鳥取菜麺
ご当地ラーメンの中には「ご当地ちゃんぽん」という系統がある。ちゃんぽんは言うまでもなく長崎の華人が生み出した塩豚骨スープに野菜や魚介等具材満載の麺料理だ。それが九州だけではなく全国に存在するのは何故か?その原因はひと頃流行ったB級グルメグランプリイベントにあると我は睨んでいる。好き勝手に地産の具材をのせる事が出来るし、スープも塩豚骨以外に変えれば独自性も出し易いから容易に創作出来たからであろう、長崎とは無関係の土地にご当地ちゃんぽんが次々と生まれていった。我はTV番組「マツコの知らない世界」でご当地ちゃんぽんが紹介されているのを見た事をきっかけに、地麺巡りにご当地ちゃんぽんを対象に加え食べ歩くようになった。そしてそのご当地ちゃんぽんの惨状を目の当たりにする事になる。番組で紹介されていた目的の店が幾つも閉店していたのだ。その店だけではなく他に提供する店すらなくなっていたというのもある。地元を盛り上げる為に創作したのに地元に定着出来なかった、受け入れて貰えなかった姿を見せられるのは楽しいものではない。「ご当地ちゃんぽん」は町おこし系ご当地ラーメンの悲惨な末路を、より強烈に知ることになった。
話はようやく鳥取のご当地ちゃんぽんの事になる。鳥取には先に書いたテレビ番組で紹介されてマツコも試食していた「鳥取カレーちゃんぽん」というがものがあった。カレールー消費量日本一の町として町おこしを図るのと連動した町おこし系ご当地ちゃんぽんだろう。調べてみたら2014年に作られたものだという。一応鳥取カレーちゃんぽん4大原則というものがあり、①鳥取を華麗な町にするための逸品であること②中華麺にカレー味のあんかけをかけた麺料理であること③具またはスタイルにオリジナル性を盛り込むこと④「かき混ぜて食べる」ことをしっかり伝える事…という決まりがあったようだ。当初は「鳥取カレーちゃんぽん連盟」を結成して盛り上げようとしていたらしが、現在連盟のHPは閲覧することが出来なかった。そして結局現在このメニューを提供している事を確認出来た店は、鳥取駅近くにある『北の大地』という北海道居酒屋1店のみだった。鳥取まで来て北海道居酒屋か…と複雑な気持ちになるがしょうがない。開店は午後4時半だよ。ちょうど帰りの飛行機の時間が遅くなったので旅の最後に訪問する事にした。
開店時間まで鳥取駅前をブラつけば待ち時間は容易に稼げるだろうと思ったがそれは甘かった。結局駅前のベンチに座ってスマホをいじって時間を潰し開店予定の5分前くらいに店に到着。ちょうど店員が営業中の札にひっくり返すタイミングだったの最初の客として入店。厨房には女の店員2人。奥に長い店内。客席は厨房周りにL字型カウンター6席と4人がけテーブル席が4卓…だけかと思ったら奥にはもっとテーブル席があった。2階と3階は宴会場とのこと。メニュー冊子を見て口頭で注文。後客は2人。
ジンギスカン・焼鳥・宴会 北の大地 『鳥取カレーちゃんぽん 中』 980円
ちゃんぽんは大中小のサイズがある。小は「〆にオススメ」と書いてあったから少量なのだろうと中を注文したらこれが強烈なボリュームだった。総重量575gだそうだ。麺は丸いストレート太麺。ちゃんぽん麺だ。具はもやし、コーン、きくらげ、にんじん、おくら、かまぼこ、ちくわ。それが麺の上に山になっていて青のりが振りかけられてある。スープは甘いカレー餡。カレーうどんのように鰹出汁は入っていない。ただ甘いカレーだ。なので店オリジナルのカレーパウダーが一緒にひとつ提供されていた。これで味を補正しろという事らしい。親しみやすいカレーの味なので不味かろうはずがない。各種野菜も食べられるのもちゃんぽんの長所のひとつ。ただボリュームがあるので旅の最後の一杯としては結構厳しい戦いを強いられた。食べても食べても減らない感じ。20分かけてようやく攻略出来た。実は今回鳥取を目的地に選んだきっかけだった鳥取かれーちゃんぽん。この絶滅危惧種のご当地ちゃんぽんを我の食べ歩きの記録に無事加える事が出来てとても満足した。支払いを済ませて店を出た。
店の隣のコインパーキングに駐車料金を入れて車に乗り込む。ガソリンを満タンにして10分足らずでレンタカーの営業所に到着。無事車を返却する事が出来て安堵したよ。空港に送ってもらい1時間後に飛行機に搭乗。羽田には予定より20分早く到着し無事家路に着くことが出来た。
今回の鳥取旅行は観光と食べ歩きの配分が我にはちょうど良く、しかも全ての目的地&目的店に訪れる事が出来て大変満足する事が出来た。
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