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2020年8月28日 (金)

夏休新島

酷く暑い日が続く8月末の関東地方。こういう時期は朝はゆっくりと起きて、週末訪問すると行列に並ぶ事になる有名店へ午前中の内に訪問し、午後は空調の効いた自分の部屋に戻って静養する。そういう夏休みの過ごし方も良いと思う。でもそんな1日はすぐに記憶は埋もれ忘却する。まるで一週間前の朝食に何を食べたか忘れているかのように。忘れてしまった時間というのは人生を振り返った時に無かった時間と同位になる。それは虚しい。だから我は待ちに待った夏季休暇2日目の今日、旅へ出発する。記憶に残る時間にするには自ら能動的に演出するしかないのだ。

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京浜東北線に乗り浜松町駅に降りたのは朝6時40分頃。駅から歩いて8分ほどで竹芝桟橋の客船ターミナルに到着した。竹芝桟橋ターミナルに来たのは生まれて初めてだ。そう、我にとっては初めて東京の島嶼部、伊豆諸島に挑むことになる。その中で初めて訪問するのは「新島」に決めた。我の夏休みは離島旅行なんだよ。実を言えば本当は先月の4連休に計画していたのだが、高速船が全て満席で予約が出来なかった為に佐渡旅行に変更した経緯がある。おかげでこの時期に離島を訪れることの意義を実感する事になった。観光業者救済だけの話で終わらないのだ。そんな経緯で先月上旬にはこの日に狙いを定め夏季休暇を取得し船と宿を押さえておいた。一見すると飛行機にも新幹線にも乗らずに高速船で2~3時間で行ける伊豆の有人島への訪問はイージーなようにも思えるが、実際は天候が悪化しやすいので船が欠航してしまうのはよくある事らしい。なのでこの予約は賭けだったんだけど、幸運な事に好天に恵まれて無事乗船する事が出来て本当に良かったよ。欠航していたら我の夏休みは台無しになっていたところだ。

200828niijima01200828niijima02高速船は予定通り10時5分に新島港に到着。雲はあるものの強烈な日差しが降り注いでいた。そして港の海からしてこの色だよ!これはテンションが上がる!

200828niijima03200828niijima04 途中あちらこちらに諸星大二郎の世界感に出てきそうないびつな顔の石像が道端に置かれている。渋谷駅前にもあるのと同じモヤイ像の仲間たちだ。こういう奇妙な光景は異世界に来たような感覚になれるので我は大好きだ。今回は荷物がことさら重いのでまず予約していた宿に荷物を預かってもらう。それからすぐ近くの土産物屋で自転車を借りる。今回はレンタカーなしで行くよ。小さな島だからね。

200828niijima05200828niijima06首都東京の中心部港区から2時間でいきなりこの景色というのは、実際目の辺りにしてもまだ信じられない。町並みも石垣島に通じるような雰囲気があるよ。

まず目指したのは島東部の羽伏浦海岸という白い砂浜が延々と続く海岸だ。その北の方に「羽伏メインゲートハウス」と呼ばれる大きな白い建築物がある。建物の間に美しい色をした海が覗いている。何かのCMとかに出てきそうな、所謂「映える」場所だ。我が訪れた時には周りに観光客はおらず、より絵になる写真が撮影出来た。

200828niijima07200828niijima08残念な事にこの建物に設置してある大きなスピーカーからTRFの音楽が大音響で流されていた。何故そんな事をするのか?また岸壁がコンクリートで埋められていたので全然海岸じゃないじゃん!というわけで白い砂浜を目指し、ペダルを漕いで南下する。それにしても何という美しい色をした海なのだろうか…。

200828niijima09200828niijima10強い日差しの中自転車を漕いでかなりキツかったが次の目的の場所に到着した。「シークレット」と呼ばれる場所だ。当初サーファー達が絶好のサーフィンポイントとして通称「シークレット」として語られてきたのが由来らしい。今や観光ガイドブックに普通に紹介されている。とは言っても細い林道を抜けてようやく到着出来る場所だ。海岸へ降りるコンクリート製の階段が整備されている。絶景と呼ぶのにふさわしい景色が目の前に広がっていた。

