職人桜花
今週は通じて不安定な天候で、気温は一気に秋のように涼しくなった。去年も感じていたのだが、最近季節が分かり易くなってるように思う。6月に入って急に雨の日が続くようになったし、梅雨が開ければ酷暑が続き、8月も終わろうという頃になると急に秋めいてきた。去年も残暑はないまま秋に突入した気がする。今朝も昨日に続いてひんやりとさえする霧雨だった。よって根岸森林公園へのウォーキングは断念。
さて今日は新店開拓ではなく閉店を惜しむ為に出向く。神奈川の行列つけめん店として有名だった『めん創 桜花』が明日店じまいだという。惜しむと言っても個人的な思い入れというのは希薄だ。つけめん専門店という事で、実はブログを始めた9年前に2度ほど行ったに過ぎない。当時はラーメン食べ歩きを始めて間もない頃でつけ麺を許容出来る体制が整っていなかったので、自分自身が評価するレベルに無かった。よって最後のチャンスとして改めて実食することにした。この店はラーメンガイド本の常連だったし、一時は鶴見の方に『大和製麺所』というセカンドブランドを立ち上げるまでになっていた。それが…。このところ老舗とまでは言わずとも、中堅どころの店が次々と閉店に追いやられているのが気になる。時代の趨勢というのは残酷だなと思う。
9時過ぎには雨も止んだようなので身支度をして最寄り駅まで歩く。東神奈川駅で下車し、更に店まで歩く。朝ウォーキングが出来なかった代わりだ。店には開店予定の15分前に到着。既に20人以上の行列が生じている。まず店内入口の食券機から食券を買ってから列に並ぶ。角を曲がって自販機の端の方まで既に列は伸びていた。結局並び始めて1時間でようやく入店出来た。ウォーキングスタイルの半袖短パンで来ていたので並んでいる間ちょっと肌寒かった。暑がりの我がこう感じるというのはあまりに異常な8月末の土曜日の昼。厨房には店主夫婦と思しき男女2人と接客係の小太りの男の店員1人。厨房前に7席のL字型カウンターと1人がけテーブル席1卓と2人がけテーブル席1卓。我は幸運にもテーブル席の方に案内された。
この店筆頭の特製つけそばを注文。白い極太麺側には水菜と味玉が添えられている。そしてつけ汁側には桜花のシンボルともいうべき肉厚炙りチャーシューが誇らしげに立ち上がっている。土台の部分も含めて2枚だ。更に鶏のつくね2個と薬味ネギ。魚粉が浮いた酸味の強いオーソドックスなつけ汁。でもチャーシューの炙られた部分が中に入り香ばしい味わい。そして我のラーメン食べ歩き史上最強だと思う炭火焼き炙りチャーシュー。この肉厚の食感と香ばしさがとんでもなく素晴らしい。最後だからってズルイけどようやく色眼鏡無しに実食出来た感じ。一時代を築いた名店だけあってやっぱり美味かった。最後だから客は皆退店する時に厨房に向かって「ごちそうさまでした!」と声をかける。そうすると店主も忙しそうながら「ありがとうございました!」と返していた。この店の店主は相当な職人肌のようで、初訪問時ぶっきらぼうな接客を感じていたが、約9年ぶりに訪問すると見違えていた。客も名残を惜しむ為大勢つめかけていたし、持ち帰り用のものも結構売れていた。親しまれていた店だった事が伺える。職人気質と経営というのは相反する面があるので難しいとは思うが、客はそこを必ず評価してくれる。いつの日か再開して欲しいと思う。
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