夏久留米
日本三大ご当地ラーメンは札幌・喜多方・博多と言われている。その中の一角である博多は早い時期に遠征する必要性を感じていた。熊本遠征の次は博多だと思い、本当だったら5月の連休に行きたかったのだが、都合により行けなかった。その分この夏には絶対行きたいと計画を練っていた。とりあえず会社の夏休み設定が解禁になったと同時にこの3連休に1日プラスした。2泊3日のラーメン遠征+休養日だ。まずは博多行きの飛行機のチケットと宿を早々にネット予約。普段ストレスが溜まっているので久々の遠征に胸が躍る。早朝5時半前に家を出て最寄駅まで歩き横浜に出てリムジンバスで羽田へと向かった。7時半羽田発の飛行機に乗り約2時間、9時10分には福岡空港着。ちょうど今日から全国的に梅雨明け宣言が出され、空は快晴。猛暑が続く夏本番。青い雲と入道雲が旅の気分を盛り上げる。空港からすぐ博多へ…というわけにはいかない。最初の目的地は久留米に設定した。久留米ラーメンが北に伝わって博多ラーメンに、南に伝わって玉名ラーメン、熊本ラーメンになったのだから九州ラーメンの源流が久留米にある。まずは源流久留米の地を目指し高速バスに乗った。連休初日の渋滞に捕まり約80分、JR久留米駅に到着した。
しかし暑いなぁ。強烈な日差しを避けて日陰を探して歩きたいがなかなか見つからず汗タラタラ状態。さすがにこの炎天下では歩いている人も少ない。でも夏だからこれはこれでいい。見知らぬ地方の町中を歩くのはテンションが上がる。迷ったので駅から15分ほど、高校の外周を歩いて最初の目的の店『沖食堂』に到着。創業1955年。いかにも昔ながらの町の食堂といった雰囲気。厨房には初老の店主1人と近所のおばちゃんといった雰囲気の女店員3人。カウンター7席と4人がけテーブル席が6卓ほど。開店直後くらいの時間帯だったが6割ほどの入り。客層は近所のおじちゃんおばちゃん、タクシーの運ちゃん、高校生等。ラオタなんて我くらいだ。口頭で注文。
初めて食べる本場の久留米ラーメン。遠征最初の一杯目、期待が高なる。まずはスープをひとくち。実に優しい味わい。まろやかで素朴。豚骨臭も思ったより強烈ではない。麺は中太ストレート麺でモチモチとした食感。具は薬味ネギ、小さな肉片と言っていいチャーシューが4枚ほど、海苔1枚、4つにスライスされた半玉。連食だったので抑えたけど実質上完食の一杯。雰囲気込みで遠征最初の店をここに選んで本当に良かった。
この炎天下歩くのは辛いので何とか久留米市役所まで歩いてそこからバスを待った。西鉄久留米駅まで180円。次に目指すは久留米の筆頭店『大砲ラーメン』本店だ。かなり前からその名は聞いて機会があればぜひ行ってみたいと思っていたが、今年まさかのラー博入り。あちらからやってきてくれるとは思わなかった。そんなわけでハードルはかなり低くなってしまったが、何せ本店狙いを旨とする我。本日の目的のひとつがこの店を訪れる事。「昭和28年創業からスープの釜を決して空にする事なく毎日少しづつスープと豚骨を継ぎ足して秘伝の呼び戻しスープ」がここのセールスポイント。久留米市内を中心に大分、福岡を含め10店舗を展開している。西鉄久留米駅から近いという話だったがなかなか見つからない。イメージとして大通りにあると思っていたが裏通りにあった。早速入店。店員は男女7人くらい。L字型カウンター12席と座敷にテーブル6卓。ちょうど昼時だった事もあり常に満席状態。何とか席待ちせずに座れた。冷茶を出してもらった。暑い中歩き回っているのでこれが嬉しい。口頭で注文。
ラー博では昔ラーメンを注文し、基本のラーメンは未食のままだったので、本店で基本のラーメンを注文。期待を裏切らない豚骨濃度。『沖食堂』に比べるとやや味が濃い。麺もやや細いかな。具は薬味ネギ、スライスゆで玉子、薄いチャーシュー3枚、海苔1枚。久留米に来てここに来ないと話が始まらない店をクリア出来て満足だ。
