新生地麺
名古屋に来てしまった…。今年はもう遠征は控えようと思っていたのに、旅への欲求が抑えきれなかった。気がつけば来週末には仕事納め、年末帰省にぶち当たる。その前に行ってしまおう。名古屋なら新横浜から(のぞみで)ひと駅で行けるし、といったノリで。名古屋にはちょうど1年ぶり。去年は重油ラーメンや玉子とじラーメンを食べ歩いたんだった。今回の目的はズバリ「台湾まぜそば」だ。
「台湾まぜそば」にはやられた。やられたと言ってもハマったという意味ではない。ご当地ラーメンに関して常にアンテナは張っていたつもりだったのに、完全に見落としてしまったという敗北感を感じたという意味だ。名古屋のご当地ラーメンである「台湾ラーメン」の名と、激辛肉ミンチがのっている等特徴を引き継いでいてご当地感もしっかりある。地麺と呼ばない理由がない。それを完全に見落としてしまうどころか、こちらが出向く前に近場の店でもやたら目にするほど広まっていた。何故こんな事になってしまったのか?自己分析すると「台湾まぜそば」というのは、今までのご当地ラーメンとは違う、次世代のご当地ラーメンのように思える。我はご当地ラーメンを「自然発生型」と「町おこし型」の大きく2種類に分けていた。「台湾まぜそば」はそのどちらでもなかった。別の地域で生まれたラーメンを地元のご当地ラーメンに掛けあわせた「融合型」なのでは?と思える。だって台湾まぜそばの見た目や食感は「汁なし二郎」にとても似てる。全国的に広まりを見せる「二郎系ラーメン」。当然大都市名古屋にも早い時期から進出しているし、その中に「汁なし」タイプもメニューの中にあっただろう。勝手な我の想像なんだけど、そこからインスピレーションを受けご当地的な味付けにしたのが始まりなんじゃないかなー。これから生まれるご当地ラーメンというのはこのパターンが主流になるのではと予想している。情報化社会なんて今更口にする事さえ恥ずかしい気もするけど、いち早く情報を収集し、融合させ完成度の高い新たなものを生み出す。そうすれば元祖になり一躍有名店だ。広まるのも早かったし。
そんな次世代のご当地ラーメンである「台湾まぜそば」の元祖の店は『麺屋はなび』高畑本店。我は老舗重視だった為『麺屋○○』なんて屋号の店はアウトオブ眼中という死語が飛び出してしまうほど最初から無視してしまっていた。それも存在を見落としてしまった大きな要因だ。新宿にある支店は先月訪問済み(『台湾混麺』参照)。その時「やっぱりこれは地麺だよな~」と思った事が今日名古屋に来てしまった動機だ。朝8時40分発ののぞみに乗って約80分で名古屋到着。そこから地下鉄乗り場で土日限定1日乗車券ドニチエコきっぷ600円を購入し東山線に乗車、終点の高畑で下車した。地上に出ると家々の屋根に雪が薄っすら積もっていた。名古屋は一昨日未曾有の大雪に見舞われたと聞いていたので、その残りという事だろう。そんな感じで横浜よりやや寒い気がする。駅から住宅街に入り歩くこと5分ほどで店に到着。開店時刻20分前だったが、既に10人の行列が出来ていた。暖簾が出る頃には20人くらいになっていたかな。店入口脇に券売機がある為、暖簾がかかっても一気には入れず一人ひとり店内に入れていた。厨房には男の店員3人と女の店員3人。L字型カウンター14席。初回に無事着席出来た。
『元祖 台湾まぜそば(ニンニク入)』 780円
もちろん看板メニューを注文。注文する時に「ニンニク入れますか?」と聞かれるのも二郎に似ている。新宿店ではいきなり混ぜてしまったので、今回は最初は混ぜずに少しづつ、いやらしく?食べてみた。台湾肉ミンチは強烈に辛い。そして台湾混ぜそばを混ぜるとスパイシーに感じてしまう原因が魚粉である事をつきとめた。魚粉抜きで食べてみたくなった。諦めて混ぜ混ぜ。麺を食べ終わって追い飯を追加。ここまでしてこそ台湾まぜそば。美味かった。惜しむらくは本店こそのオーラというものが微塵も感じられず、味も雰囲気も新宿支店との違いが判らなかった。この歴史感を全く感じられないのが新世代のご当地ラーメンの宿命なのかも知れない。
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