海外方針
久々に『新横浜ラーメン博物館』に出向く事にした。調べてみたら1年10ヶ月ぶりだった。何故そんなに間が空いたかというと、やはり最近のラー博に魅力を感じなかったから。『頑者』とか『砦』とか比較的近場で珍しさを感じない店や、見知らぬ海外の店が入っていたりしてるからね。かつて『道の駅』や『大砲ラーメン』などの強烈な存在感を放つ店があった時代を知っている身からすればやはりトーンダウンと感じてしまう。
でもよく考えてみればこれは仕方がないのかも知れない。ラー博側からすれば、ここはラーメンに関する知識を深めてもらう為、全国各地のご当地ラーメンをその舌で感じてもらうという目的がある。曲がりなりにもここは博物館なのだから。巷に溢れるラーメン集合施設一線を画する。入場料をとっているのはそこが違うという事だから。
でもそれって簡単な事ではない。チェーン展開している店ならいざしらず、地元の小さなエリアでほとんど馴染客に囲まれて家族経営しているような店側からすればかなりのハイリスクだろう。地元で絶大な支持があるのに、わざわざ横浜くんだりまで貴重な人を派遣して、慣れない厨房で水も違う、観光客がどっと押し寄せ仕事のリズムも違う、などといった環境で店を回していくのは大変だろうと素人でも想像がつく。評判を落とせば本店の看板に傷がつくし、ましてや人も出すとなると本店のローテーションにも影響して本店の味にも影響が出る場合もあるだろう。…などと考えると二の足を踏んでしまうのも仕方ないと思える。そんな余力がある地方の有名店なんてそうそうあるわけではない。全国のご当地ラーメン店を集めるといった路線は限界に来ているようだ。
そこでラー博が考えたのが海外路線。過去(地方の老舗)が限界なら未来に目を向けるという事は自然の流れだ。日本も今文化輸出に力を入れている。それは需要があるからだ。ラーメンも同じで海外でも評判が良いと聞く。ラーメンの海外進出はラーメンの未来形と言える。なかなかいい考えだとは思う。海外のラーメン店を呼ぶなんてラー博ならでは。普通のラーメン集合施設ではまずあり得ない。でも…いくら何でも時期尚早。今は日本人が海外に行って店を出している段階。食材調達とかで苦労して地元の食材を使う等工夫はしているようだけど、それ以外は日本の最近のラーメン店ほぼそのまま。開店1年前後程度の店をラー博で出されてもね。実際以前出店していた『IKEMEN』というつけ麺店なんて、普通のラーメン集合施設に出店している店より面白みが無かった印象を受けた。畑を耕し種を埋めたばかり。いずれ現地の人に伝わって、むしろ間違って伝わって独自解釈された料理が現地の人に受けた、というのなら面白いとは思うけど。でもそれは日本人には受け入れられないものなんだろうなあ。
前書きが長くなったが、そんな事を考えながら迷走中のラー博を訪れてみる事にした。何だかんだと言いながら、今までご当地ラーメンの知識を得る事に関してはラー博にはお世話になったし、応援したい気持ちはあるんだよ。それに頑張れば会社帰りにラー博に行けるというのは得難い環境だし、活用しておきたい。新横浜で途中下車。年間パスポートはとっくに切れてしまった。年3回訪問して初めて元が取れるのだが、今まで得した事はない。でもお布施のつもりで今回も年間パスポートを購入し入場。まず向かったのが一昨日29日に開店したばかりだという『NARUMI-IPPUDO』。『頑者』の跡地に入っている。そのまま『一風堂』社長、河原成美氏がフランスをイメージしてプロデュースした店。実際フランスにこのスタイルで出店しているわけではない。先に書いたように、海外進出中の未熟な店を出店させるより、客を満足出来る実力がある店に任せようという苦肉の策だろう。到着時行列はなし。店前券売機で食券を買う。内装は白でカラフルなフランスの国旗が飾られている。
『黄金に煌めく超絶~コンソメヌードル~』 980円
麺はフランスパン専用小麦粉で作ったという。独特の粘度を感じる。具はレッドオニオン、きのこのソテー、上にルッコラで彩りを加えている。そしてローストビーフ。そしてスープはブイヨンと昆布などの出汁を合わせたものだという。今まで洋風を目指したラーメンというのはいくつか食べた事があるが、これは見事なほどバランスがとれた一杯。素直に美味しかった。味は満足。でも価格は難有り過ぎで量は少なかった。
次に狙ったのが未訪問の店、ドイツ・フランクフルトからやって来た『らーめん無垢』。やけに空いているなあと思ったら、なんとこんな札が券売機にかけられていた。
えっ?そんな事あるの?仕方なく隣の『麺の坊 砦』へ。こっちはちょっと並んでいて3分くらい店の前で待った。あっ近所の期待の新店『地球の中華そば』の名刺が置いてあるぞ。
『砦らぁめん(粉落とし)』 770円
このところ豚骨ラーメンが食べたかったんだよ。なので美味しく食べられた。博多系は食感に特徴があってよいね。ラーメンを食べたという満足があった。
店を出ると何と隣の『無垢』が「営業再開しましたー」と呼び込みをやっていた。何だよータイミング悪いなあ。仕方ないなぁと次回に回す…決断力も無かったのでそのまま入店してしまった。『IKEMEN』の跡の店舗だ。店内は木材を多用した綺麗な造り。ガラスケースの冷蔵庫にビールが充実している。カウンターには缶詰が綺麗に山積みされているなど何となくおしゃれな雰囲気を醸し出している。
屋号を冠した看板メニュー。麺はピザ用の小麦粉を使っているらしい。やや平打気味の中太縮れ麺。薬味ネギ、ほうれん草、半味玉、炙りチャーシュー1枚、海苔1枚。スープは豚骨醤油。前評判では家系によく似ていると聞いていた。確かに近いけど見た目より家系っぽくはない、別の豚骨醤油スープな感じ。でもこれはなかなか美味しい。3杯目だけど満足出来た。
ラー博サイズとはいえ1日でレギュラーサイズ3杯。3連休前とはいえ無茶し過ぎた。
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