新座再塩
塩は難しい。ラーメン界隈でそんな都市伝説っぽい言われ方をされているのを聞いた事がある。誤魔化しが効かないとか何とか。それを言ったら他のラーメンも同様な気がするけどね。造り手側の事は一切判らないが、ラオタとして「塩で行列を作るのは難しい」というのは経験上判る気がする。その塩の名店と言われる店の中でも全国筆頭クラスの店が埼玉県郊外に存在する。『ぜんや』という店だ。開店は1999(平成11)年8月。以降約20年以上行列を生じさせる店。しかもメニューも塩1本。冷やしもつけ麺もない。そんな孤高の塩ラーメンを我が食べたのは約15年も前の2006年9月9日。ラーメン食べ歩きを始めてまだ約3ヶ月でラーメンの知識も経験もほとんど無い頃。その頃の自分の感想は信用ならない。そう思って最近「再訪シリーズ」を始めたのだけれど、特に再訪しなくては!と強く思わせたのがこの『ぜんや』だった。
よく晴れた土曜休日の朝。一昨日花見も堪能したので心置きなく埼玉遠征を実行出来る。場所は埼玉県新座市。新座駅から歩いて8,9分くらいの場所に『ぜんや』はある。遠いのは間違いないが、みなとみらい線特急Fライナーに乗れば元町・中華街駅から乗換なし約70分で埼玉朝霞台駅に行けて、そこから武蔵野線に乗り換えて1駅で新座に到着出来てしまう。15年前は川崎に出て南武線で府中本町まで行って武蔵野線に乗り換えて行った事から比べると本当に楽に行けるようになったよ。
店には開店35分前くらいに到着。既に先客5人待ち。定刻に暖簾が出された頃には我の後ろに10人くらい待っていたかな。順番に入店し入口脇の券売機で食券を購入する。厨房には店主夫婦と思しき中年男女2人だけ。そして客席は厨房前にたった一列6席のみだった。我はギリギリ初回に着席出来たので、我の後客はしばらく待たされる事になった。
15年前と同じく屋号を冠した筆頭基本メニューを選択。高品質な塩ラーメンこそ余計なトッピングもサイドメニューも邪魔にしかならない事は経験済だ。3杯ずつ調理されるようで10分くらい待たされた。麺はかために茹でられた黄色い中太縮れ麺。札幌系の中華麺を彷彿させる。具はきざみ葱、ほうれん草、平メンマ数本、脂身の少ない小ぶりのチャーシュー2枚。そしてこの黄金のスープなのだが…何とも説明しづらい。構造的には普通の塩ラーメンと同じだと思うのだけれど、旨味が違うと言うか、慈味が深いというか。決して淡い味わいとかではなく、この強い縮れ麺の食感に全然負けていない旨味。それが口の中に染み渡るようにじんわりと来るんだよ。やはり『ぜんや』は凄かった。ネームバリューに日和っているわけではない。実際食べてその凄味を感じた。こんな一杯は完飲完食するしかなかった。店主は元役人でラーメン好きが高じて独学で店を出した人。独学でこの一杯を生み出してしまうというのは尊敬に値する。そして店主は『ぜんや』は一代限りを公言している。この味が引き継がれないのだ。我は今日こうして『ぜんや』に再訪しこの一杯を味わう事が出来てとても幸運だったよ。大満足で店を出た。店前には15人以上の行列が出来ていた。





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