200828niijima11200828niijima12200828niijima13200828niijima14あまりに美しい景色に現実感が危うくなり「CGじゃないのか?」と疑いたくなってしまった。鮮やかな海の色と突き抜けるような青い空。何故か鳥もいない。背後には白い崖が遠く見えなくなるくらいまで延々と続いている。新島南部は切り立った崖になっているが、特に東側は火山灰層が海に侵食されて出来た白い崖が延々続いている。我が今回の旅の目的地に新島を選択したのは、実はこの景色が見たかったから。だから感無量だった。

200828niijima17200828niijima15200828niijima16どんなに想像を絶する美しい迫力のある景色であっても、これは現実の世界。浜辺に降りて1分も経たない内に現実が襲ってきた。それは強烈な直射日光だ。見渡す限り日陰があるところなど存在しない、ほぼ白と青の空間。ただでさえここに到着するまで体力は相当消耗していた。念願の新島上陸の夢が叶い絶景を見続けたテンションでここまでやって来たが、この強烈な太陽光によって気力体力共みるみる蒸発していくかのようだった。この海岸へ降りるまでの長い急階段を今度は登らなくてはならない。長い間階段を見上げてから、ほぼゼロゲージになってしまった気力と体力を振り絞って数段登っては休み、登っては休みの繰り返し。まるで老人のようで自分が情けなかった。長い時間を賭けて何とか崖を昇りきって自転車の所まで戻ってこれた。でも息は上ったまま。暑いのに眠気だけは襲ってくる。これはマズイ。とにかく予約した宿に戻ってチェックインには早い時間だが横にならせてもらおう。必死にペダルに力を込めてノロノロと宿のある島中心部、本村を目指した。30分くらいかけて本村に到着。そうしたら現金なものでまずは冷たいものを欲して土産物店のイートインスペースを見つけてソフトクリームを注文。それで落ち着いたのか腹が減り出した。朝家を出る前にパンを食べただけだったからエネルギー補給が出来ていなかった事を思い出した。アイスティーとホットドックサンドがあったのでそれも食べた。食欲があるという事はまだ大丈夫か?

200828niijima19200828niijima18宿に到着しチェックイン。支払いを済ませ寝床で横になった。気温が低く太陽光があたらない場所が手に入り安心出来た。そのまま仮眠を取ることにした。レンタサイクルを借りたまま宿に入って昼寝するなど今までした例がないので自分でも情けなかったがどうしようもなかった。後で村の人に聞いたら今日は今までで最高に暑い日だったらしい。通常なら外出は控えるレベルだったのに、障害物の全く無い白い崖下の海岸に行くなんて半ば自殺行為に近かったのだ。でも全然後悔はしていない。あの超弩級の絶景を間近に見る事が出来たのだから。

200828niijima20200828niijima212時間弱仮眠をとって何とか気力体力共復活する事が出来た。日が落ちる前に目覚める事が出来て良かった。再び自転車にまたがり今度は島西側の本村周辺を散策してみる事にした。飛行機に乗らずこういう景色を目の当たりに出来る場所に来てしまっている事実に今更ながらに驚いている。

港の更に向こう側にある島の南部に少しだけ行ってみた。何故かギリシャ神殿の形を模した建築物がある場所に出くわした。「湯の浜露天温泉」という水着で入る無料の温泉施設らしい。暑くて温泉に入る気分ではなかったので足湯だけ入ってみた。隣には「鳥ヶ島」と呼ばれる小さな島があった。

200828niijima24200828niijima23200828niijima25200828niijima26夕暮れ時の海辺の景色というものが好きだ。ああ、夏の新島に来ることが出来て本当に幸せだ。

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