冒険見送
我が心の師、水木しげる御大が昨年11月30日急遽された。享年93歳。大往生と言っていいのかな。我は小学生低学年の頃から水木マンガにハマっていたので、その世界観、ものの見方に大きな影響を受け育った。入口は「鬼太郎」だった。子供の頃は怖がりだったのに何で好きになったんだけかな?怖い以上に摩訶不思議な雰囲気に惹かれたんだろうなー。それから「河童の三平」や「悪魔くん」サンコミックの単行本などを小遣いから買ったり古本屋巡りしたり作品を収集していった。インターネットというものの影も形もない頃。作品群は底を知らない。そして妖怪モノから風刺モノへ。そのシニカルな視点にとても影響を受けた。そして自伝作品も多く書かれていたので、その人柄を知り赤の他人とは思えなくなった。故郷である鳥取境港まで初の一人旅を敢行までした。それが突然の急遽。年齢が年齢だけにある程度心の準備は出来ていたとはいえ…。まあ人の死ぬ時とはそんなもの。
乃木坂駅を出ると既に大行列が出来ているのが見えた。参加者の顔ぶれは老若男女多彩。そうだよね、我は「自分と水木しげる」という視点でしか考えていなかったが、これほど多くの層に影響を与えた漫画家は故・手塚治虫氏くらいなものだろう。「ゲゲゲの女房」だけで知ったファンもいるんだろうな。鬼太郎のコスプレした子供を連れた親子などを多く見かけた。その逆に飛行機や新幹線で日曜午後にかけつけた年季の入った先輩ファンも数多くいるに違いない。物凄い人が参列していたので並び始めてから祭壇に献花するまで90分もかかった。それでも皆列から離脱する事なく寒い中ちゃんと列に並んでいるんだな。そうしていると水木夫人が車いすで娘さんに押されながら列の方に何度か挨拶しに来てくれた。皆一斉にお辞儀した。
我に多大な影響を与えてくれた水木しげる御大。「丸い輪の世界」の向こう側へ大冒険に旅立たれた。もう新作は見れないけど、膨大にこの世に残していってくれた作品群によっていつでも摩訶不思議な「水木しげるの世界」に迷い込むことが出来る。斎場を出た後も斎場を回りこむような行列が出来ていた。
そして御大最後のメッセージカードを貰った。
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