忍野八海
またやってきた酷暑の季節。避暑地へ行きたい気持ちは高まるばかり。昨年訪問した三島の富士湧水回廊を思い出し、今年も富士湧水を見に行きたいなという気持ちになった。今度は更に富士山に近い湧水池地帯として有名な忍野八海に行ってみよう。来週の三連休への訪問を計画し下調べしている内に、来週まで我慢出来なくなってしまった。天気予報では安定した晴れ間が続くようなので来週まで待つ理由もない。昨日帰宅後心を決めた。そして朝4時に家を出て始発2本目の電車に乗った。東神奈川で横浜線に乗り換え八王子に出て、そこから中央線で高尾で乗り換え大月へ。更に富士急行で富士山駅に到着出来たのは朝8時前。急いで駅前バス停に移動して忍野八海へ行くバスに乗り込む。小さなバスに乗り約30分ほど揺られて忍野八海のひとつ手前のバス停で降りた。それは忍野八海を回り込んで浅間神社側から散策した方が効率が良さそうだったからだ。何だか水木しげる作品に出てきそうな風景がいくつか見つけて旅への期待が高まった。
忍野八海浅間神社(祭神:木花咲耶姫命)
いよいよ忍野八海。8つの富士湧水池からなり、富士山信仰の対象となって、各池には八大竜王と呼ばれる守護神が祀られている。我はそれを八番目の池から逆順に巡ってみようと八番池である菖蒲池から巡礼を始めた。実際には順番通りには行くことが出来なかったが、その順に書いておこう。
菖蒲池(八番霊場・祭神:優鉢羅竜王)
湧水池だから水の透明度は高いが名前の通り菖蒲が生えている以外は地味な普通の池に見える。なので尻窄みではなく徐々に盛り上がるように逆周り巡礼コースを選んだのだ。
鏡池(七番霊場・祭神:麻那斯竜王)
忍野八海観光中心部にある中池に向かう途中にあった。小さく目立たないので「本当にこの池が八海?」と思ったほど印象が薄い。この鏡池に限ったことではないが、透明度が高いので反射も高く、写真だと空の雲が映り込んで底が見えづらい。
濁池(六番霊場・祭神:阿那婆達多竜王)
阿原川とほぼ同化して川の一部になっているような湧水池。なので流れが早く、名前に反して透明度の高い清流といった場所。水面がキラキラ輝いて涼を感じることが出来た。
この池こそ忍野八海の代表する湧水量と景観を誇る池。富士の雪解け水が大量に流れ出る。深い池だけど透明度が高すぎてよくわからなくなっている。見惚れてしまうほどの水の碧さ。
銚子池(四番霊場・祭神:和脩吉竜王)
石垣で丸く囲われている小さな池なので、その深さを除けば、見た目は民家の庭先の池と変わらない。一応砂地から湧き水があるようだけど、魚も泳いでいないし、先の湧池を見てしまった後ではあまりに地味すぎる。
底抜池(三番霊場・祭神:釈迦羅竜王)
ここだけは何故か有料で300円を自動券売機で払って中に入った。中心にある大きな池は忍野最大の池である「榛の木池」という人工池。これはダミーのようなもので、真打ちは回り込んだ奥の方にひっそりある。忍野八海の中でも最も昔の状態を残しているのだそうだ。夏らしい山の景色も望めた。
お釜池(二番霊場・祭神:跋難陀竜王)
日が当たらない場所にありあまり綺麗ではない小さな池だが、一部が深くなって碧く美しい色をしている。
忍野八海の中でも最も大きな池だが他の池がある場所から1km近く離れた場所にある。忍野八海は占星術的には他の七池は北斗七星になぞられ、この出口池だけが北極星とされている。だから離れている。それでもたった1km。歩いたところで10分弱。それなのに誰もいない。近くに神社があるだけで土産物屋の類も全くない。静寂に包まれている。そして池の水面には川霧が漂っている。神秘を感じる光景だ。気温と水温の差によって生じる霧。普通は水温が気温より高くなった場合に生じるものだが、これは逆なのだろう。池に降りる階段があったので降りて水を触ってみるとやはりキンキンに冷たかった。この光景を目にすることが出来て幸運だった。
八池全ての訪問を終えて忍野八海中心部に戻ってきた。観光の中心部には水車小屋があり、透明度の高い大きな池がある。その奥には大規模な土産物屋がある。忍野八海巡りをしていてすれ違うのはほぼ中国人観光客。驚いたことに土産物屋の店員まで中国人。売られているのは富士山関連の絵に描いたような日本土産の数々。個人所有の池。だけど池の真ん中にある中島には8mにも及ぶ深い湧水口があり綺麗な蒼色をしている。この池の光景が忍野八海を代表していると言っていい。我は湧水をペットボトルに詰めて本日唯一のお土産にした。
2時間ほどの滞在で忍野八海は堪能できたと満足し、乗り合いバスに乗って富士山駅に戻った。駅の地下にフードコートがありうどん屋があった。「吉田のうどん」というご当地うどんがあるそうだ。
とがわ 『肉うどん』 500円
捻じれがある太いうどん。麺の食べごたえがなかなか。肉だけではなく野菜もたっぷり。天かすはセルフでたっぷり入れた。美味かった。
大月までの富士急行、大月から八王子までも特急に乗ることが出来たので、2時半頃には無事帰宅出来た。
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