飯田地麺
今日から3連休。この好機を逃さぬように、日帰りの地麺巡りの旅へ出る事にした。今月に入ってから毎週末イベントを入れていて、我ながらかなり活動的になっているなと感じる。
我の地麺巡りの旅は日に日にディープにマニアックになってきている。先週訪問した「小見川ソースカレー焼きそば」もよい例だが、「これは地麺なのか?ただ一個人が言い張っているだけなのか?」が不明瞭な事が多い。そうなるともう実際足を運んで自分で確かめるしかなくなる。結構な時間と旅費をかけて行くリスクはあるが、その分アタリを引くと嬉しさの度合いも高くなる。先々週訪問した「長井馬肉ラーメン」のように。
今回の舞台は長野県飯田市。長野県南部に位置する山間にある街。交通の便は良いとはいえなさそうな場所だなぁとは思っていた。けど長野県なので早朝に横浜を出れば電車で午前中に到着出来るだろうと調べてみたら駄目だった。電車だけで移動するとなると前日出発すると検索サイトでは表示される。では高速バスかと調べたら横浜発だと5時間弱かかり、早朝と夕方の2本しか出ていない。新宿からは1時間1本出るが4時間半かかる。新宿から横浜までの移動時間を考えれば5時間以上かかってしまう。そんな難易度が高いとは思ってなかったので諦めようかと思った。でも更に調べると名古屋駅から約2時間で到着、本数も1時間に1本出ていることがわかった。新幹線を使うことになるが片道4時間ちょっとで行ける。理想的な工程で往復出来そうだ。金より時間の方が貴重でストレスフリー。早速事前に新幹線のチケットを買い、高速バスのチケットもネットで購入した。新横浜を7時過ぎに出発するのぞみに乗車し名古屋には8時半過ぎに到着。そこから名古屋バスセンターに移動。一度駅の外に出て移動する必要があるので時間がかかるなと思い、少し早めに名古屋に到着するよう調整して正解だった。バスに無事乗車出来て定刻9時に出発。ところが今日は3連休初日という事で渋滞にハマり予定より15分遅れの11時半前に飯田駅前に到着した。残念ながら天候は雨。でも今回は観光ナシの食べ歩きだから問題ナシだ。
最初の目的店は駅前から徒歩1分程度の路地裏にある1967(昭和42)年創業の老舗店『新京亭』。老舗のわりに歴史を感じさせない店舗だなぁと思ったら、調べたところ2016年にこの新店舗に移転したそうだ。店前や入口付近に待ちはなし。早速入店。すると何とちょうど満席だという。入口に戻って名簿に名前を書いて待てと言われた。するとどんどん後客がやって来て、小さな入口の待ち客スペースはいっぱいになって店内外に客が溢れ出す始末。8分ほど待ってようやく席に案内された。厨房は壁と曇ガラスの向こうにありよく見えない。接客のおばちゃん店員は3人。客席は厨房壁側に一列のカウンター8席、2人がけテーブル席1卓、4人がけテーブル席4卓、座敷に4人卓が2つ。客層にラオタらしい人などおらず、家族連れや老人達がほとんど。そういう層に人気という事は地元民の支持が厚いとうことだ。口頭で注文。
中華そば 新京亭 『中華そば』 650円
こちらは中華そばは醤油味だけのようだが、焼きそばや餃子、炒飯、カツ丼、親子丼などもメニューにあった。でも中華そばを頼む人がほとんどだった。我も基本の中華そばのみを注文。5分ほど待って着丼。おお、シンプルで素朴な顔立ちの一杯だ。でも特徴的なのは麺。白い平打ちストレート麺。柔らかいけどフニャフニャしているわけではなく、しなやかな喉越しが得られると言った方が良いかも知れない。具は刻み葱とメンマ数本、茹で豚と言った方がいいかもしれない小ぶりのチャーシュー3枚。スープはどちらかと言うと甘みを感じる醤油味。奥に煮干しの出汁を感じる。とても食べやすい。この店内のアットホームな雰囲気の中で食べるこの一杯は、自分が地麺巡りをしているという実感に酔いしれる事が出来たよ。合格の大満足!舌代を払って退店した。さて次の店こそ今回のメインで飯田を代表するラーメン店『上海楼』だ。創業は1947(昭和22)年。そもそも『新京亭』はこちらの店から暖簾分けされたらしい。つまり「飯田中華そば」の元祖とも言える存在。場所は駅から徒歩で8分ほど離れた商店街の中にある。こちらもマンションの1階にある商用スペースにある店舗だったので全然老舗感は感じさせてくれない。2006年にこの店舗に移転したとの事。昔は支店もあったようだが今はない。しかし地元民の支持は圧倒的で店前に6人、店内にも3人ほど客が待っているのを確認出来た。我もすぐ後に続いた。店員が出てきてメニュー表を手渡して来て注文を事前に決めておくよう言われた。待っている間に口頭注文。ちょうど正午という時間もあってか、我の後ろにもすぐ10人の行列が生じた。10分ほどの待ちで着席出来た。厨房には男の店員2人と女の店員2人。厨房前に一列のカウンター8席、2人がけテーブル席6卓、座敷に4人卓3つ。後客も続々来店し常に行列が生じていた。この店も家族連れや老人、若者グループと地元民全世代に支持されていることがわかった。
こちらの店は醤油メインだが、塩や味噌もある。ラーメンメニュー以外に餃子や中華丼もある。我は基本の中華そば…と思っていたけど、あの麺ならワンタンが合いそうと思ってワンタンメンを注文した。15分以上待ってようやく到着。なかなか迫力のある顔をした一杯。麺量が多すぎてワンタンがスープ表面から上にあり、その上にメンマ、更にその上にチャーシューと層をなしていた。『新京亭』と連食だった為食べてみると微妙な違いがわかって面白い。まず麺は自家製の白い中太ストレート。かんすいを使わず重曹を使っているとか。『新京亭』ほど平打ちではなく、柔らかいけど重量感を感じる。麺が長いので並でも200gになるという。スープは甘みを感じる豚骨清湯。こちらは煮干しは感じないゲンコツ100%。具はきざみ葱と味濃いめの平メンマ数本、サッパリした味わいの豚モモチャーシュー1枚。豚肉ワンタンが10個くらい入っていた。重曹を使った白く柔らかく長い麺という特徴、そして系統は同じでも店により生じるバリエーションとその広まり、何より地元民の圧倒的な支持を得ている。これは紛れもなく飯田地麺と認定して良さそうだ。ここまで足を運んで良かった。大満足。
+『ぎょうざ』 450円=1250円
飯田の餃子も特徴的というので注文してみた。千切りキャベツの上に揚げ餃子が5個。提供される際に「味が付いているのでそのまま食べられます」と説明を受けた。確かに塩気強めのタレがかかっている。餃子はパリパリ感はなく、むしろモチモチしている。蒸してから揚げているので通常の餃子とは製法が異なり、個性が際立っている。これも飯田に来たら合わせて食べたくなる品で満足。
スープ以外は平らげてもうお腹いっぱい。大満足で席を立ち支払いを済ませて店を出た。雨の中待っている客の行列はまだ続いていた。
コメント