那覇地麺
今回は遠征というより観光に時間を使うと言いつつ、やはり地麺巡りは抑えておかなければならない。沖縄の地麺と言えば「沖縄そば」。起源などは詳らかになっていないが、中国伝来の「支那そば」から変化していったらしい。明治の頃は醤油ダレを使っていて黒いスープだったが、塩ダレを使った透明なスープが主体に変化していったという。最初小麦粉で麺を作るからという強引な理由で「沖縄そば」をラーメンの仲間とマスコミが言っているのかと思ったら、本当にご当地ラーメンのようなのだ。当初あまり乗り気でなかった「沖縄そば」巡りも俄然テンションが上がってきた。
まず首里城近くにある『首里そば』を目指す。この店のそばを食べてからようやく我の沖縄旅行が始まる。かつて存在した有名老舗店『さくら屋』(1993年閉店)の味を継承した沖縄筆頭の行列店で、創業は1994年。沖縄筆頭店でありながら1日約60杯限定で約3時間程度の営業時間で暖簾を下ろしてしまうというこだわり。なのでいの一番にここを訪問する事にしたのだ。貸出手続きをしたレンタカー営業所で早速カーナビに電話番号を入力し目的地に向かう。5分ほど走り到着したのは何の事はない駐車場らしき場所。「えーっこんな場所?」と戸惑う。首里城らしいものも見当たらない。電話番号が間違っていたのかと再度入力したが同じ場所を示す。埒があかないので今度は住所登録して再出発。今度は何とか目的地周辺に到着出来たようだ。近くのスーパーに駐車させてもらい車を降りて今度はipodの地図アプリで目的の店をサーチ。路地に入っていくと「首里そば駐車場」の文字を発見したので足早に近づいた。素っ気のない白い建物に「首里そば」の暖簾がかかっているのを発見した。ようやく到着出来た。暖簾を割り入店。まず入口で履物を脱いで下駄箱に入れるシステムに沖縄らしさを感じた。内装も南国の雰囲気たっぷり。窓際には沖縄ガラスの綺麗なグラスが並んでいた。厨房は奥にあり見えない。ほぼ満席だったが、空いている席もあった。店員は忙しそうで合間をみて着席を告げ、注文を取りにくるのを待った。窓際に一列のカウンター5席、4人がけテーブル席、奥の座敷に6人がけテーブル2卓。口頭で注文。
首里そば 『首里そば(中)』 500円
屋号をそのまま冠した筆頭メニューを注文。麺は平打の白くてかたい麺。具は青ネギの小分け切りと、針生姜数本、3枚肉2個。紅生姜ではなく針生姜がのっているは昔の名残。鰹の一番出汁と豚の赤肉から摂ったスープは最初薄く感じたが、麺を食べるにはちょうどいい塩梅。うどんと大きく異なるのはこの硬い平打麺の食感。正に麺を食べる感じ。伝説の沖縄そばを食べられた事で、今回の沖縄地麺の目的は9割方達成出来たようなもの。食べられて本当に良かった。そしてこの一杯を食した事で47都道府県食べ歩き達成を成し得る事が出来た。記念の一杯が沖縄『首里そば』というのは象徴的で感慨深い。
その後首里城を見学し、次の目的地『てんtoてん』という店に向かう。『首里そば』に次ぐ行列店。平日ならばチャンスかもと行く事にしたのだが、この店もナビにセットしたけどわかりづらいところにあるんだよ。細い坂道の途中にある。そして駐車場はギチギチに埋まっている。何度も何度も廻ったが空く気配はない。仕方なく近場で止められるところを探そうとした。すると公園のような入口の施設があり車がたくさん駐車されていたのでここならばと入ってみたら、駐車場でもなんでもない施設へ続く道でしかなく、戻る事も難しい事態に陥ってしまった。JAFを呼ぼうかという考えが頭を一瞬よぎったくらい。何とか自力で脱出が叶った時は嬉しくて自分を褒めたい気持ちになった。ようやく止められそうな場所を見つけたので車を止めて店へと向かう。緑に覆われた奇怪な外観の店へ突入。この店も3時前後で売り切れ閉店になってしまうので焦った。だけど営業中の札はまだでているので安堵した。戸を開けて入店。入口には席待ち客の行列。しばらく待っていると店員がやって来て「すみません、終わっちゃいました」と言われてしまった…。苦労した分悔しい気持ちもある。でも負け惜しみに聞こえるかもしれないが、ここは行列店というだけでそれほど重要視していた店ではない。一期一会。次の店が待っている。気持ちを切り替え車に戻った。
次に向かうは『沖縄古来そば 御殿山(うどぅんやま)』。ここも入り組んだ坂道の先にあるので辿り着くのに苦労した。でも駐車場は広く無理なく駐車出来た。この店も沖縄らしさ満点の味のある建物。140年以上前に宜野湾に建てられた古民家を40年前に移築したという。店前の長椅子には席待ちの客がたむろしている。名簿に名前を書いて5分ちょっと待つ。沖縄らしく風通しがいいので待っていても気分がいい。呼ばれたので中に入る。中も神棚に蛇味線が飾れたりいい感じ。厨房は奥にありみえない。4人がけテーブル席6卓と6人がけテーブル1卓。口頭で注文。
『沖縄すば(純) 中』 570円
筆頭基本メニューを注文。こちらのウリである昔ながらのガジュマルの木灰を使った自家製平打麺。具は青ネギの小分け切りと紅生姜、三枚肉2個。スープは熱々。鰹出汁もおとなしめにあっさりした優しい味わい。きゅうりの漬物も出してくれた。沖縄古来のすばを素晴らしい環境で食べられて満足。店を出ると何と営業中の札は外されていた。閉店予定は4時だったはずだが、まだ午後2時にもなっていない。『てんtoてん』で足止めをくらっていたらこちらに入れなかった事になる。危なかった。まだ自分は運が良い。空は雲が多いが沖縄を満喫出来良い旅になりそうな予感。この後は高速を飛ばして美ら海水族館へ向かった。
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