大船渡訪
釜石から車で約1時間南下し、今遠征の最終目的地大船渡へ到着出来たのは午後1時すぎだった。大船渡の目的は「秋刀魚ラーメン」というご当地ラーメンを食する為だ。典型的な町おこし系ラーメンだが、秋刀魚を使うのは珍しいのではないだろうか。ルールは①大船渡で水揚げされた秋刀魚を使うこと②価格を650円で統一すること。震災の前年に企画され、今は市内で7店舗が各々独自の秋刀魚ラーメンを提供中だという。そんな中、まず目指したのは現在運休中の大船渡線終着駅の盛駅の更に奥、盛川沿いに内陸に進んだところにある『秋刀魚だし黒船』という店。屋号にまで秋刀魚の文字を使っているので期待が出来るだろうと向かったのだが…。
臨時休業だった。息子の何かの発表会だからと正直な理由が書かれていた。一期一会。すぐさま持ってきたラーメン本で代替の店を探す。目にとまったのは下船渡駅(休止中)近くの『萬来食堂』という店。ナビに電話番号を入力するとここから10分近くかかるという。早速出発。道路が所々工事中になっているので本当に10分かかった。普通の田舎の食堂といった外観。でも「さんまらーめん」と書かれた幟が立っている。暖簾を割り入店。中も田舎の食堂そのまんま。厨房には人の良さそうな老夫婦。4人がけテーブル席4卓と座敷に2人がけテーブルが2卓。先客2人後客3人。口頭で注文。テレビで「八重の桜」が流れていた。
もちろん秋刀魚ラーメンを注文。10分弱待たされたが出てきたのは何とご飯と漬物付。と小皿に自家製南蛮味噌(この味噌が美味すぎて思わずお土産で買った)。麺は白っぽい縮れ細麺。具は水菜のきざみ、メンマ数本、ナルト1枚、そして秋刀魚の甘露煮3個。おそらくはあっさりした鶏ガラ魚介出汁の醤油スープなのだろう。なのだろうというのはレモンスライス1枚と梅干丸1個が入っているので酸っぱいのだ。で、意外や意外、この酸っぱさが食欲をそそった。酸味が効いたスープにこの秋刀魚の甘露煮がとても合う。味を壊すのではなく、相乗効果で美味しくなる使い方をしたラーメンは初めてだ。甘露煮はご飯にのせて食べたらまた美味い。日本人で良かったと月並みな事を感じてしまった。これで650円は奇跡。大満足。出来ることならまた食べに来たい!
次の目的店は「大船渡さんまらーめん」の旗振役を務めた「碁石海岸レストハウス」だ。岬の先の碁石海岸近くの土産物施設の2階にある観光客用のレストランだ。しかし問題がひとつある。このレストラン、情報によると午後2時には営業終了だというのだ。しかし『萬来食堂』を出たのは午後2時10分前。間に合うはずがない。でも何故か「土曜日なのだからそんなに早く閉めるはずがない!」と強気に思ってナビに電話番号を登録し案内開始ボタンを押した。岬の先なので結構遠くて15分くらい時間を要した。駐車場に車を止め、土産物施設に突入、階段を駆け上がった!…すると気が抜けるくらいゆったりと営業中だった。4人がけテーブルが20卓以上あったかなぁ。とにかく広いスペースの食堂で客は4割程度だったか。厨房は奥にあり見えない。口頭で注文。すると女店員に「1枚づつ焼きますのでお時間少しいただきます」と丁寧に言われた。10分弱待たされた。
碁石海岸レストハウス
『大船渡さんまらーめん』 650円
こちらは巨大な秋刀魚のみりん干しが1枚でーんっとのっている。麺は黄色い中細縮れ麺。具はわかめ、メンマ数本、ナルト1枚、そして秋刀魚のみりん干し丸1枚の上に白鬚葱と糸唐辛子。先の女店員が「最初スープを一口すすって、秋刀魚をほぐしていくと徐々に味が変わりますよ」と丁寧に説明してくれた。スープは普通の醤油スープ。ラーメン自体は何てことはないのだと思う。でもこのみりん干しが香ばしくて美味い!よってこの味に引っ張られて全体的に美味い。さすが産地の味は違うねぇ。それにしてもこの店もご飯と漬物付で650円の認識を遥かに超えるボリューム。麺量もこれでもかというくらい多い。今日5杯目でとても辛かったが、今遠征最後の一杯だし、何よりみりん干し美味いしでスープと漬物だけ残して何とか食べきった。三陸らしい一杯で締めくくれて大満足。


無事2日に及ぶドライブによる三陸遠征を終える事が出来た。
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