凄吉左右
雲はあるものの日差しが強く暖かくなった土曜休日。先週木曜日に厨房機器の故障で撤退を余儀なくされた木場の『麺屋吉左右』に早速リベンジする事にした。2006年1月創業。とっくにブームが過ぎ去った魚介豚骨の店なのに約15年間常に大行列。定休日は日水金、昼のみ3時間営業の敷居の高さ。先週は平日だったが今日は週末土曜日なので気合を入れ朝9時前に家を出た。店に到着したのは開店予定の55分前くらい。それでも14人の行列が出来ていて驚いた。先頭の人は下手したら2時間くらい前に並んだのか?凄い!我の後ろにもすぐ列は生じてどんどん伸びていった。開店予定時刻の45分前にシャッターが上がり女店員に順番に店外入口脇に設置された券売機で食券を買い並び直すよう指示があった。後で判ったのだがこの店も『こうかいぼう』と同じく夫婦2人で切り盛りしていた。そして腰の低い接客も共通。実るほど頭を垂れる稲穂かな。待っている間に日差しが強くなって上着を脱いだ。すると何と予定より20分前倒しで暖簾が出され先客10人が食券を回収され店内に入っていった。客席は10席だから。我は本来の開店時刻の11時半くらいに店内に案内された。やはり厨房には店主夫婦2人で厨房前に一列のカウンター10席。水はセルフ。
メニューはラーメンとつけ麺の2本立て。約15年前に初訪問した時と同じメニューを選択した。ビジュアルはほとんど変化がない。麺はほぼストレートな丸い中太麺。具はきざみ葱、海苔1枚、柔らかメンマ数本、脂身のすくないあっさりしたチャーシュー1枚。トッピングの味玉は黄身しっとり。どれもこれも美味かったのだろうがあまり印象に残っていない。魚介豚骨スープが圧倒的に美味しかったからだ。美味し過ぎたと言っていいかも知れない。バランスを極めている。まろやかで程よい甘さと出汁の旨さ。強烈な習慣性を帯びていて、例えではなく本当にレンゲが止まらなくなってしまった。我は魚介豚骨をおにぎりの具で例えるとシーチキンみたいな存在に考えている。おかかや梅干し、昆布くらいしか無かったところに突如現れメインを奪っていった存在。でもこちらはバランス取るのが難しく一時的なブームで終わってしまったけど。それでも魚介豚骨は美味しい。そう断言出来るスープだった。麺と具を食べ終わり丼を両手持ちして口を付け首を反らして一滴残さず飲み干した。本当に一滴残さず落ちてくるまで何度も。そうせざるを得なかった。大満足では済まされない。本当に凄かった。空の丼をカウンター上に上げ卓上を拭き取り「ごちそうさまでした」と言って退店した。最後まで腰の低い丁寧な接客も見事だった。
店の外には開店前以上の長蛇の列が生じていた。これ以上人が集まれば店主夫婦2人が捌ききれない。そりゃ取材拒否もするよなー。いやー凄かった。駅に戻るまでの道のりでずっと口中に残ったスープの余韻を味わいつつ、心の中で「美味かったなー」と呟いていたから。江東区までやってきたので当然連食を考えていたけど、口の中を他のラーメンで上書きしたくなかったので結局連食しなかったからね。ベタ褒めが過ぎると思うけど実際そうだったから。素晴らしい体験を出来て良かった。行列は厳しいけどまた行きたくなった。
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