さすがにこの時点で疲れたので西鉄久留米駅でしばし休憩。この暑さで髪の毛がうざったくて仕方なかったのでQBハウスに突入。旅先で床屋に入るのは珍しいことだ。上手くカットしてもらえて満足。あと薬局に寄って冷却スプレーも購入した。次は西鉄電車に乗りひと駅目の花畑へと向かう。片道150円。しかしここでタオルとメモ帳を紛失してしまうハプニングに陥ってしまった。タオルはいいとしてメモ帳は痛いなぁ。仕方なく花畑駅前のローソンで2つとも購入。ついでにミネラル麦茶も購入。懐かしい味わいに喉が喜ぶ。
花畑駅から南久留米方面に真っ直ぐ伸びる道路に沿って10分以上歩いたところに3店目の目的店『清陽軒』を発見。駐車場完備の大きな店舗だ。『大砲ラーメン』創業者の兄の店で昭和27年創業したが4年前に閉店してしまった。それが昨年5月に復活したというのでいいタイミングだと思い行ってみる事にした。入口だけはレトロな感じの大きな店舗。昔の丼や創業の話などが書いてあるボードなどが置かれていてプチラー博状態。店内は広く席数も多すぎて判らない40席くらいあるのではないか?店員も多い。ファミレスのようだ。但し内装はレトロ感覚で創業当時のモノクロ写真が展示されている。口頭で注文。注文書を卓上に置いて行った。
『屋台仕込みラーメン(ハリガネ)』 480円
筆頭メニューを注文。今までの2杯とは明らかに違う味。妙に白いスープ。 麺は中細だがスープに濃厚度はそれほどなく、細切りのきくらげも相まって、首都圏で食べる博多ラーメンの味そっくりで、これは何だかがっかりだ。選択ミスだったかな。屋台仕込みとかすっぴんとかのメニューも大砲ラーメンの真似だし、大型資本がその屋号を買い取って経営しているような印象を受けてしまい正直テンションが下がってしまった。
また暑い中駅までの道を歩いて戻った。次の店は花畑駅に併設されている昭和41年創業の老舗有名店『大龍ラーメン』花畑本店だ。久留米の久の字に濁点を付けて「ぐるめ」と読ませているところが残念な感じ。厨房は奥にあり見えないが男の店員1人、女の店員3人。コの字型カウンターが10席と8席。6人がけテーブル席2卓。内装も喫茶店のようで老舗本店のオーラはゼロ。先客7人後客1人。口頭で注文。
『並ラーメン』 500円
『清陽軒』の後だけに久留米に帰って来た感じ。豚骨濃度は感じる。しかしちょっとだけ味が不自然に濃い感じ。化調使用って露骨に判る。麺は中細ストレートでいたって普通。具は薬味ネギ、メンマ数本、海苔1枚、チャーシュー3枚。着飾らない、ラーメンにこだわりのない一般の人が食べに来るような店。悪い店ではないけどね。サービス券もくれるし、庶民派ラーメンチェーンだ。
さて再び西鉄に乗り久留米方面に戻って筑後川を越えたすぐのところにある宮の陣という駅で下車する。150円。駅前はマンションがあるベッドタウンのようだが特に店があるわけではない。15分弱歩いて国道3号線を出てしばらく行くと黄色い看板の老朽化した長屋を発見。昭和33年創業以来呼び戻し式でスープを作り続ける24時間営業の老舗店『丸星中華そばセンター』だ。早速入店。入口に券売機2台。そこには撮影禁止の注意書き有り。入口近くにはおでんが煮られてセルフで持っていくようだ。店内は町の食堂然とした感じで老舗のオーラがある。店内も広くテーブル席のみのようだ。店員も皆いい歳をしたおばちゃんばかり。
隙を見てラーメン撮影。プラスチックの丼もこの店らしくていい。何て言ってもこの値段。しかも味わいは『沖食堂』ににて実にまろやか。やや油多めかな。麺は中細ストレート。薬味ネギ、海苔1枚、小さな肉片のような薄いチャーシュー3枚。この値段で十分な内容だった。久留米ラーメンの最後のトリがこの店で良かった。
また暑い中駅への道を歩く。快晴だったのに向こうの方から黒雲が近づいているのが見えた。夕立があるかもしれない。電車で一度西鉄久留米に戻ってそこから特急で30分ほどで西鉄福岡駅に到着出来た。600円也。天神まで歩いて地下鉄に乗りひと駅目、赤坂で下車し、とりあえず宿に直行した。とにかく汗まみれなので冷たいシャワーを浴びたかったし、荷物を下ろし身軽になりたかった。休憩が必要だ。熱中症一歩手前という状態だった。
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