旨味豚骨
グロービート・ジャパン『らあめん花月嵐』創業30周年を記念した限定ラーメン『シン・ゲンコツらあめん』。『飯田商店』店主が監修したこのラーメンの感想をYouTubeで見て興味を惹かれた。調べてみると昨年末から提供開始されていたらしい。なのでもう販売終了している可能性が高い。でもオフィシャルサイトで確認するとまだ提供している様子だったので、一番近い上大岡カミオ店にやって来た。店頭に置かれたA看板にそのメニューが表示されていて安堵して早速入店した。店入口の券売機で食券を買い店員に渡した。「お好きな席へどうぞ」と言われ入口に近いカウンター席に着席。客の出入りが激しく忙しそうだったが、店員男女2人だけできちんと回していた。多忙時間の客さばきは個人店チェーン店区別なく大変なのだから、その対応には関心したね。
らあめん花月嵐 上大岡カミオ店『シン・ゲンコツらあめん』1170円
目的のメニューをシンプルに注文。水と同時に説明書も提供された。花月嵐の看板メニューである化調バリバリ背脂チャッチャな「嵐げんこつらあめん」をテーマとして取り組んだらしいが、それとは対局にあるような、背脂もなく透明度のある清湯スープの一杯が提供された。驚くべき事に無化調であるだけではなく、タレも脂も使用しないで、豚をじっくり煮込むことで出るその旨味のみで作られたスープなのだという。
麺は中細ストレートで適度なしなやかさとモチッという食感。具は新鮮さを感じる青葱のきざみと謎の黒い粒2,3粒。アンコールペッパーというカンボジア産の胡椒なのだそうだ。スープに味が移らないよう調理されたと思しき薄味の豚バラチャーシュー3枚。僅かな塩味と脂の甘み、柔らかさを感じた。そして問題の主役たるスープには衝撃を受けた。
我はここ1,2年で遅まきながらようやく豚骨出汁の魅力に気が付いた。ブリックス濃度は関係無い。家系だろうが九州豚骨だろうが、美味しい豚骨出汁が味わえるのが美味い一杯なのだという単純な事が長年理解出来ていなかった。その極北みたいなものをまさか『花月嵐』で味わう事になろうとは夢にも思っていなかった。サラッとした清湯スープ。だけど僅かな塩気と脂感を感じたのは過去の経験から舌にバグが生じているからだろう。もうひたすらに美味い。麺もチャーシューもスープの味を邪魔しないよう設計されているのは頭では理解していても、それらすらスープの邪魔に感じていたほどだ。もうね、スープ単体で売ってくれないかな?『花月』各店で提供しているのだから不可能ではないだろう…等とスープを飲みながら考えていた。
そう、この一杯をチェーン店で提供しているというのももう一つの衝撃だ。ちょっと前の『花月嵐』限定メニューは、アイデアとして面白そうなのだけど、どうしても食後感がチェーン店のラーメンのそれになって残念な気持ちになった。今回もそうだろうとハードルを低くして食べたら、とんでもない衝撃を受けてしまった。もう食べながら「お見逸れしました」と心の中でつぶやいていたよ。これを全国各店舗で再現するにはラーメンの調理技術だけではなく、冷凍、冷蔵、保温、加熱、運送等のテクノロジーが進化しているからこそだろう。勿論汁一滴残さずスープを完飲し完食、大満足で退店した。また食べに来ようかと真剣に考えている我がいた。
帰りは蒔田のライフで食料を調達して帰宅した。結局ずっと雨が降っていた。その雨音を自室で聞いていたら睡魔に襲われ夕方まで寝てしまった。
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