米沢筆頭
ラーメン消費量日本一であり、ラーメン王国の異名をもつ山形県。それ故県内各地に個性的な地麺が存在する。そんな山形地麺をたった一泊二日で巡ってしまおうと、我は2010年8月6日、真夏の山形へ訪れた。その旅は我の地麺巡りの旅の中でもトップクラスで過酷だった。楽しかったけどね。でも山形県の地麺は一泊二日でなんとかなるような浅いものではなかった。なので2015年の夏と冬の二度に渡って訪れた。しかしそれはいずれも日本海に面した庄内地方だけだった。まだ内陸も取りこぼしている地麺が存在していたことを最近になってようやく思い出した。思い出すと我慢が出来なくなってしまい、本日置賜地方と村上地方の地麺巡りの旅に出ることにした。
10時20分過ぎに米沢駅に降り立った。横浜は本降りだったがこちらは青空が少し見えていて安堵した。米沢には9年前の真夏の山形遠征最後の目的地として訪れている。その頃はまだ体力もあったので、車は使わず公共交通機関かレンタサイクルを使用し店を巡るスタイルだったが、この米沢駅周辺には当時レンタサイクルなどなかった。過酷な旅の最後でバテ気味だったので、結局禁じ手のタクシーを使った苦い思い出がある。その為十分な米沢ラーメン店巡りが出来たとは思えず、いずれ再訪したいと思っていたので今回は米沢を最初の目的地に選んだ。そして予め予約していた駅前のレンタカー事務所へ。
本日最初の目的店は米沢ラーメン筆頭といわれる『ひらま』。昭和35年製麺所として開業、その後昭和47年に店主が独学で学んだラーメンを提供することとなった。現在でも製麺所として市内数店舗に麺を卸しており、この店の存在が「米沢ラーメン」の名を全国に知れ渡らせる主な要因になっている。「米沢ラーメン筆頭店」で間違いない店だ。場所は車で行かなくては厳しい場所にあり、前回の米沢遠征時訪問を断念していた経緯がある。到着したのは開店予定の30分前。流石に誰もいない。しかし直後に店前の駐車場が埋まりだした。まだ時間があるからと車の中で待っていたら開店20分前から店前に人が並びだした。慌てて我も車外に出て並ぶ。しくじった。車も続々店にやってきて行列も長く伸びていく。開店予定の5分前に店主自ら暖簾を出してくれた。厨房にはいかにも職人といった感じの店主と割烹着を着たおばちゃん店員3人。厨房前に一列のカウンター11席、4人がけテーブル席3卓。口頭で注文。他の客は夫婦や家族連れ、作業着姿の男などが多くラオタな感じの人はいなかった。田舎町の人気ラーメン店という感じが良いねー。すぐ満席になった。
そばの店 ひらま 『中華そば(麺かため)』 650円
基本メニュー、先客に習って麺かため指定。注文グループ人数ごとに調理しているようだ。現れた一杯は温かみを感じる良い顔をしている。具はきざみ葱、細切りメンマ、ナルト1枚、海苔1枚、パサツキチャーシュー1枚。スープは豚骨鶏ガラ煮干しのじんわり旨味が伝わる東北らしいスープ。最初っから胡椒がかかっている。そして主役は間違いなくこの縮れに縮れた中細麺。製麺時に手もみして2~3日熟成させてから、茹でる直前にさらに手もみする念の入れよう。もの凄い存在感のある麺に仕上がっている。そしてこれは山形ラーメンに共通する特徴なのだが麺量が多め。この店内の雰囲気の中、カウンターに座って縮れた麺を音を立てて啜っていると多幸感に包まれ「地麺巡りって本当いいなー」と実感してしまった。本当に来てよかったと思わせる店。大満足で舌代を払って店を出る事が出来た。
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