
金曜平日…だけど我は今日は1日自由だ。有給休暇とは別に会社から言われて期初に設定する特別休暇の日。つまり昨日と週末合わせて4連休となる。設定した時は一泊か二泊の旅行が出来るかなと考え設定したのだが、何故かそういう気持ちにならなかった。ならなかったけどせっかくの好天に恵まれた平日休暇、勿体ないので日帰りで遠方まで足をのばしてみる気になった。
地方のラーメン事情を軽く調査していた時に気になる店がいくつか出てくる。その一つが『手打 焔』という店だった。何でも白河中華そばの中でも名店と言われる『火風鼎』店主の息子が独立して出した店だそうだ。この店はラーメン愛好家達の間でよく名前が出てくるので気になってきたんだよ。話題になるということは個性があるという事だろうし、しかもその評価は賛否両論分かれている。これは自分で確かめてみたいと強く思うようになった。福島県白河は地麺巡りを始めて間もない2009年7月に『とら食堂』を訪問しただけで終わっているので、ぜひ再訪問したいなと考えていた土地。好都合だ…と思ったら、よく調べると店は福島白河ではなく栃木の黒磯近くにあった。しかも黒磯駅と那須塩原駅の中間あたりという駅から遠い場所だった。それを知って難易度の高さに一度諦めていたんだけど、この機会に一本釣り感覚で強行訪問してやろうと考えた。観光抜き、ただラーメン一杯を食べる為だけに新幹線に乗って訪れる。狂っている自分に今日1日戻ってみる事にした。

朝7時前に家を出て東京を8時半に出る東北北陸新幹線なすのに乗車し約1時間で那須塩原駅で降りた。南関東に比べると雲が多かったがまずまずの天候。気温も想像していたより横浜と変わりはない。地域コミュニティバスで店の近くまで移動し目的店に到着したのは開店約1時間前。情報では大行列店だと聞いていたからね。しかも平日とは言え連休の中日みたいなもの、帰りのことを考えればこれくらい早く到着して無駄ではないと考えた。でも既に先客が1人店前の待ち席に座って待っていた。2番客として隣に座らせてもらう。開店30分前になると店前の広い駐車場に車が次々と駐車しはじめ、開店定刻の頃には20人を超える行列になっていた。開店10分前を過ぎた頃に女店員が出てきてメニュー表を回して注文を取りにきた。口頭で注文。定刻に店主が暖簾をかけて店内に案内された。店員は店主を含め男2人と女1人。客席は厨房前に一列のカウンター5席と4人がけテーブル席2卓。奥に座敷席もあるようだがそちらは判らなかった。席は指定され水は提供された。先客や我の直後の客はやはり常連なようで店主とラーメン談義に花を咲かせていた。途中店員が店主に「お客様27名お待ちでーす」と伝えていた。やっぱり早く来ておいて良かったと思った。

手打 焔 『手打チャーシューワンタンメン』1100円
メニューには醤油・味噌・塩があるけど、この店の一番のオススメと名高い手打ち醤油のメニューを注文。提供された時スープ表面が黄色っぽかったので「ラー油でも入っているのか?」と思ったけどこれは鶏油だった。こんな白河中華そばは初めてなので確かに個性がありそうだ。具は刻み葱とほうれん草、メンマ数本。チャーシューは6,7枚入っていたが、これが『家系総本山吉村家』並の燻製の香りなんだよ。でも白河中華そばに準じているのでスープはもちろん魚介出汁しっかりの清湯醤油。

そしてこの店一番の特徴である自家製手打ち麺。中太平打でモチモチはしているんだけど、麺の表面にザラツキを感じボソッというような印象を受ける。なかなかに癖のある自家製麺だが、この麺が鶏油多めの清湯スープとよく合っている。雲呑はこの生地を薄くしているのかな?餡は入っておらず皮の食感を楽しむ為のもののようだ。鶏油たっぷりのスープと燻製チャーシューは、白河中華そばの流れから逸脱しているようだけど、横浜家系に馴染みが深い我からすればそれが逆にとても美味しく感じる。店主が横浜家系ラーメンに影響されたのか、偶然の一致なのかまでは判らないけど。実食して初めて賛否両論が展開されている理由が分かった。ネット万能の時代と言われるが、ラーメン食べ歩きは実際に食べて経験しないと判らないし語れもしないのだ。我は賛否の賛の方だったので大満足。この一杯を食べるために新幹線に乗ってわざわざやって来たのだから、スープを完飲し完食した。支払いを済ませ気分良く店を後にする事が出来た。
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