朝尻屋崎
下北半島。対になっている津軽半島に比べ圧倒的に印象的な、トマホークのような特異な形状をした半島。本州最北の地。中央にはこの国最大級の霊場、恐山が存在する。我がまだ訪れたことのない土地の中でも特に存在感があり、行ってみたいなーと思っていた。今日は念願叶ってほぼ丸一日下北半島を縦横無尽に巡るのだ。
むつで目覚めた旅行2日目の朝。朝5時半に早速別館にある斗南温泉の湯船に浸かる。ここは一般客用にも開放されているようだが、宿泊客専用スペースもあり、それはロッカーキーに埋め込まれたセンサーによってドアが開く仕組みになっている。ちょっとした優越感も味わえた。大きな露天風呂の湯船の中手足を伸ばして空を見ていると、普段蓄積してしまった心のゴミが指先から出て溶けてゆくようだ。部屋に戻ってしばらくゆっくりした後身支度を整え7時前にはチェックアウト、出発。どんよりと灰色の空。奇跡は昨日だけだったか…。
事前の調査したところ、むつ市内には朝7時から営業しているラーメン店があると知った。そこで朝食代わりに一杯食した後に下北半島を巡る旅に出発する計画を立てた。むつ市内からちょっと外れた住宅街の中にその店はあった。しかし暖簾はかかっていない。窓には今月の定休日の表が貼られており、この三連休は見事に休業日指定されていた。むつ市と我は相性が悪いのか?昨夜からこんなのばっかりだ。
気持ちを切り替えて最初の目的地、トマホークの柄の先端の部分、下北半島の北東端、尻屋崎に向かって一路車を走らせた。途中から両側は緑に覆われた真っ直ぐな道が延々と続く、ここは北海道かと錯覚するような時間が続いた。そしてフロントガラスに雨粒。その数は増していき、ワイパーも強で対処せざるを得ないくらいだった。1時間かけてようやく尻屋崎へ到着。入口のところにゲートがあり、この時期だと朝7時から夕方4時45分で閉められてしまう。それはここで天然記念物の野生の寒立馬が放牧されているからだ。監視がない夜に民家に出ていかないようにする為だろう。到着したのは朝8時なので車が近づくとゲートは開いて、そのまま車を走らせ岬先端にある灯台まで移動した。
車を降りてみると不思議と雨は止んでいた。灯台は小さなものだったが、その周りに自由にくつろぐ寒立馬たちは大きかった。競馬馬とかに比べるとずんぐりしていて足が太い。人がいても気にする様子は見られなかったが、大きい野生馬なのであまり近付こうとは思わなかった。そして「死んでるのか?」と疑ったほど、平気で横になって寝ている。よく見れば腹は動いていたので生きているとわかったくらい。フリーダムな馬たちだ。その姿を見て何故か我までのんびりした気分になれた。
さて次はいよいよ恐山へ向かう。反対側のゲートに向かったら、こちらは8時45分から開くらしい。何で時間をずらすかな?仕方なくUターンして最初のゲートに戻って来た道を逆走した。
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