新田再懐
このブログを書き始めた当時、我は蒲田駅から職場まで中古のスクーターで通勤していた。その足を活かして退社後大田区のラーメン店をほぼ毎晩訪問していた。自分に圧倒的に足りていないと当時考えていたラーメンに対する経験値を上げる為、それこそ質を問わず虱潰しという感じで毎晩新店開拓をしていた。大田区というのは昭和の高度成長期の原動力となった太平洋ベルトと言われた工業地帯の名残をそこかしこに感じさせている地域。特に産業道路や環状八号線沿いにはトラックの運ちゃんが通ってそうな、場末臭漂う名も知れぬラーメン店が「毎晩開拓しても尽きる事が無いのでは?」と思うほどたくさんあった。そんな店にGW前日の夕方の退社後に訪れてみる事にした。菊名から多摩川経由で武蔵新田駅に降り立った。駅の改札を出てすぐ、環八沿いの角に大きな看板を掲げるのは『ラーメン日本一』を名乗る店。屋号も看板も店頭ショーケースも昭和の匂いが漂っている。この店に我は2006年11月30日に訪問している。約15年半ぶりの再訪問だ。早速入店。厨房には店の制服を着たおじさん店員2人。店内も期待を裏切らず昭和っぽい。客席は厨房周りにL字型カウンター10席。4人がけテーブル席4卓。先客1人後客ゼロ。口頭で注文。料金後払い。
『ラーメン』550円+『ハーフチャーハン』400円=950円
筆頭基本のラーメンに半チャーハンを注文。メニューには餃子、レバニラ炒め、エビチリ、唐揚げと一品料理が豊富でほぼ町中華店となっているようだ。
麺はもちもちした食感の中太縮れ麺。具はきざみ葱、かいわれ、海苔1枚、柔らかメンマ数本、鶉の卵1個、チャーシュー1枚。写真では伝わりにくいが通常より大きめの丼で提供されており、とても550円とは思えないボリューム。そしてクラシカルな見た目に騙されたが、薄っすら魚粉がかかっていて魚介の味わいも感じるなかなか美味しい。食べる前は場末の、生姜を効かせたしょっぱめの鶏ガラ醤油と思って覚悟していたのだけれど、良い意味で裏切られた。
半チャーハンはしっとりというかやや油多めというか。それでも具材たっぷりでアツアツで味も濃い目で問題なく完食した。ラーメンはボリュームがあったのでスープ完飲には至らなかったが十分満足して支払いを済ませ気持ちよく退店出来た。
一駅先の矢口渡駅近辺まで歩く事にした。正直環八の記憶は鮮明ではないのだが、大型トラックがビュンビュン通っている横で命の危険を感じながらスクーターを飛ばして毎晩ラーメン店を探していた頃の思い出が蘇ってきた。年齢を経る度に「懐かしい」という気持ちに抗えにくくなるものだ。他にもあの頃訪問して今も営業していた店も幾つか見つけたので武蔵新田にはまた近い内に訪れてみたい。
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