倉吉地麺
鳥取市の次は今回の食べ歩きの旅大本命、倉吉を中心とした鳥取県中部に広まる「牛骨ラーメン」を求める事となる。倉吉市周辺では昔から畜産が盛んで、解体業者からタダで牛骨が入手し易かったという背景が牛骨ラーメンを生んだとされる。その存在を東京に知らしめたのはラーメン博物館ではなく、『香味徳(かみとく)』の銀座出店だった。我も2年半前に訪問して以来、いずれ鳥取に行く事を密かに想い続けていた。
山陰本線より鳥取から倉吉へ約30分で移動。出発早々いきなりの土砂降りで驚いたがすぐ止んだ。夕立みたいなものだろう。倉吉駅でまた荷物をコインロッカーに預け駅前ロータリーからバスに乗り10分、総合事務所前というバス停で下車し更に歩く事8分くらいでようやく目的の店『いのよし』に到着。時刻は13時過ぎ。創業は昭和44年。何と満席で席待ち客2人がいた。厨房には店主と店員男ばかりの3人。厨房前に一列のカウンター4席と奥に2人がけテーブル席2卓、4人がけテーブル席2卓、あがりに2人がけテーブル1卓。店の出入り口は開け放たれ扇風機が稼働しているが効果は薄い。唐揚げやご飯をセットにした定食をやっているようで厨房周りは暑い。口頭で注文。来客は続々あり10人以上は入ったと思う。大人気店だ。カウンター席に座ったので調理の状況が見れたのだが、店員2人は盛り付けくらいで配膳と皿洗いに徹し、調理は店主オヤジが全て取り仕切っていた。アクを取ったりやたら丁寧な調理をしていて時間を要していたのが印象に残った。
より一層牛の味を味わいたくて牛すじラーメンを注文した。麺は中太縮れ麺、具は薬味ネギ、細切りメンマ、もやし、牛すじ。スープは若干茶褐色した透明なスープ。今まで色々なご当地ラーメンを食べてきたが、これはかなりのインパクト大!若干しょっぱく、独特の甘さとロースト感、これはまさしく牛の味だ!コリコリでかつ柔らかい牛すじトッピングも正解。これは美味しい。よくもこれほどの個性をもつラーメンが地味に存在していたなと思う。これだから地麺探訪はやめられないものがある。大満足だ。
次は銀座に出店していた『香味徳』だ。創業昭和12年。牛骨ラーメンの提供は昭和27年からだという。『香味徳』は県内に3店舗あり、当初計画では倉吉では下車せず赤碕で下車し赤碕店に行く予定だった。というのは赤崎駅から徒歩8分ほどと徒歩で行くには近く、通し営業なので、山陰本線の本数の少なさに対応出来るからだ。倉吉店は駅からかなり離れた場所にあったのだ。しかし旅立ちの1週間前調査をすると倉吉店は今年1月に駅に近い(と言っても1kmは離れている)場所に移転していた事が明らかになった。せっかく鳥取まで遠征しているのにメインの牛骨ラーメンは1店だけの訪問というのは寂しい。という事で倉吉で下車し『いのよし』『香味徳』のはしご計画が実現出来たのだ。『いのよし』から駅の方に向かって歩く事約20分ほど、新店の為情報量が少なくちょっと迷ったが何とか到着する事が出来た。入店すると昔の定食屋のようだ。厨房には熟年店主夫婦と思しき男女ともうひとりおばさん店員がいた。厨房前に一列のカウンター5席と4人がけテーブル席4卓。先客4人後客ゼロ。口頭で注文。先客は全員ラーメンを食べていたから我の分だけの調理だけのはずだが、こちらも注文から出てくるまで10分弱は待たされた。
こちらも牛骨が香る一杯。麺は柔らかめに茹でられたちぢれ中太麺。具は薬味ネギ、もやし、メンマ、茹で玉子のスライス、チャーシュー1枚。『いのよし』に比べて牛骨風味は大人しめで若干胡椒を感じる。素朴さは伝わってきて鳥取牛骨ラーメンの原型も確認出来た気がして満足だ。そのインパクトの大きさから思い出深い地麺との出会いとなった。
更に10分くらいかけて徒歩で倉吉駅に戻ってきた。次は宿泊地の松江へ移動する。
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