新見地麺
次は岡山市を離れ県北の新見に舞台を移す事にする。12時5分発の特急やくもに乗り約1時間、新見で下車。早速禁じ手のタクシーを使い新見市役所へ。770円也。青空が広がり山も色づいている。その市役所の対面にある、大ホールや生涯学習センターを備えた市営の文化施設「まなび広場にいみ」。その一番奥にある『カフェレストランスズラン』へ。ガラス張りの喫茶レストランだ。ラーメンを出す店にはとても見えないが、ここは新見特産千屋牛(ちやぎゅう)を使った牛骨ラーメン「千屋牛ラーメン」を食する事が出来る数少ない店のひとつなのだ。ここは10時から15時まで、土日月祝休みという凶悪な営業時間。入店出来たのが奇跡という感じ。厨房は奥にあり見えない。おばさんと女の子店員の2人。一列10席のカウンター席と4人がけテーブル3卓。前後客ゼロ。口頭で注文。
『千屋牛らーめん』 682円
他に千屋牛カレー等があった。麺は細麺ストレート。地元産の米粉で作られているそうだ。具は薄くスライスされた玉ネギと人参の細切り、かいわれ、西洋野菜っぽい青菜等野菜が豊富。そして脂身の多い千屋牛の醤油仕立てのスジ肉。スープは確かに牛骨を感じる甘めのスープ。やっぱり牛骨っていうのは個性があっていいな。
そこから歩いて5分くらいのところにある『新見らーめん いぶき』へ。何故か裏のあぜ道のような所から入ってしまった。看板にも地名を入れているあたり、土着愛が深いと見えて、先の「千屋牛らーめん」もメニューにある。でももうひとつのメニューがこの店の看板となっている。それはこの辺の地域に生息し昔からぼたん鍋等で食べられていた猪を使った「猪チャーシューメン」だ。地元のコンテストで1位になったとか。早速入店。入口がなぜか2重扉になっている。厨房には男の店員1人とおばさん2人。L字型カウンター8席、4人がけテーブル席2卓、6人がけテーブル席1卓。先客2人後客1人。口頭で注文。
『猪チャーシューメン(しょうゆ)』 700円
醤油と味噌が選べる。麺は四角い中細ストレート麺。具は薬味ネギ、メンマ、茹で玉子スライス。そして分厚い巻きバラチャーシューが3枚。スープは背脂豚骨醤油。ニンニクが効いていてかなり味が濃い。カリカリ焦がし猪チャーシューは実は豚と合わせていて臭みをけしているそうだ。チャーシューは美味しかったが、ラーメンは味がくどい印象が残った。
駅の方向に向かってしばらく歩く。その時既に2時を廻っていた。乗車を予定していた次の電車の発車時刻は2時半だったので、この時点で目測を誤った事が明らかになった。よって開き直ってゆっくり散歩を楽しむ事にした。小川を見るとこのあたりは水量が豊富だなぁ等と思いつつ田舎の道を散策する。御殿町センターという施設内にある『山金』へ。ここは昭和22年創業という岡山に現存する最古のラーメン専門店のようだ。元々は大正時代から続く大衆食堂としてここ新見で創業、今では岡山市にも店舗を1店構える。暖簾を割り入店。厨房には親父が1人、おばさんが2人。4人がけテーブル4卓、8人がけテーブル席2卓。先客1人後客2人。口頭で注文。
『中華そば』 630円
筆頭基本メニューを注文。他にたこ焼きラーメンやたい焼きラーメン等イロモノ系のメニューもあった。老舗というのに伝統に縛られず前向きな姿勢を感じる。出てきたラーメンは今までの動物系を強く出していた他の岡山ラーメンとは異なる一杯。うどんのような白いストレート平太麺。具は薬味ネギ、メンマ数本、かまぼこ2枚、チャーシュー1枚。スープは鶏ガラと煮干からとった優しい味わい。地元産の淡口醤油を使っているそうだ。煮干と鰹節で味は違うが、淡い口当たりは秋田十文字ラーメンを彷彿とさせた。老舗といえど一つには括れない、岡山ラーメンのバリエーションの豊富さを感じた。
15分くらいかけて駅に戻る。次の電車発車時刻まで約40分間、駅のホームでボーッと待った。田舎の駅って何だかとても旅情を誘う。いいもんだ。
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