下館地麺
関東知られざる地麺探訪も大詰め。本日の舞台は茨城県下館。久々に地名を冠した地ラーメン、「下館ラーメン」を体感する為だ。下館ラーメンの特徴は①鶏ガラベースの醤油スープ②低加水の黄色味を帯びた縮れ中細麺使用③鶏チャーシューを使用④具はナルト、メンマ、ほうれん草、茹で玉子という事になっている。マイナーな地ラーメンになるほど特徴が弱くなってしまうのは致し方ない。でも行く。朝8時頃家を出て横浜から宇都宮線直通新宿湘南ラインで一気に小山まで行き水戸線に乗り換え20分ほどで下館に到着。ちょうど11時くらい。駅から徒歩2分弱のところに下館ラーメン発祥の店と言われる『筑波軒』に到着。しかしまだ準備中の札が出ていた。地方遠征でこういう時は悩んでいたら負けなのでとっとと2番目に予定していた店に向かう。次の店は国道50号線を越えたところにある昭和32年創業の『盛昭軒(せいしょうけん)』という店。ちょうど親父が暖簾を出そうとしていた時だった。しかし入店時には先客2人。4人がけテーブル席4卓と5人がけテーブル席1卓。昔ながらの小汚いラーメン店といった感じ。厨房は奥にありもう一人の親父がいた。準備に手間取っているのかなかなか注文を取りに来ない。そうこうしている内に後客が続々6人も来店。ようやく注文取りに来た親父に口頭で注文。ラーメンの前にお新香3つが小皿で提供された。
筆頭基本のメニューを注文。あっさり醤油スープに中太ちぢれ麺。ぐは薬味ねぎ、ほうれん草、メンマ数本、ナルト1枚、三角海苔1枚、茹で玉子半個、そして下館ラーメン最大の特徴である鶏チャーシュー2枚。創業時豚より鶏肉が安かったので使ったのが始まりだという。麺やスープは家庭用生ラーメンと一緒だというのが率直な感想。でも素朴で好感が持てた。やっぱり店の雰囲気だなぁ。田舎でラーメン食べているという喜びが感じられた。
また今来た道を戻り『筑波軒』に入店しようとするも未だ準備中のまま。これは困ったなぁ。せっかく遠征してきたというのに1店で撤収してしまうのは残念。という訳で代わりに予定外の店に訪問することにした。またもややって来た道を戻り途中で発見した店に行ってみる。その店は『さくらい食堂』。昭和30年代を思わせる木造のかなり年季が入った店構え。赤いテント屋根にラーメンと書かれた赤い暖簾がかかっている。早速入店。店内には石油ストーブの臭い。席がほとんど埋まっている状態。4人がけテーブル席4卓。床が傾いているのかテーブルの脚元にかまぼこの板等を挟んで調整していた。奥に座敷席もある。厨房は左側にあり仕切られて見えにくいが、爺さん婆さんおばさん。それから出前要員らしい若い男。水と一緒にプラスチック製のピッチャーも出された。口頭で注文。先客6人後客5人。ここで大誤算だったのが、この店出前をやっているので注文してから予想外に待たされる事になった。
筆頭基本のメニューを注文。先の『盛昭軒』に比べると麺は細い。あっさり醤油にちぢれ細麺。具は薬味ねぎ、ほうれん草、メンマ数本、ナルト1枚、茹で玉子半個、鶏チャーシュー2つ。麺が細いのが印象的だった。
予想外に時間を取られてしまった。急いで駅の方に戻る。『筑波軒』を三度覗いてみると営業しているではないか!次の電車まで時間がない。でも第一目標店に行けないまま戻ってしまっては後々無念を残すだろう。何せ下館ラーメン起源の店だ。悩んだが入店する事にした。こちらは石造りだが年季入っている。カウンターには初老の親父1人。大声で他の客と話している最中だった。厨房前にL字型カウンター12席。2人がけテーブル席1卓、4人がけテーブル席2卓。先客3人後客1人。口頭で注文。
筆頭基本メニューを注文。安いね。スープは素朴な醤油味。麺はもちもちした縮れ麺。具は薬味ねぎ、メンマ、ナルト1枚、三角海苔1枚。鶏チャーシューというより鶏肉の小さいのがコロコロと入っていた。全然違うけど今は無き三鷹の『江ぐち』を彷彿とさせた。元祖の味を味わえて良かった。
次の電車予定時刻まであと90秒足らず。箸代を払ってダメモトで駅へ走る。改札を抜けると小山行の電車は反対側のホームで電車が入ってこようとしている。もう肺が潰れるかという思いで階段を駆け上がった。口からヒィヒィと高い呼吸音が漏れる。汗みどろになって何とか電車に乗れた。行きと同様小山から新宿湘南ラインに乗り一気に横浜へと戻った。
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