琴浦牛麺
鳥取倉吉市の牛骨ラーメンは倉吉市のみにとどまらず周辺の地域にも広まっており、倉吉市の北西に位置する琴浦町にも牛骨ラーメンを提供する老舗店が点在する。その中でも『すみれ食堂』という昭和33年創業の老舗店に我は注目した。JR山陰本線浦安駅にほど近い場所にある。近くのコンビニの駐車場を借りて駐車し店へ向かう。浦安は歴史を感じる鄙びたいい雰囲気の町だ。
目的の店に到着したのは10時半くらい。この店は10時から営業開始しているから助かる。この外観、痺れるねぇ。早速暖簾を割る。内装もまた痺れる。入口でおでんを煮ていたりする。厨房には男の店主と若い女の店員2人。客席は厨房前に一列4席のカウンター席と4人がけテーブル席6卓。先客9人後客4人。口頭で注文。
メニューはラーメンとチャーシューメン、その各大盛りのみ。サイドメニューにおにぎりと店頭で煮られているおでん。おにぎりとのセットも魅力的だったが自制して基本のラーメンのみを注文。この店にしてこの一杯という感じの素朴な一杯が登場。麺は白っぽい中細やや縮れ。具は刻み葱、茹でモヤシ、メンマ数本、そしてチャーシューというより豚肉の煮込み。透明度のある茶色いスープはいかにも中華そばって感じ。なので最初普通の正油スープの感じなのだが、後味で牛の脂の甘みを残していく。間違いなく牛骨ラーメン、いや、この一杯に限っては牛骨中華そばと言いたくなる。この店内の雰囲気といい、ラーメンの味といい大満足だ。汁一滴残さず完食。大満足で支払いをして退店した。
車に戻り北西方向に車を走らせる。浦安駅から2駅先の赤碕駅付近に『香味徳』赤碕店がある。1949(昭和24)年創業の老舗。由良、倉吉、銀座、ハワイにも同名の牛骨ラーメン店があるが、それらとはこの店は独立している、というよりこの店が本家なのだそうだ。この店こそ鳥取牛骨ラーメンの元祖と言われている『松月(閉店)』から味を引き継だとも言われている。大きな駐車場があるロードサイドの大きな店舗に到着したのは11時5分過ぎくらい。既に開店していた。早速入店。広い店内だ。入口に名簿があったが、まだそれほど客は入っていないようだったのですぐ案内された。厨房は店舗の奥にあり、男の店員2人とおばちゃん店員3人。客席は一列のカウンター5席、2人がけテーブル席3卓、4人がけテーブル席9卓、座敷には6人卓が3つ。先客9人くらいか、後客は続々来店し7割方の席は埋まっていた。口頭で注文。
お食事処というだけあってラーメン以外のメニューも豊富で中華、洋食などの定食メニューがずらり。ラーメンのメニューだけでも牛骨、味噌、豚骨、ちゃんぽんまで揃えている。この店に来て豚骨ラーメン頼む客は…いるのだろうな。我はそんな事はしないで筆頭基本のメニューを注文。麺はややかために茹でられた中細縮れ麺。具はきざみ青ネギ、茹でもやし、メンマ数本、スライスされた茹で玉子半分、脂身のないチャーシュー1枚。スープは確かに奥の方に牛骨の甘みを感じるが、最後にしょっぱさが勝つ味わい。元祖の牛骨は基本東京の中華そばを再現させようとしたが、入手が容易かった牛骨を代用して作ったのだろうと想像が出来る。だからこの味わいは歴史的に正しいのだろう。満足して支払いを済ませ退店した。8年前訪問を断念してしまった店に訪問出来て良かった。
近くに「鳴り石の浜」というのがあったので行ってみた。丸い石が自然堆積して海が荒れた日などは石と石がぶつかり合い一斉にコロコロと音を鳴らすのだとか。この日は海が穏やかだったせいでその音を聞くことが出来なかった。
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