函館地麺
ロープウェイを降りて山を下り市街へと戻る。ここから函館ラーメンの食べ歩き開始。函館は開港地だけあってラーメン発祥の地という説がある。東京などは醤油等を加え和風アレンジし発展した経緯があるが、函館は割と中国の湯麺の面影を強く残したまま発展したようだ。だから函館の人々からしたらラーメンと言えばスープが透明な塩味であり、東京の醤油味や札幌の味噌は他地方の変わった味のラーメンという意識だったのだろう。
レンガ倉庫の近くにある『マメさん』という店が函館遠征第1店目となる。この店は2008年5月18日、横浜そごうの物産展で食したことがある。この店の紆余曲折はその時のブログに書いているので割愛する。早速暖簾を割り入店。店内は割と広い。厨房はちょっと奥にあり見えなかった。入口に券売機。カウンター12席、4人がけテーブル5卓くらいかな。先客3人後客4人。
『マメさん塩ラーメン』 730円
筆頭メニューを注文。約3年前に食べた記憶が蘇ってきた。鶏ガラ豚骨ダシベースに昆布や魚介ダシを使ったスープ。焦し背脂が浮いているのが特徴的。そして麺はフノリが入ったツルツルした食感の平打ち麺。包丁で切っているので太さにバラツキが生じている。具は薬味ねぎ、味付きメンマ数本、麩、大きなチャーシュー1枚。新函館ラーメンを名乗っているだけあって一般的な函館ラーメンとは異なるところが多い。麩は東北地方でよく見られるがこの店が最北なのかな?背脂もこの店独特のものだ。食べ歩きでは外せない店なので食べられて満足。
次は五稜郭へ行く事にした。十字街という電停から路面電車に乗車。五稜郭公園駅前まで電車に揺られながら向かう。結構な時間乗っていた気がする。電停に到着すると函館駅前より栄えている街が広がっていてここで良いのか一瞬戸惑うが、他の観光客が歩いてている方向に15分ほど進むと五稜郭タワーがあった。その向かいに今日2店目の『あじさい』という店を発見。函館では1番の人気店で道内に4店舗を構える。ここはその本店にあたる。大きなガラス張りのビルだ。早速入店。中もお洒落な感じで内装は打ちっぱなし。中央にBARカウンターがありTシャツショップなんかもある。戸惑っていると店員にこちらに並ぶよう促される。15人ほどの行列が出来ているぞ。これは確かに人気店だ。20分ほどしてようやく2階に案内される。こちらもスタイリッシュな内装でカウンターやテーブル合わせて58席あるという。店員はベレー帽に白い服。接客態度も良。口頭で注文。
『味彩塩拉麺』 700円
屋号を冠した筆頭基本の塩拉麺を選択。注文時「細麺でかために茹でられていますが大丈夫でしょうか?」と聞かれたので「はい」と答えておいた。「嫌です」と答えたら対処してもらえるのだろうかと気になった。昆布ダシで口当たりは優しいのだが、後から塩のスパイシー感が残る独特の美味しさを持つスープ。麺は確かにかために茹でられた中細ストレート麺。具はネギと水菜が多めに入っている。味付きメンマとチャーシューが大中小の3枚。各々が味付けされていて美味しい。これは評判になるの判るなぁ。シンプルな塩ラーメンとしては我の中でもベスト3に食い込む美味さ。ほぼ完食!
ここまで来たので五稜郭まで足を延ばしてみる。綺麗に整えられた庭園だ。天気が良くて本当に良かった。入口近くにあった函館奉行所に入ってみる。入館料500円。靴をビニール袋に入れてあがる。畳のいい匂いがする。昨年夏にオープンしたばかりらしい。歴史的な重みは感じなかったけど、その分美しい日本家屋をみる事が出来て良かった。
再び路面電車の電停に戻り到着を待ち乗車。更に先の湯の川温泉前で下車する。そこから海岸の方まで20分ほど歩く。結構な距離だ。途中大きな温泉ホテルが立ち並んでいた。函館の夜景を見た後温泉に浸かるなんてのも良かっただろうなぁ。そんな事を思いながら本日3店目の目的店『一文字』へ。ここは具材にこだわり塩ラーメンを進化させ評判になっているという店だ。道内に4店舗の支店を構えるここは本店。入口に4人家族が待っていた。8分ほど待って入店。カウンター5席で後はテーブル席が5卓くらい。口頭で注文。
『塩らーめん』 750円
もちろん筆頭基本メニューを注文。綺麗な一杯だなl。深みのある美味しいスープ。魚介というより甲殻類の味を感じた。麺は中細ちぢれ麺。具は薬味ねぎ、ほうれん草、糸唐辛子、海苔1枚。半味玉と炙りチャーシューは味が良かった。3杯目にも関わらずほぼ完食の旨さ。塩ラーメンの魅力を感じた一杯。
ここからバスで駅まで戻るつもりだったのだが、あいにくのガラガラダイヤなので仕方なく禁じ手のタクシーで駅まで戻った。朝市の方に行って間髪入れず4店目『星龍軒』へ。4店目にしてようやくクラシカルな函館ラーメンを食す事になる。老舗だけどラーメン専門店ではなく中華料理店。函館では結構こういうパターンの老舗が多いようだ。店舗外に4人待ち。観光ガイド等に載っているから普通の観光客も来るのだろう。10分ほど待って入店。厨房には初老店主と年配の女店員3人。カウンター4席と4人がけテーブル席4卓。口頭で注文。
我の中で思うスタンダードな塩ラーメンそのもの。今まで革新的な塩ばかり食べてきた分、この優しい味わいがしみじみと伝わってくる。国産豚のゲンコツと野菜でダシを取っているという。麺は細麺ストレート。具は薬味ねぎ、みつば、メンマ数本、チャーシュー2枚。いい塩梅の一杯だった。
さすがに立て続けの食べ歩きだった為函館駅の構内ベンチで休むことにした。北海道限定のガラナコーラを飲みつつ30分ほど休んで再出撃。函館遠征最後の店は駅前商店街の途中にある50年以上の歴史を数える老舗『鳳蘭(ほうらん)』だ。赤い暖簾、赤いテーブルの中華料理店。初老の店主は昼飯中。おばちゃん店員が作ってくれた。先客3人後客2人。口頭で注文。
とても淡い味。でも物足りさはない。ショウガを若干効かせている。こちらは野菜を使わず豚と鶏のみでダシをとっているという。柔らかめに茹でられた細麺ストレート。具は薬味ねぎにメンマ数本、チャーシュー2枚。あっさりしたクラシカルなこの一杯で函館食べ歩きを締める事が出来て良かった。
再び函館駅の土産物売り場で買い物をしてシャトルバスで空港に戻った。観光地がコンパクトにまとめられていて、しかも綺麗。土産物もたくさんある。夜景さえ諦めれば日帰りでも十分楽しめる。函館は良い町だった。出来ればまた来てみたい。
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