巻割味噌
狂った旅の計画も力技で立て直す事が出来た。しかし今回の食べ歩きの難所は実はこれから行く店なのだった。平成の大併合により2007年に新潟市に編入されたばかりの旧巻町にある「割りスープ付き味噌ラーメン」発祥の店『こまどり』だ。巻系ともいわれる。この店の最寄駅は信越本線巻駅なのだが、問題は店が駅からかなり離れた場所にあるのだ。本来の計画であればここでタクシー使用もやむなしかと思っていた。ところが「えちごツーデーパス」という2日間県内の電車は乗り放題という2500円のチケットを宮内駅で購入していたので、その説明書を読んでいたら、このパスを持っていれば各駅に設置してあるレンタサイクルが無料で借りられ、その貸出対象駅に巻駅も含まれていた。これは予想外の棚ボタラッキーだ。自転車を借りて行く事に決定。ようやく今回の旅に光明が見え始めた。4時頃巻駅に到着し改札を出てレンタサイクルの貸出場所を探したが見つからない。かなり太った窓口の駅員に聞くと裏口で待っているように言われた。紙に住所氏名を書かされ「貸出時間は午後6時までです」と念を押された。あと2時間弱だもんなぁ。とにかく自転車でレッツゴーだ。夕闇せまる右も左もわからない田舎町で自転車を漕いていると不思議な気分になる。方向を間違えたら目も当てられない結果になるので線路の位置から方向を割りだし国道を思い切って迷わず進んだ。思ったより遠くなかなか店が現れない。本当にこの道で良かったのかと一瞬不安がよぎる。田んぼの中の一本道をひたすら走ると店の看板を発見。駅を出発して自転車で15分、無事到着だ。目の前には砂利が敷かれた広い駐車場が完備されている。店は一見長屋のようで店内も広く一列9席のカウンター席、8人がけ座敷席が5卓並ぶ。厨房も手前と奥で分かれていて店員が総勢何人いるか判らない。とりあえず手前には男の店員5人と女の子店員2人。先客10人後客5人。口頭で注文。BGVは相撲中継だった。
色々な味噌ラーメンがあったが迷わず基本の味噌を注文。やっぱり割スープ付きだ。まず一口。確かに味噌のしょっぱさは通常よりやや強めに感じるが、思ったよりすんなり飲めるレベル。正直割スープの出番はほとんど無かった。赤味噌の味がちょっと強いかな。麺は太麺ストレート。キャベツ、もやし、きくらげ等の炒め野菜と少しの挽肉が入っている。もやしがやたら長くて印象的だった。でも当初想像したほど個性は感じない普通の味噌ラーメンだった。遠くまで遥々来た割には肩すかしな印象が残ってしまった。
まだ4時台というのにこの暗さは何だというのだ。心細くなりながら急いで駅まで自転車を漕ぐ。だいたい5時ちょっと前に駅に到着し自転車を返す。今回の旅、最大の難関と思われていた店をクリアしちょっとホッとした。
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