矢口渡懐
夕暮れ時の環八沿いを武蔵新田から矢口渡方面へと歩いた。次の店は創業から45年、環八で近隣の人達に親しまれているラーメンショップ『ラーメンビッグ』だ。ちょっと前に渦中の人となったフードジャーナリストを名乗るはんつ遠藤氏の著書「取材拒否の激うまラーメン店」でも紹介されていたのを思い出す。我は2006年11月18日に一度訪問している。今回約15年半ぶりの再訪問になる。でも店についてあれ?と違和感を感じた。頭の中に薄っすらと記憶されている店舗と違うからだ。後で調べたら3年前くらいに移転していたようだ。早速入店。厨房にはおじさん店員2人。客席は厨房周りにL字型カウンター10席。入口正面の券売機で食券を購入し適当な席に着席。店内の内装が白く保たれていて清潔な感じ。でもカウンター上にはゆで玉子がざるに山で置かれ1個50円と昭和を思わせる雰囲気を醸し出している。水だけではなくレンゲもセルフ。先客4人後客4人。いずれも常連のようで店員に挨拶と世間話をしていた。良い雰囲気の店だ。
筆頭基本を注文。麺のかたさを選べたのを忘れていたし聞かれもしなかったのでそのまま。それでも麺はややかために茹でられた縮れ細麺。具はほうれん草と普通の海苔2枚、分厚いチャーシュー1枚。薄っすら背脂が浮くスープは豚骨出汁の味わいがじんわりと感じられ美味しかった。食べる前は「しょっぱくて化学調味料たっぷりの味わい」を想像していたが良い意味で裏切ってくれた。縮れ細麺が良く合っている。実に美味しい。これが令和4年の春にたったの500円で提供されている驚き。約16年前から20円しか値上げしていない。驚かされたのはそれだけではなくチャーシューの分厚さだ。
思わず写真を撮ってしまった。一杯500円のラーメンに入っている厚さじゃないんだよ。薄利多売の極地みたいな。常連客と密になっている分値上げ出来ないのだろう。ラーメン食べている間、食材業者が入荷してきて店員と「値上がったねー」「今新規客には売れない。常連のところにしか卸していない」みたいな会話をしていたよ。常連客もギブアップして閉店してしまうくらいだったら値上げを選択して欲しいと思っていると思うよ。悲しいけど。我は大満足して店を出た。再訪して本当に良かった。
矢口渡駅から1駅で蒲田だけど電車に乗って家路についた。明日からゴールデンウィーク突入だ。
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