須崎鍋麺
食べ歩きを諦め車での店巡りをする事となった徳島遠征。大きなハードルではあるが、反面大きな利点がある。電車やバスの時間を気にせず自由に長距離移動が可能になった。更にカーナビという文明の利器により店名と所在県を選択すればほぼ迷わず到着出来る。こういったツールを十分に生かさない手はない。よって今回の遠征2日目は徳島以外の四国三県の地ラーメンを巡る事にする。
徳島ラーメンに次いで四国の地ラーメンといえば高知、須崎の鍋焼きラーメンだ。今は閉店してしまった『谷口食堂』という店が出前で冷めないようホーロー鍋を使った。それはあくまで出前用としてで、店では普通の丼で出していた。しかし出前用の鍋ラーメンの方が美味しいと評判になり店でも鍋に入れて出した事が始まりだという。その『谷口食堂』が店を畳んでしまった後「あの鍋焼きラーメンをまた食べたい」という地元民の要望で付近の店が始め広まったとの事。いい話ではないか。正に地ラーメンと呼ぶのにふさわしい。そんな須崎鍋焼きラーメン、我が全国の地ラーメンを調べていた時、このラーメンを食べに行けるのはいつになるだろうなぁと思いをはせていた。それがまさかこんなに早く行ける事になろうとは思わなかった。
カーナビをセットしホテルから出発したのは朝7時半頃。今日は雲は多いが青空ものぞく天候だ。徳島自動車道に乗り川之江東ICから高知自動車道に入る。途中南国SAで休憩の後、須崎中央ICを降り、最初の目的店『橋本食堂』に到着したのは10時30過ぎ。店の前の駐車場に車を止めホワイトボードに名前を1番乗りで書き込む。このシステムを事前に調査しておいて良かった。須崎では居酒屋、焼き肉店、喫茶店でも鍋焼きラーメンを出す店があるが、この『橋本食堂』は鍋焼きラーメン専門店。11時から3時までの4時間のみの営業で、日祝定休という難所だ。まだ他に人もいないし開店まで時間があるので付近を散歩した。店は住宅街にあるので普通の民家ばかりなのだが、黒い瓦屋根の立派な家ばかりで飽きない。貸本屋までありノスタルジーを感じるなぁ。開店10分前くらいに戻るとパラパラと開店待ちの人達が集まってきている。しばらくすると店の経営者らしいおっさんが隣の事務所のような場所を開け待ち席として使わせてくれた。本を読みしばらく待つとややフライング気味に開店してくれた。厨房にはおばちゃんばかり4人。入口付近にカウンター5席、4人がけテーブル席6卓と座敷に6人がけテーブル席が3卓。後客は10人以上。口頭で注文。
『なべ焼きラーメン 並』 525円
この店は1人ずつ作るのでかなり待たされると前情報では言われていた。しかし我は本日1番最初の客。11時3分頃に既に鍋が到着した。早起きは三文の徳である。普通の中華そばが鍋に入っているだけだろうとあまり期待をしていなかったが、全然そんな事は無かった。鶏の旨み、甘みが全面に出たあっさり醤油で味付けられたスープ。そこにかなりかための黄色いストレート細麺。具は青ネギ、地産のちくわの輪切り、生卵、コリコリとした食感の鶏肉。若鶏ではなく親鶏を使っているのは出汁が良く出るからだという。何故鶏にこれだけこだわっているかと言えば『谷口食堂』の味を再現しようとしているからに他ならない。『谷口食堂』の近くに鶏肉店があった為鶏をメインに使っていたとされる。この鍋焼きラーメン、想像以上に美味しかった。それについに我は須崎鍋焼きラーメンを攻略した。満足だ。
間髪入れずに次の店に移動。先の『橋本食堂』と並び須崎を代表する店『まゆみの店』だ。元々お好み焼き店だったが近頃鍋焼きラーメン専門店になったようだ。店の前に車を止め暖簾を割り入店。厨房にはおばちゃん3人。カウンター4席、4人がけテーブル席4卓。前客6人後客3人。口頭で注文。
通常の醤油、塩、カレー、キムチ等いろいろな味がある。先の店と同じではつまらないので塩を注文してみた。5分くらいで提供された。鍋蓋には黄色い漬物が小皿に盛られのっている。黄色いストレート細麺に具は青ネギ、ちくわの輪切り、生卵、鶏肉。基本的な構成は『橋本食堂』と同じ。 でスープなんだけどこれ塩味なんだろうな?普通に醤油味を感じるのだが、間違われたのか?でも塩味も感じるし…。ここでいちゃもん付けても時間をロスするだけなので黙々と食べた。鍋焼きラーメンという須崎の地ラーメンを堪能し満足した。
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