手打亀囲
金曜平日だが8月以来2ヶ月ぶりの有給休暇を取得した。会社から「年5日の有給取得は義務なので休むようにして下さい」と通知が来た。時代は変わったものだ。元々午後から用事があったのでどうせならと丸1日休む事にした。今朝から快晴で過ごしやすい気温。朝晩だけは冷え込むようになったが日中はまだまだ半袖でちょうどいいくらいだ。
昼過ぎくらいまで自由時間になるので「平日休暇もったいない」発動。週末で行列リスクがあるような遠方のラーメン店を訪問すべく朝8時過ぎくらいには家を出た。選んだのは今年6月24日に開店した『手打麺祭 かめ囲』という店だ。今注目の新店としてよくメディアに取り上げられている。場所は調布市、京王線の柴崎駅から徒歩5分くらいのところ。今この店を選択をすることは、もろに「情報を食べているラオタ」と思われても仕方がないという自覚はある。でも自分の日記で言い訳するのも変だが、パンデミックの影響で遠方外出が封じられた為に昨年夏前以降、横浜市以外のラーメン店の情報を積極的に収集しようとしなくなったんだよ。だから行ってみたい店は何か?と考えても全く店名が思い浮かばない状況。その結果、単純によく店名を耳にしていたし、ラーメンも見た目で美味そうな店を選ぶことになる。更にこの店は注文を受けてから麺を打ち、手切りするらしく異常に回転率が悪いとの情報も聞いていたので、平日訪問する価値が高いだろうと判断した。
まず東横線で武蔵小杉に出てJR南武線に乗り換え稲田堤まで移動。京王相模原線の駅まで徒歩5分ほど歩き京王線に乗り換え調布経由で柴崎駅へ辿り着いた。改札を出て約5分歩いて甲州街道沿いにある店に到着したのは開店予定時刻の45分前だった。店前には誰もおらず1番のりを確保した。その5分後くらいから後ろに人が来はじめ、開店する頃には20人弱の立派な行列になっていた。平日の昼間とは思えない光景。定刻を2分過ぎたあたりで店主がドアを開けて店内に案内される。入口正面に券売機。店内はイメージカラーであるライトグリーンの配色をされた壁や椅子。そこかしこに亀関連のグッズやアクセサリーがお洒落に配置されていた。若い店主夫婦の理想を詰め込みました、という感じ。厨房にはまだ20代に見える若い店主夫婦と男の店員1人を加えた3人。後で調べたら蒲田の『煮干しつけ麺 宮元』で6年修行し、この店の前身である『手打ち中華蕎麦 亀庵』と暖簾を出して間借り営業をしていたらしい。その頃から麺に強いこだわりがあったそうだ。食券を渡すと本当にそれから麺を打ち始めていた。客席は厨房前一列5席のカウンター席が並んで2つで計10席。一番手前の席に案内された。席には既に冷水入りの緑のコップが置かれていた。箸置きも亀だ。店内デザインのこだわりが強い。
味は醤油・塩・こってり醤油・こっさり煮干しの4種。初訪問だがビジュアルが美しかった特製の醤油を注文した。特製は味玉、手打ちワンタン1個、鴨チャーシューが追加されるそうだ。ライトグリーンの丼も良い感じ。我の好きな色だ。中身も今まで見たことが無いようなものが入っており個性が強く出ている。打ち立て切りたての縮れ太麺は麺の太さが不揃いでマチマチ。「一反も麺」かと思うような切れ端の凄い太いやつも入っていた。打ち立てだけあってモチモチツルツルの食感で喉ごしが良い。具は白葱の細切りと九条葱の細切り、インパクトのある四角い板メンマ2枚は柔らかいけど繊維も感じる食感が楽しいもの。あっさりだけどしっかりメンマの味わい。チャーシューはちゃんと燻製の香りがする豚ロース2枚と表面に焼き目がついた上質の分厚い鴨チャーシュー1枚。焼印入りの燻製臭のする味玉は黄身トロリ。抹茶を練り込み緑色になった分厚い皮に包まれたワンタン1個。こういう厚い皮の雲呑は好きだ。しかも抹茶の味がするとか初めてだ。餡は鴨葱山椒だそうだ。とにかく素人目から見ても具のひとつひとつが丁寧に作られており、どんだけ手間がかかっているんだろうか?と思う。これを毎日丹念に仕込んでいるとなると相当な手間と労力を要すると思われる。
そして肝心のスープだが、結構濃いめの味付けながら旨味先行でしょっぱさはあまり感じない。醤油はしっかり感じる、でも鶏も強く感じるし鴨も強く感じる。もちろん豚や魚他も入っているのだろうが鶏と鴨がメインの味わい。鴨を使うとどうしても日本蕎麦に近い味わいになりがちだけど、そうならないよう調整されている。個人的に最近豚骨や豚肉の出汁の旨味にハマっているのだが、このスープを飲んだ瞬間「うわー鶏系の出汁も美味いじゃん!」って思ってしまった。麺と具とスープ、どれもが店主のこだわりを感じさせ、かつ個性的。こんなの文句なく完飲完食だよ。話題になるにはちゃんと意味があるんだなと改めて実感した。遥々調布まで来て開店45分前に並んだことはしっかり回収出来た。大満足で店を出ることが出来た。店前には開店時と同じくらいの人数が並んでいた。最後尾の人は待ち時間が大変なことになるだろう。
コメント