最北到達
昨年10月。千歳空港から搭乗した小さなプロペラ飛行機は、眼下に稚内空港を捉え最終着陸態勢に入った。しかしまさか、まさかの急上昇。天候不順を理由に着陸を断念し千歳空港に逆戻りとなった。日本最北端の地への訪問が幻に終わった瞬間だった。心の中で膝をつき、機内で呆然としてしまった事はまだ記憶に新しい(「稚内無念」参照)。
その時以来、自分の中で稚内への思いが強くなっていった。今まで縁がなかった北海道だが、地麺巡りを通して毎年訪問を繰り返し、道北、道央、道南、道東と主要なところは一通り周る事が出来たつもりになっていた。稚内以外は。稚内というのは他の主要都市、観光地からかなり離れており、ある意味潰しが効かない。車で移動するといっても約半日以上は費やす事になる。素晴らしい海や山の景色は続くけど延々単調な景色が続く。限られた時間の中で旅行行程に組み込むのは勇気のいる事なのだ。未遂に終わった昨年の計画では、稚内空港でレンタカーを借りて宗谷岬に行った後、稚内の町にも寄らずひたすら245km、約5時間半以上かけて初日の宿泊予定地旭川まで行こうとしてた。しかも5時間半というのは休憩時間を入れていない時間だからね。しかも運転に慣れていない我からすればハイリスクだ。無知から来る無謀もいいとこだった。今から思い返せばの話だけど、逆に計画倒れになってくれて良かったと思う。
それでも我の稚内への想いは募る。我の中の北海道、最後の1ピース。これを回収する為、既に今年春先に飛行機も宿も手配済み。大型連休とあって早めに手配するのが吉だからだ。それでも宿や飛行機の座席も結構埋まっていたな。今回は往復とも羽田から稚内への直行便を利用する。利尻島や礼文島には行かず、レンタカーも使用しない、稚内に絞った1泊2日、実滞在約24時間ちょっとの短くシンプルな旅行計画だ。
直行便の時間は決まっているので、我のいつも早起きは三文の得作戦は出来ず朝8時半くらいに家を出る。なので早朝の根岸森林公園へのウォーキングは出来た。今回はリムジンバスではなく京急エアポート急行に乗って羽田に向かった。連休初日なので道路の混雑を予想しての事だ。用意周到で10時20分羽田発の飛行機に搭乗…の予定だったがトラブル発生!搭乗機の到着が遅れ10分ほど出発も遅れる、というのだ。10分くらいからまだいいかと待っていたら、なかなか搭乗させない。前回の事があったので、これで10分遅れで出発出来るのか不安がよぎる。何とか搭乗は出来たが結局25分も遅れて稚内空港に到着した。天候は曇り。念願の稚内到着だというのにこれは心にも暗雲が広がった状態だ。計画ではバスで稚内市内に移動した後、2時間に1本ペースで運行される宗谷岬行きのバスに乗り換える予定だった。それが25分も遅れたので全ておじゃんになってしまった。次の2時間後のバスで宗谷岬に行くのか…。それでは計画が遅れてしまうだけではなく、宗谷岬の滞在時間も短くなってしまう。宗谷岬は稚内筆頭の観光スポットのはずなのにアクセスは非常に悪い。もう悩んでたって解決しない。解決方法は限られている。金で解決するしかない。タクシーで宗谷岬に移動する事にした。とは行っても稚内空港から宗谷岬は23km以上離れている。約30分タクシーに乗り、結果的には料金6730円を費やし宗谷岬に到着した。負担はかなり大きかったが、例の最北端を示す三角のモニュメントを見た時、そんな苦労も吹き飛んだ。我は一年越しで念願の最北端に立つ事が出来たのだ。
流石は有名観光スポット。そのモニュメントを写真に収めるのも順番待ち。先客に頼まれ並んで撮影するのを手伝った代わりに我も撮影してもらった。でもブログ用の無人のバージョンも収めたかったのでチャンスを伺って撮った。さらに子供っぽいけどこのモニュメントの裏にまわって日本最北の地に立つ男も味わった。そして土産物屋で「日本最北端到達証明書」を100円で購入。これも子供っぽいけど嬉しいものだ。
これが日本海とオホーツク海が交わる場所、宗谷岬と旧樺太の間にある宗谷海峡だ。
宗谷岬を見下ろす事が出来る背面の丘には別のモニュメントがあるくらいで特に見るべきものも無かった。宗谷岬は本当に最北端の地という以外は他に何もない。アクセスが悪い要因を垣間見た。
怪我の功名。滞在時間を予定より40分多めの90分取れたので、我はこの最北の地でラーメンを食べる事に時間をさいた。それは別記事にて。
15時発の乗合バスに乗り宗谷岬を後にした。
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