本牧家閉
風が強く日が昇るに連れ次第に雲も増えてきて日差しを遮ってきたので体感的には結構寒さを感じる土曜休日。今日は環二へ行ってみる事にする。
横浜家系の老舗店『本牧家』本店が今年5月7日をもって閉店すると発表され衝撃を受けた。『本牧家』は1986年『家系総本山 吉村家』の2号店として創業し、その後独立したが横浜家系の歴史を語る上で重要な老舗店。時が経てばこういう事態になってしまう事はわかっていたはずだが…悲報だとしか言いようがない。
今回は戸塚平戸方面から品濃口経由でバスを乗り継ぐというトリッキーな方法で店にやって来た。店に到着したのはちょうどシャッターが上がるタイミング。既に閉店の報を聞いて駆けつけたと思われる客が20人弱の行列をなしていた。急いで最後尾につく。店の入口から既に豚骨臭が漂ってきて食欲を刺激してくる。順番に入店し食券を購入し席が空くのを待つ。店員は店主含め男店2人と女2人。高齢になった店主も鉄人だが、娘さんなのか女店員の客裁きが見事なんだよ。先客が家族客だったので後の1人客をだいぶ待たせてしまい、かなり後から入った客の集団の分と分けて先に1人分だけ調理するよう店主に指示したりと、待っている客の心理を見抜きながら回しているんだよ。ただスムーズに店を回転させているだけではないというところが凄い。達人の域に達しているように見える。この様を見ることが出来なくなるというのは非常に残念だ。開店から20分ほどで着席を促され、その5分後くらいにラーメンが提供された。
基本のラーメンを好み全て普通で注文。トッピングもなし。今日ばかりは『本牧家』のラーメンをシンプルに味わいたかった。
もう見ただけで美味そう。我からすれば「昔からある家系ラーメン」そのものの顔をしているように思える。でも気がつけばこういうラーメンにお目にかかる機会が減ってしまった。既に見た目だけでも『吉村家』や『武蔵家』系とは全く別の種類のラーメンに映る。そして丼から立ち昇る豚骨の香り。レンゲでひと掬いし口に運ぶとじんわりと広がる豚骨出汁の旨味と醤油な味わい。優しい味わいだなー。麺はプレーンだと結構柔らかいのだが、それもこの優しい味わいにとても合っているのが理解出来た。この良さを我は若い時には理解出来ていなかったと思う。濃い口醤油のガツンとした『吉村家』直系や、濃厚豚骨の『武蔵家』系列に流れてしまったからね。今更だがこの味わいが理解できる年齢になったよ。『本牧家』本店が閉店してしまう前に間に合って良かった。非常に飲みやすく染み入る味わいのスープは汁一滴残さず完飲完食。今日は『本牧家』のラーメンを堪能することが出来て大満足だ。店員に感謝の気持ちを込めて「ごちそうさまでしたー」と言って退店した。
この店が無くなってしまうのは家系ラーメンを愛する者全員にとって大損出だと思う。家系ラーメン自体が盛り上がっている昨今、しかも『本牧家』からは多数の独立店が巣立っているのだから、存続に向けて何とかならないものか?とも女々しくも思ってしまうよ。非常に残念だ。
吉村家を最初に食べたのは1985年、大学生の時代に「杉田にすげえラーメンがある」と友だちから聞いて一緒に行きました。その頃は今のような突き抜けた味ではなかったと思います(十分に衝撃の味でしたが笑)。時は流れ、その頃の味を継承しているのが本牧家や寿々㐂家なんでしょうね。なぜか本牧家には一度も行く機会はなかったのですが、閉店までに必ず食いに行きます。いぬ吉さん、情報感謝です。
投稿: tantin | 2023年1月21日 (土) 20時24分
tantinさん、杉田時代の吉村家の貴重な経験談ありがとうございました。私も高校時代に一度行った記憶がありますが、どんなラーメンだったかは覚えておらず、怒号が飛び交う殺伐とした厨房の様子が薄っすら記憶されていますね。おそらく当時の手法のままで作られている本牧家現店主の一杯をぜひ体験してみて下さい。
投稿: いぬ吉 | 2023年1月21日 (土) 22時37分