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2017年11月23日 (木)

讃岐饂飩

まずはかけつけ一杯。香川だもの、もちろんうどんの事である。我が言う地麺とは「地ラーメン」の意味。本来の意味の地麺で言えば、香川には「讃岐うどん」という強烈な地麺が存在する。香川県は「うどん県」という異名があるくらい、県そのものの代名詞になってしまうほどの名物。我もうどんの中では讃岐うどんが今のところ一番好みに合致する。ぜひ本場で食べてみたかった。と言うのも、元々うどんは好きだったけれど、その凄さを実感したのは先の香川遠征で食べた『三代目讃岐つけめん萬次郎』のつけ麺を食べた事に始まる。その麺とちくわ天の美味さに感動したのだ。我が駄舌だからかも知れないけど「食べ物を食べて感動する」というのはなかなかあることではない。何でつけ麺を食べて讃岐うどんの凄さを語ってるんだというツッコミは入りそうだが、このつけ麺を生んでしまう香川という土地、それは讃岐うどんという巨大な存在があってこそだと思った。どんなに凄いんだ、本場の讃岐うどんは?プロレス的幻想の膨らませ方だけど、そんな訳で我は本場の讃岐うどんというものに幻想を持っているのだ。ようやく実現する。

とは言え我は讃岐うどんの素人。讃岐うどんの世界は奥が深いというのはちょっと調べただけで理解できる。多くの店は朝から昼の数時間のみの営業で、自分で麺を湯がくセルフ方式という店が多い。中には辺鄙な山奥でひっそり営業して、ネギは裏の畑から自分で切り取りうどんに入れるなんていう店もあると聞いたことがある。つまりラーメン食べ歩きより難易度が高く、マニアはお遍路さん並にそういった店を攻略しているそうだ。「恐るべき讃岐うどん」である。我は「うどん」に対してまだそんな知識もないので、頼りにするのは「食べログ百名店」の情報。ここで紹介されている店ならハズレをひく確率も低いだろう。2017年版には100店中27店が香川県から選出されていて、その中でも高松市中心部にある店に絞り込めば行くべき店というのが浮かんでくるだろう。

最初の訪問に選んだ店は『うどんバカ一代』という、昨年4月に開店したばかりだけどもう名店入りしている凄い店。駅からだとちょっと距離がある場所にあるが自転車での移動だと楽だ。店に到着したのは10時半頃だったかな。駅から店までの道も人通りはまばらで、店前も人はいない。高松が寂しい街という印象は拭いきれていない。しかし暖簾を割って入店してみると高松に入って初めての活気を感じる事になった。店内には行列が生じており客の賑わいが感じられた。この店は「セルフタイプ」の店。かけとか釜揚げとか、うどんのタイプを注文し、うどん玉が入った丼をもらい好きな揚げ物を皿にのせ料金を支払う。ここまでは全国にチェーン展開する『丸亀製麺』と同じだが、自分でうどんをテボに入れふるい、出汁を注ぎ、薬味を加えるまでする。このセルフタイプ以外にも讃岐うどん店は2つのタイプが存在するそうだ。関東にあるうどん屋同様、完成形でうどんが提供される「一般店」、製麺所の一角でうどんを食べさせる、「セルフタイプ」の基となった「製麺所」タイプの店だ。セルフ式なので流れで移動しながら作業をしながらの注文となる為、ゆっくり厨房など観察出来る余裕がなかったなー。店員は男女7人くらいいたかな?客席は食べログによると、カウンター9席、テーブル20席、座敷に4人がけテーブル席2卓。大勢の人で賑わう中何とか着席出来た。店内上段にはサイン色紙がずらりと並んでいた。

171123udonbakaichidai00 171123udonbakaichidai02 171123udonbakaichidai01 手打十段 うどんバカ一代

『釜バターうどん(小)』 490円+『ちくわ天』 100円=590円


新進気鋭のこの店が人気店に躍り出た理由のひとつに、この「釜バターうどん」の存在がある。このメニューは手間がかかるらしく、あまりセルフ感は感じられなかった。口頭で注文すると、生卵とだし醤油が先に渡され、同時に番号が告げられる。しばらく待っていると自分の番号が呼ばれるので、また厨房前でうどんを渡され、ネギや天かすを自分でトッピングするという方式になっている。出てきた一杯はうどんの上にバターがのっかり、大粒の黒胡椒が振りかけられている。これに生玉子を投入し混ぜると、まるでカルボナーラのようなうどんの出来上がり。本場讃岐うどんのファーストコンタクトの相手としては変化球過ぎる気もするが、結果的にとても美味しかった。特にうどん麺の食感が魅力的。このモチモチ感とシコシコ感、そこにフワフワ感がのっかるのが凄い。大粒の黒胡椒のガリッとした異物感も逆に良い効果を出している。さすが本場は違う。大満足で店を出た。

2店目は昭和43年創業、元祖セルフ方式の店『竹清(ちくせい)』本店だ。全国に5店、主にショッピングモールに出店しているらしい。店構えは着飾らない、シンプルな感じ。店前に人はいなかったが店内に行列が出来ている。この店の名物は「半熟卵天」と「ちくわ天」。この2つは店の入口で揚げたてを提供している。列に並んでいる間におばちゃん店員が希望する客の名前を聞いてくる。あとはうどん玉を自分で湯がいて、柄杓で出汁をかける。客席は壁向かいに一列のカウンター6席が2つと、6人がけテーブル席2卓。

171123chikusei00 171123chikusei02 171123chikusei01 セルフうどんの店 竹清 本店

『うどん(1玉)』 170円+『半熟卵の天ぷら』 100円+『ちくわの天ぷら』 100円=370円


代表メニューのセットを注文。後から名前を呼ばれ天ぷら2種が届けられた。看板にするだけあって、揚げたての天ぷら2つが素晴らしく美味い。特にちくわ天は絶妙だった。出汁が良い塩梅。うどんは先程の店の後だとフワフワ感が足りず普通に感じてしまったが、こっちの方がオーソドックスなんだろう。これでこの値段。ラーメン食べ慣れていると讃岐うどんのコストパフォマンスが良さが実感出来る。

続いて3店目に選んだのが『松下製麺所』。昭和41年卸・小売店として創業し、昭和50年にうどん店として営業開始したそうだ。食べログによるとこの店は日祝定休となっているが、『竹清』からそれほど離れていない場所だったので行ってみると暖簾が出されていた。これはラッキー。この店は店名にある通り製麺所タイプ。店舗の横が製麺所になっている。男女二人の店員で切り盛りしていた。自分で湯がいて出汁を注ぐ。客席は8席のみで先客6人ほど。後客は続く。

171123matushitaseimenjyo00 171123matushitaseimenjyo01 松下製麺所 『うどん(一玉)』 200円+『温泉たまご』 80円=280円

こちらはかけうどんだけの提供らしい。うどんもオーソドックスタイプだけどやっぱりコシが違う気がした。温泉たまごは余計だったかな。うどん単体で楽しみたかった。あと帰ってきてから知ったのだが、この店は中華麺とうどん麺のちゃんぽんも出来たそうだ。それをやっておけば良かったと今後悔している。

我は「本場で讃岐うどんを食べた経験がある男」に昇華する事が出来た。満足で瓦町駅へ戻った。

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