加計呂麻
加計呂麻島。奄美大島南部に位置する77km2の島。しかし海岸線がかなり入り組んでいるので海岸線長は147.5kmに達する。島には集落が点在していて約1600人が住んでいるそうだ。この島に渡るには、奄美大島南部の港町、古仁屋から船に乗らなければならない。旅行最終日はこの加計呂麻島に渡って奄美を堪能してしまおうという欲張りな試みだ。
今日の午後3時には返車して4時前に出発する飛行機で帰らなければならない。その為には午前中の間に島に渡って帰ってくる必要がある。なので朝7時発の第1便に乗るために朝5時に名瀬のホテルをチェックアウトし、まだ夜が明けきらない奄美の蛇行した道を車で進み6時半前には古仁屋に何とか到着出来た。6時半にはフェリーチケット売り場が開き、名前を告げてチケットを受け取る。前日ホテルのフロントに相談したら、予めフェリー事務所に電話で予約しておいた方が良いというアドバイスと、フェリー事務所の電話番号を教えてくれたので、電話予約していたのが功を奏したと思う。せっかく古仁屋に早朝やってきても満車で乗船出来ない可能性だってあったはずだ。無事フェリーに車を乗せ加計呂麻島へ渡ることが出来た。ようやく日が上ってきたのでわかったのだが今日も快晴だ。乗船時間は25分だった。沖縄県であればすぐ長い橋をかけて本島を結んでしまうのだろうが、ここは鹿児島県だ。7時半には島の瀬相港に上陸出来た。
旅行最終日だから、また綺麗な海が見てみたいなー。調べると島最北部の実久(さねく)海岸というのが島屈指の美しさを誇るらしいので行ってみる事にした。この島は奄美大島に比べてやっぱりローカル感が強い。そして道路は海岸線と辿るクネクネ道でほぼ一車線分しかない。なのでカーブばかりの狭い道を慎重にアクセルを踏みながら1時間弱運転してようやく目的地実久海岸に辿り着いた。
到着は朝8時半くらいだったかな。海岸にはほとんど誰もおらず泳いでいる人はいなかった。港からかなり離れているので秘密のビーチ感が大きい。でも…正直言って初日に見たビーチと比べてしまうと一段落ちるような印象は否めなかった。砂浜に石ころは多かったし、海もそれほど青くなかった。時間帯のせいかも知れない。向かい側の奄美大島で雲が育っていく様が面白かったかな。
今度は一気に島に南下し諸鈍デイゴ並木を目指す。後で考えてみればこれが無謀だった。冒頭に書いた通り、この島の海岸線がかなり入り組んでいて、その上車道は一車線がほとんど。それを島最北部から最南部へ移動するというのは、普段車を運転しない我からすればハードルが高すぎたのだ。帰りの船の時間もあるので、相当な緊張と集中力で1時間休みなしで運転することになってしまった。
ようやく到着出来たテイゴ並木は、南国らしさがあって雰囲気はあるけど、規模は小さく裏手には普通の民家があったりして拍子抜けだった。春に赤い花が咲いて綺麗らしいけどね。でもその対岸にある諸鈍湾が美しかった。
広い海岸線には誰もいない。空と海と山が一体となって「夏休み」そのものの景色に感じられた。頭の中で井上陽水の「少年時代」がかかったよ。我の旅の締めくくりとしてふさわしい景色だ。平成最後の夏休みか。良い夏休みが経験が出来た。
船の時間もあるのですぐ出発し瀬相港に戻らなくてはならない。また同じカーブ続きの道を行かねばならない。加計呂麻島にはほとんど運転しに来てしまったようなものだ。でも運転しながら車窓からだけど、テレビ番組でしか見たことがないような、大きな木の下で家族数人が農作業をしている光景を一瞬見る事が出来た。のんびりした時間が流れたいい島なんだろうな。我が時間に余裕のある生活が出来るようになって泊りがけでゆっくりと過ごしたら印象はきっと違うものになっていただろう。
朝5時からほぼぶっ通しの運転で何も食べていないので腹が減った。港近くのお土産店で「黒糖アンダーギー」と「みき」を買った。フェリー乗船後、客席にも上がらず車中で食した。「みき」というのは商品名ではなく、奄美の郷土飲料で米と芋を発酵させた飲み物。表現すると甘酒に近いけど酒感はなく、ぬるんとした独特の粒粒感と甘みがある。奄美らしく素朴で美味い。アンダーギーは2.3個食べたところで奄美大島に到着した。
コメント