白河再訪
今年のお盆は職場の一斉休暇で数日休んだものの、台風の影響で雨が降ったり強い日差しが照りつけたりでまるでサウナのような蒸し蒸ししたとても不快な日々が続いた。そこに日頃の疲れが重なったのか体の調子も良くなかった。夏バテというやつだ。なのでほとんど外出しなかった。良いタイミングで疲れを多少抜く事が出来たのでそれは良かったのだが、モヤモヤした気分が残った。要は「気が晴れなかった」のだ。後になって何の記憶にも残らない夏で終わっていく…。そうなりたくはなかったので有給休暇を1日使う事にした。なんだかんだと9月にずれ込んでしまったけど。能動的に自ら動くしかない。
まだまだ熱中症の危険があるほど暑さは厳しいし、離島とか泊りがけの旅行とかは止めて日帰り旅行にしておこう。色々と思案した結果、福島県白河市に行ってみる事にした。遠出が無理なら地麺巡りが我にとって気分を晴らすのには効き目があると考えたからだ。目的地を白河にしたのは勿論「白河ラーメン」が狙いになるが、14年前に一度白河に出向いて名店中の名店『とら食堂』だけは訪問している。だがその時は地麺巡りを始めて間もなかった為、旅慣れておらず行き当たりばったりのぼぼ無計画な状態で旅立っていた。正午過ぎの東京発の新幹線に乗車するとか全く持って『とら食堂』を舐めすぎていた。しかも店にタクシーで往復してるし当時の記事を読むと我がことながらツッコミどころ満載だ。案の定昼の営業には間に合えず、夕方の営業再開まで店の軒下で2時間近く待つ事になった。この経験はその後の我に影響を及ぼし、以降は「旅行は計画的に」、「早起きは三文の徳」を信条に行動するようになった。その時は会津若松に宿を取っていたので食べ終わったら早々に白河を後にしていた。だから地麺巡りとしては白河という土地には14年前からずっと心残りがあったんだよ。今回この思いも晴らそう。
前回の轍を踏まないで今回は朝10時前には新白河駅に到着、予め予約していたレンタカーに乗り込んで出発していた。開店50分前には『とら食堂』の店前の駐車スペースに駐車した。再訪問になるが白河に来てこの店を外すわけにはいかない。全国に『とら食堂』の分店は広まっているが、ここは本店ではない。『とら食堂』はここにしか無いからだ。店の入口に行くと銀行にあるような受付発番機が設置されていた。ボタンを押すと20番の番号が発券された。平日の開店50分前でだ。1人1枚ではなく1グループ1枚なので結構待つことになるのは覚悟した。定刻に開店して機械音声で番号を呼ばれ順番に入店していく。
目安の時間も書かれていたし車内で待つ事も出来たのだが、店の軒下の日陰の待合席で待った方が良い。十分涼しいし目の前には雄大な景色が広がっているからね。蝉の声と秋の虫の声の控えめな合唱に耳を傾けていれば待ち時間などあっという間だ。…それは言い過ぎか。結局開店から35分待って入店する事が出来た。入口正面の券売機で食券を購入し店内へ。天井の高いロッジ風の広く綺麗な内装。店員は男4人女3人。客席はテーブルと座敷がありトータル48席あるらしい。
昔のように1日10店回るなんて事はとっくに出来なくなっている。せめて3店訪問したいと計画していたので欲張らず筆頭基本メニューのみ注文した。
具は刻み葱と平メンマ数本、ほうれん草、ナルト1枚、海苔1枚、スモークされたモモチャーシュー2枚半。別にきざみ玉葱が提供されたので投入する。麺は縮れの強い手打ち手揉み中太麺。スープは鶏の旨味と醤油の味わいが絶妙。そしてこれまた病みつきになるような食感の麺がスープを持ち上げ口中に連れてきてくれる。「飽き」という文字と最も縁遠い一杯というか。日本人はここに帰ってくる味というか。ネームバリューだけで行列作っているわけではないと実食すれば納得出来る。勿論スープ完飲の完食。白河の『とら食堂』で手打ち中華そばを食べた。それだけで十分気を晴らす事が出来た。
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