが、今年の夏が暑過ぎて長過ぎたからそう感じるだけなのだろう。
『なんつッ亭』が売却されたというニュースを聞いたのは今年の4月末くらいだったかな。秦野の田舎から急激に知名度を上げのし上がっていく様を知っている者からすれば感慨深いものがあるよ。最盛期は国内外で10店舗展開していたけど徐々にその名を聞かなくなり、国内では秦野本店と川崎店のみが残っていた状態。本店と支店の味のギャップが広がってきたからだと噂されていた。以前テレビ番組で創業店主がスープだか特製マー油かを門外不出にして大事にしていた光景を見たのを覚えている。それがコントロールが出来なくなったのかしなくなったのかは知らないが各店舗まかせになっていた事は創業店主も認めている。創業店主が政治活動に熱を入れ始めたからというのがもっぱらの噂だ。
その『なんつッ亭』を買収した人物というのが、かつて低価格の家系ラーメンをウリにして多店舗展開していた『せい家』創業者だという。この人も『せい家』を別企業に売却して、飲食業界に関わらない契約縛りの期間が明けてから早々に『なんつッ亭』を買収したという。なんか奇妙な話だね。その新生『なんつッ亭』最初の店舗が今月1日町田に開店したというので、定時退社日を利用し帰宅途中に行ってみる事にした。
JR町田駅から歩いて4,5分くらいかな。繁華街只中の好立地に店はあった。待ちはなかったのでそのまま入店。入口はガラス張りで奥に長い店内。店員は男2人と女2人。券売機はなく着席してから口頭で注文。明るく活気がありいかにも大手資本の飲食店という雰囲気ではある。また「うまいぜベイビー」の文字はあるものの、個性が強い創業店主を連想させるようなものは他になく目立たないようにしているのがわかる。客席は厨房前に一列のカウンター10席と2人がけテーブル席3卓と4人がけテーブル席1卓。先客5人後客8人くらいだったかな。
『らーめん』680円+『半ねぎまんま』270円=950円
筆頭基本のメニューを注文。好みとかは聞かれなかった。この時代に税込みで一杯600円台の値段設定とは驚きだ!
この値段設定で提供されたのがこんな美味そうな良い顔をした一杯なのだから、それだけで満足度が跳ね上がる。しかもあまり待たずに提供されたし。若い女子店員の接客も良いし。ここらへんがラーメン店経営者としての上手さなんだろうなー。
麺は低加水でザクザク食感の中細ストレート。具はきざみ青葱と茹でもやし、海苔1枚。そしてこんなに大きいだけではなく分厚いチャーシュー1枚がドーンと正面に配置されている。そして麺など全く見えないでたっぷりなみなみと注がれたスープ一面に、ケチらずマー油がたっぷりかかっている。しかも他の熊本ラーメン店の一杯とは一線を画すると言って良いマー油の魅力が感じられる濃厚スープ。家系で例えるなら濃厚さを増す進化をして横浜家系とはだいぶ違くなった東京家系ラーメンくらいに違う。売却した以上創業店主は惜しみなく手法を教えたのだろうから本来の店の味の再現度は高いと思う。これが一時代を築いた力量なのだろうね。ボリュームも正に「お値段以上」で、資本系に売り渡したと知り半分貶すつもりで入店してきたようなラオタ達を力でねじ伏せるみたいな一杯だった。スープこそ完飲は出来なかったが完食の大満足だ。
サイドメニューのご飯物。ハーフサイズがあるのが良いね。チャーシューも少し入ってる。酷暑の影響で葱の価格高騰のニュースを聞いた事もありありがたくいただいた。最後はマー油たっぷりスープをかけて美味しく完食した。
M&Aも良し悪しあるのだと思うけど、今回のケースのように、価格も品質も安定し、店も明るく入り易く接客も向上したので、多くの客からすれば「むしろこっちの方がありがたい」と思うはずだ。少なくともラーメンへの情熱を保てなくなった店主が廃業の道を選択するより全然良い。5年後に20店舗展開を目指しているとか。いずれ『丸亀製麺』クラスになれたりするかも?電子マネーで支払いを済ませ大満足で退店し家路についた。
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