笠岡再訪
2泊したビジネスホテルを朝8時にチェックアウトし岡山駅に向かう。雨は降っていないが空は灰色の雲が低く立ち込めている生憎の空模様だった。山陽本線に乗り揺られること約50分、9時10分過ぎに笠岡駅に到着した。ちょうど3週間ぶりの訪問となる。まだ記憶が鮮明なだけに近所の駅のような錯覚をしてしまった。また笠岡に降り立った理由は唯ひとつ、新横浜ラーメン博物館にも出店した事がある笠岡筆頭の店『坂本』のラーメンを食べる為だ。昭和33年創業、現存する笠岡最古のラーメン店だ。この前は不運な事に祝日にぶつかり定休日となってしまったのだ。今回は祝日ではないが、前日が祝日、明日は日曜で定休日となる。定休日に挟まれたので臨休にされる恐れが多分にあった。だから急いで店へと向かった。場所は全然前回の記憶があるので最短コースで店に早足で向かう。開店予定時刻の15分前に到着。周りに人はいない。臨休を伝える張り紙らしきものが貼られておらずまずは安堵。しばらく店の外で待っていたが、曇りガラス越しに人影が見えた。どう見ても普通の服を着ていて従業員には見えない。意を決してダメ元で扉を開けると…何と先客5人が席に座っていた。奥の厨房には2代目店主の親父さんが一人準備に取りかかっている。一列2席のカウンターが厨房前と窓際に2つ、4人がけテーブル席2卓。後客は3人。準備が終わり定刻で注文を聞いてくる店主。その時奥さんと思しきおばさんが厨房に入った。口頭で注文。
メニューは並か大盛のみ。2杯づつ作る為、3ロットめが自分のラーメンとなった。その時おかみさんに代金を渡した。念願の一杯は絵に描いたような綺麗な笠岡ラーメンだった。鶏油で黄金色になった醤油スープにかために茹でられた四角い中細ストレート麺がとてもよく合っている。醤油の味がしっかり染みた硬めの歯ごたえがいい感じのかしわがたっぷりのり、メンマ数本と、斜め切りした青ネギも笠岡ラーメンの重要なアイテムになっている。今回の遠征で判ったのだが両隣りの福山、倉敷は全く別のラーメンで、笠岡だけが鶏に特化した独特のラーメン文化を持っている。これが面白いと思った。
さて次の電車時刻が迫ってきている。急いで食べて店を出た。もう電車の出発時刻が5分を切っている。これをのがすと45分以上次の電車を待たねばならなくなる。駅に向かってダッシュして何とか電車に間に合う事が出来た。
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