倉吉牛麺
我が全国のご当地ラーメンを食べ歩いた中で一番印象美味しかったラーメンは?と問われれば、そのひとつに鳥取倉吉の牛骨ラーメンがあげられる。そのファーストコンタクトは約8年前に訪問した『いのよし』の牛すじラーメンだった。この一杯によって我の中で牛骨ラーメンというものが強く印象づけられた。それ以降牛骨ラーメンという文字を目にするととりあえず試してみた。しかしながら今に至ってもあの『いのよし』の一杯に匹敵するものには出会えていない。
なので今回鳥取に再訪するあたり『いのよし』へ再訪問を果たしたいと願った。鳥取砂丘を後にして一路倉吉へ向かった。倉吉についた頃には日は落ちて暗くなっていた。店に到着したのはちょうど夜営業開始の午後6時あたり。待っていた客が入口に入っていくところを車中から確認した。あれ?前回訪問した店舗とぜんぜん違うぞ?以前は狭い店内に扇風機が複数稼働していたようなこじんまりとした店舗だったはず。ところが今回は大きな立派な店舗になっていた。場所も移転していたらしい。店の駐車場に車を止めて早速入店。厨房には店主を含めた男の店員3人と女の店員2人。向かい合わせに座る一列12席くらいのカウンターテーブルが2つ、テーブル席がいくつか配置され、座敷もあり4人卓が3つ。先客10人くらい。その後も来客は相次いでいた。
しょうゆ、しお、みそ、ピリ辛、辛口などいろいろなメニューがあったが、あの味と再会したかったので筆頭のしょうゆラーメンを選択。8年前の記憶のままか少し緊張してレンゲでスープを一口。あーこれだ!牛骨らしいほどよい甘さと出汁感。やっぱり今まで試した牛骨はこの一杯を越えていなかった。記憶の中で美化したわけではなかった。美味い!麺は縮れ細麺。具は刻み葱ともやしチャーシュー1枚。令和の今で600円をきってくるこの価格でこの美味さというのが信じられない。ここでしかこの牛骨ラーメンは味わえないのか…。山口下松の牛骨は甘みが強すぎる。東京銀座に進出している『香味徳』は塩気が強すぎるのだ。ラー博でこの店を呼んでくれないかなぁ。まだ鳥取牛骨ラーメンは出店していないはずだし。そんな妄想を続けてしまうくらいこの一杯が好きだ。大満足!支払いをしようとレジに行ったら箱入りのお土産ラーメンが売っていたので思わず買ってしまったよ。
更に南下してJR倉吉駅にほど近い場所へ移動。せっかく倉吉まで来たのだからもう1店牛骨ラーメンを訪問してみる。車をコンビニの駐車場を借りて駐車し道路を挟んだ向かいの店へ歩を進める。『ごっつおらーめん』倉吉本店だ。鳥取、米子、松江に支店を展開しているそうだ。一品料理もメニューにあるので夜はほぼ居酒屋形態での営業になっている。入口の網戸をあけるとちょうど満席。厨房に男の店員2人いたがしばらく無視される。その後我の後ろに若い男の5人組が中を覗いだタイミングでようやく店員が奥の座敷席を準備して案内し始めた。もっと早く対応してほしかったよ。客席は厨房前に一列4席のカウンター席。4人がけテーブル席2卓、座敷に4人卓2つ。先客8人後客5人。口頭で注文。
屋号を冠した筆頭メニューを注文。限定100杯と書いてあるが本当かは疑わしい。それより我が心配したのは先程食べた『いのよし』の牛骨ラーメンの後味を損なうようなラーメンだったらどうしよう、という事だ。結構待たされてから提供された。麺は白っぽい中細縮れ麺。具はきざみねぎ、細切りきくらげ、平メンマ数本、海苔1枚、半熟ゆで玉子半個、脂身の多いチャーシュー1枚。濁った茶色の半透明ないろのスープには白ごまがかかっている。恐る恐るレンゲで一口だけ啜ってみる。あ、牛骨だ、しっかり牛骨の味がする。そうでなくてはこの倉吉の町で牛骨ラーメンとして提供出来ないのだろう。とりあえず我の心配は杞憂に終わって良かった。もちろんだけど『いのよし』とは違う味わいではある。薀蓄があったので読んでみると、牛骨と若鶏、香味野菜をあわせて作っているのだという。個人的にはやっぱり『いのよし』の方が好みだなー。ともかく牛骨ラーメンで鳥取旅行初日を締めくくる事が出来て良かった。満足して支払いを済ませた。
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