天草下麺
天草は上島と下島の大きな2つの島が主体となっている。今日のところは下島の南半分の観光にしようか。でも我は天草にやってきた目的のひとつが「天草ちゃんぽん」を食べる事だ。もう夕方4時と結構いい時間になってしまったので、まずこれを攻略しておこう。事前調べで我が狙っていた店はことごとく日祝休み。その中でも何とか営業してそうだった店へ行く。訪ねたのは大江天主堂という有名な教会の下にある『メーンの盛(もり)』という店。夜6時で店仕舞、麺切れ次第で営業終了というので一か八かの訪問となった。店はどことなくリンガーハットっぽい白い洋風の建屋になっている。暖簾は出ていたので間に合って良かった。早速入店。こじんまりとした店内。内装は白で統一されていた。厨房は奥にあり年老いたばあさんが1人だけ。前後客ゼロ。テレビやラジオもなく店内は静まり返っていた。客席は4人卓☓2、座敷に6人卓☓2。口頭で注文。
メニューはちゃんぽんと皿うどんとチャーハンのみ。麺はやや柔らかめの中太ちゃんぽん麺。具はどちらかというと野菜中心のちゃんぽん。玉ネギが分かれてないまま大胆に入っている。スープはあっさりした鶏ガラ塩スープ。我にはあっさりし過ぎてインパクトがなく「もの足りない」というのが正直な感想。でもおばあちゃんが一人小さな声で「エッ!エッ!」と言いながら一生懸命作ってくれた一杯を悪く思えるはずもない。野菜の多さが家族を思って作ってくれた感が出ていて何かほっこりとした気持ちになれた。お代を払って店を出た。雨はすっかり止んで雲の切れ間も見えてきた。だから近くの大江天主堂を見学してきたのだが、店に戻ってきた時にはもう暖簾が仕舞われていた。
今来た道を戻って南下。世界遺産に登録された崎津集落に行ってみた。今や到るところが世界遺産登録されて個人的にあまり有り難みは感じていないのだが、いかにも日本の漁港といった感じの港町に教会がある異様な風景が気になり来てみた。そして今はクリスマス。教会はそれらしいライトアップがされていた。日はほぼ沈んでおり夕闇せまる漁村の路地裏が、我には「つげ義春」的な世界観と地続きになったようで、個人的にはそちらに惹かれてしまった。猫が自由に散歩している。漁村の雰囲気、我は好きだなあ。
さてと運転疲れも限界に近い。今夜の宿泊地である下田温泉に向かう。本来ならば夕陽が綺麗らしいのだが今日の天候では望むべくもない。それにすでに日はとっぷりと暮れて完全に闇に包まれている。何故かエアコンが効かずフロントガラスが結露して前が見えにくい。車線やガードレールの蛍光板を頼りに海辺のクネクネ道を車で走ったので生きた心地がしなかった。18時過ぎ頃に何とか無事に予約していたホテルに到着出来た。今日の日程は無事終了。ひと安心だ。
部屋は畳敷きで湯呑とかがある和室の部屋。横になりたいが布団を敷いてもらわなくてはならない。我はほとんどビジネスホテルを常用していたので、こういうのには慣れていない。夕食ナシの予約だったので、売店で軽食でも買おうかと思ったら土産物ばかり。コンビニも近くにはないという。仕方がないからまた車に乗って近くの温泉街に出向く。するといかにも地元民用の商店を見つけたので飲み物とかピーナッツ等を買って来た。戻ってきてもまだ布団が敷かれていないので先に風呂に入る事にした。フロントに部屋の鍵を渡して再度布団を敷くようお願いをした。大浴場は誰もおらず貸し切り状態。ゆっくりと肩まで湯に浸かり汗を流した後、セルフでリンパ・マッサージを行った。気がついたら昨日まで引きずっていた風邪の症状も収まっていた。部屋に戻ると布団は敷かれていた。ようやく横になれた。旅行ガイドを眺め明日の予定を考えていたが、いつしか睡魔に襲われてきたので、灯りを落として本格的に寝る事にした。とりあえず無事こうして横になれる事に感謝だ。
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