秋黒醤油
衣替えをして今秋初めて長袖に腕を通した。朝のうちは雲が多かったが日が昇るに連れ青空が広がり気温が上昇し「やっぱりまだ暑いや」となった土曜休日。
長い酷暑の時を乗り越えようやく心身共に活動し易い季節を迎えたので、今日は思いっきりラオタっぽい行動をしてみる事にした。じゃあ普段はそうじゃないのか?と問われたら返す言葉もないのだが…。今日は東京駅近くで期間限定出店しているイベントラーメンの店は行く事にした。我は今年2月に『桜上水 船越』に訪問してそのラーメンに衝撃を受けて、以降『渡なべ』出身店を訪問してみるのも面白そうかな?と思いつつ長らく中断していた。そこに渡辺樹庵氏一番弟子の青田玄氏が営む店『仙臺くろく』が3ヶ月の期間限定出店しているという情報が入った。『仙臺くろく』は仙台が本拠地なので、地麺巡りの一環でもない限り流石に足を運びにくいと思っていたから良い機会だと思って行ってみる気になった。そのイベントは「POPUPラーメン」と名付けられ、東京駅八重洲口の真ん前にある東京ミッドタウンで、地方の有名ラーメン店をリレー形式で出店させているらしく、その第3弾として『仙臺くろく』が選ばれ今月1日から営業を開始しているそうだ。
久々に東京駅の改札を抜けたら、大きなトランクを引きずっている外国人観光客で賑わっている光景を目にし、ああこの国は本当に観光立国になっているんだなーと実感したよ。地下街を抜け東京ミッドタウンの2階を目指す。初めて来たので店がある2Fに上る為の階段かエスカレーターを探すのに苦労したがようやく店に到着した。イベントラーメンと言っても屋内だし、臨時とは言えそれなりの厨房で提供しているから本店とほぼ変わらぬ味のものを出していると店主自ら公言しているので期待して店注文口に並んだ。と言っても前に1人並んでいただけなのですぐ注文が出来た。フードコート形式なので支払いを済ますとブザーを渡され席を確保し呼ばれるのを待った。5分程度で呼ばれた。
POPUPラーメン 仙臺くろく『スペシャル長期熟成”黒醤油”』1250円
筆頭が「貝出汁しお」、三番目に「濃厚インド油そば」があったが、『仙臺くろく』店主一番の自信作と聞いていたので2番手の黒醤油を特製で注文した。イベントラーメンとは言えしっかりと本物の丼が使用されていて一安心した。
麺はかなりかために茹でられたブリブリの平打ち気味の太麺。歯ごたえが感じられる。具はきざみ葱、糸唐辛子、チャーシュー4枚、味玉丸1個。四角い豆腐みたいなのは何だろう?と思ったらメンマだったので驚いた。このメンマこそ『渡なべ』系を表すアイコンだった時代があったと帰宅後調べて初めて知った。そして熟成黒醤油スープは噂通り結構インパクトのある鋭い醤油味。でも熟成で出る味わいがあるので食べ進めるうちに醤油のしょっぱさより美味しさが伝わってきた気がした。柚子片も良い効果を生んでいる。地麺巡りをしている我からすればやはり元祖富山ブラックの『大喜』を連想した。麺がかためでゴワゴワで濃い味の醤油スープの組み合わせだからね。それに現代的アレンジを加えたような一杯だった。他の料理だったら✘マークが示されそうな濃い味のラーメンは我の好物なのでスープを飲み干して完飲完食してしまった。本店は2006年創業なので約17年の歴史を積み重ねているはずなのだが、若さ故の怖いもの知らず的な雰囲気を感じた。それが店主の個性なのかも知れない。無化調に拘り続けた頃の渡辺樹庵氏の元で学んだ店主による『仙臺くろく』と、同氏がご当地ラーメンの良さに心酔するようになった頃に学んだ店主による『桜上水船越』との対比が出来たようで、その変遷がうかがい知る事が出来て面白かったし満足出来た。食器を返却した頃には結構長い行列が生じていた。
そのまま東京駅に戻り電車に乗って横浜へ戻った。帰宅後干していた布団等を取り込み午後は自宅でゆっくりと過ごした。
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