煮干注射
今日は定時退社日。案の定間際にゴタゴタが生じたが、それでもいつもよりは早く上がれたので東神奈川駅付近に今月8日に開店したという新店に行ってみる事にした。なかなか評判が良い新店のようで、土日は混みそうだったので平日夜なら待たずに入れるだろうという目論み。但し不定休というのが気になる。西口から第二京浜沿いに横浜方面に向かって徒歩5,6分で目的の店『らぁめん夢』に到着。「夢」と書いて「むー」と読ませるそうだ。とは言え看板らしいものは無く、前の店だったと思われる「ミュージックパブたかこ」の看板がそのまま。ともかく無事営業していて何より。早速入店。厨房には男の店主一人のみ。でL字型カウンター8席のみの小さな店。内装は白でリニューアルしたようだ。店内隅に券売機が設置されている。先客7人でちょうど1席だけ空いていたので食券を買い無事着席。店主からプラスチック製のカラーコップが渡された。水はセルフ。でも目の前のピッチャーには水が無いよ。BGM等は無く、物静かな店主が懸命にラーメンを作っていた。その合間に店主はピッチャーに水を入れてくれた。後客は続々来て背後に立ち待ち。圧迫感があった。
平日水曜日という事で連食なし。なので特製を注文。情報だと店主は色々な店で修行を重ね、中でも町田の白河中華そばの名店『一番いちばん』で修行し影響を受けているそうだ。確かにあの店は美味かった記憶がある。厨房を見ていると非常に丁寧な作り方をしていた。注文を受けてからワンタンを作っているようだ。手が込んでいる。8分くらい待ち着丼。美味そうな顔をした一杯だ。麺はシコシコした良い食感の中細ストレート。いい塩梅の茹で加減。具は細かく刻まれた薬味ネギ、青梗菜、メンマ数本、海苔1枚、味玉丸1個、焼豚2枚と鶏チャーシュー1枚、更に手作りワンタン3個。チャーシューは茹で豚ではない本物のスモーク焼豚で肉厚でとても美味い。更に鶏好きの我としては鶏チャーシューもそれと等しいくらい美味しい。味玉も噛むと黄身がトロリとなってこれまた美味い。そして肝心のスープだが、醤油の味がキリッとして、更に鶏油が効いてコクも出ている。そしてこの店最大の特徴ともいうべき、レンゲと共に出される注射器。中に入っているのは煮干しオイルだそうだ。これを注入すると味が変化する。でもその前に本来のスープがうますぎてどんどん飲んでしまった。1/3くらい残ったところで注入してみるとくどいくらいの煮干スープになった。配分が悪かったようだ。これだから味が途中で変化するような食べ物は苦手なのだ。結構構造や質も修行先さながらのハイレベルな一杯。前評判は嘘ではなかった。久々に汁一滴残さず完食マークを出した。しかし我が食べ始めた頃麺切れを起こし店終い。店主曰く「昼に予想外に出たので、夜の部がこうなってしまった」との事。「自家製麺であれば中休みに作れるんですがね」とも。ラーメン屋さんは大変だ。客からすれば「何で麺仕込んで置かないんだ」と一括したくなるだろうけど、店主からすれば変に冷蔵庫に保管すると熟成具合にばらつきが出るのだそうだ。こだわっているなぁ。店主は落ち着いたいい感じの人だし、仕事が丁寧で真剣に打ち込んでいる気がする。何より美味かったし。順調に回るようになればすぐ行列店になってしまうだろう。明日は休みと張り紙が出ていた。待たずに食べられた我は幸運なのだろう。
帰りに駅前のマルエツで食料を買って帰路についた。
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