京都本店
本日は個人休日。問答無用の休暇だ。そんな時今までは都内の土日祝の店をチマチマ行っていたが、今回は何とはるばる新幹線に乗って京都へ大遠征する事を試みた。今までも鹿児島や尾道でラーメンを食べに行った事はあるが、あの時は旅行自体が主目的。今回初めてラーメン食べ歩きが主目的で関東地方以外に遠征する事にしてしまったのだ。とうとうそこまでマニアになってしまったかと自分でも何だか気が引ける。でもここはキッパリと心を切り替え楽しんでこようと早朝出発!生憎の雨でかなり寒いのでズボン下も装着し完全防寒のスタイルで6時前に家を出た。新横浜からのぞみに乗車。京都には朝9時前に到着してしまった。幸いにも雨は降っていないようだが灰色の雲でどんよりと空が覆われていた。何故こんな朝から京都に乗り込んだかというと、今日の目的店の中の2店は早朝から営業し、しかも京都駅のすぐ近くにあるというのだ。これはとても助かる。いくら遠征しても昼前オープンの店ばかりだったら胃袋をクールダウンする時間もなく、よって時間と金をかけて出向いたとしてもそれほど店は廻れない事になってしまう。目的地を京都に選んだのは正にそこだったのだ。
改札を抜け早速駅の脇の道を進んだのだが…全然ラーメン屋らしきものがない。ありそうな気配もない。これはまたやっちまったなー!駅の出口を間違えた為に正反対の方向に進んでいたようだ。これではせっかく早く来た意味が半減するではないか!急いで駅の反対側に出ようとするが京都駅というのは意外と大きく一苦労。そして駅前のホテルの裏の路地を進み国道に出たところでようやく赤い看板を掲げる店に辿り着いた。京都で一番歴史があるとされ、京都ラーメンの筆頭として必ず揚げられる『新福菜館』だ。有名になって全国のテーマパークとかに呼ばれたりしているので結構支店もあるようだ。我もセンター北モザイクモール店で以前食べた。独特の味と雰囲気があるラーメンでなかなか美味しかった記憶がある。とうとうその本店に突入。と勇んでみたものの入ってみたらいたって普通の町の中華料理屋の雰囲気。カウンターは3席のみで4人がけテーブル席が5卓くらい。厨房には黒いシャツを着た男の店員2人と女の子店員が1人。美人じゃないけど素朴な感じの看板娘と常連客らしい2人と世間話に花を咲かせている状況。先客も4人程度…と思ったら2階席もあったようだ。少なくとも1階の雰囲気はそんな感じ。
中華そば専門店 新福菜館 本店 『中華そば(小)』 500円
連食の為小を選択。これも食べ歩きには嬉しいメニューだ。小だからもちろん丼も小さめだが、こげ茶色のスープが溢れんばかりに入っている。麺は中細ストレートで小麦の粘度を感じる。具は刻んだ九条葱、もやし、豚肉の薄切りが数枚。その色に反して醤油のショッパさは無くむしろ出汁の甘みを感じサラリとしている。だからとても食べやすい。九条葱のシャキシャキ感と薄切り豚肉の食感のバランスも見事。見た目も強烈で個性的でなおかつ美味しい。ご当地ラーメンはこうでないと!何故同じラーメンでありながらこうも違う進化を遂げたのか不思議だなーとつくづく思った。場所はもうわかったし、何かの機会で京都に来る事があったら是非再訪したいと思う。店を出るとき「おおきにぃ」と言われると、遠征してんだなぁと実感されてそれも心地よい。
一旦駅に戻り本屋で安い観光ガイド本を買ってから駅前のバスターミナルへ。銀閣寺前までバスで移動する事にした。タイミングよく出発寸前でバスに乗れた。20分ほどで銀閣寺道というバス停で下車。バス停から小川を挟んですぐのところに赤いテント屋根の店を発見。それが『新福菜館』と共に京都の代表する老舗『ますたに』の本店だった。こちらも支店がある。我も銀座にある『ますたにラーメン』に入店した事があるが、あちらは直系ではないようだ。日本橋本店なんて名乗っているし。朝10時過ぎだがもう営業している。こじんまりした店で入口は厨房がある為狭く奥がやや広い構造。店の様子はこちらもいたって普通の中華料理店。L字カウンター席10席と奥にテーブル席が何卓かあった。厨房には男の店員2人とおばちゃん3人。総出で葱を刻んでいた。飾らない庶民的な雰囲気。こんな時間なのにカウンター席はほとんど埋まっていたが何とか座れた。口頭で注文。
中華そばの店 ますたに 今出川店 『ラーメン 並』 600円
『新福菜館』が京都濃口醤油系と言われるのに対して、こちらは京都こってり醤油系。全国展開している『よってこや』なんかもこちらの系統。背脂チャッチャ系だが東京より歴史が古いとされ、辛味がピリッとあるのが特徴的。麺は柔らかめに茹でられた細麺ストレート。具はきざみ九条葱とメンマ、豚肉の薄切り数枚。背脂の甘みと唐辛子の辛さのバランスが独特だ。
店を出た後時計をみるとまだ10時40分くらい。その時点で既に2連食を済ませてしまった。ここでちょっとお腹をクールダウンさせる意味もあり、せっかくここに来たのなら銀閣寺も見ておこうと参道の坂道を登った。入口で拝観料を払い中に入ると何と銀閣寺自体が修繕中で鉄骨で覆われていた。これでは意味が無いではないか。侘びさびはあまりわからないけど有名な庭園を見られた事でよしとしよう。
ふたたび参道を下り白川通りをずっと北上する。次の目的店は全国展開して有名な『天下一品』総本店だ。固定ファンが多く存在するほど影響力のある店だ。確かに最初食べた時は鶏と野菜から作ったドロドロスープには驚かされた。チェーン店とはいえ京都のラーメン店では外すわけにはいかない個性を持った一杯だし、ネット上でも「総本店と他の店では味が違う」と評判だったからだ。今年の我のテーマ、本店巡りにも一致する。場所は一乗寺と銀閣寺からだと1.5kmほど離れているが腹ごなしにはいいだろう。歩いているうちに段々と暑くなってきた。途中で見つけたゲームセンターのトイレに入りズボン下を脱いだ。これで少しは楽になった。だいたい20分くらい歩いただろうか?電飾で光るおなじみの看板を発見。普通の『天下一品』という感じで総本店というオーラは全く感じない。とりあえず入店。一列のカウンター15席と4人がけテーブル席3卓。イメージキャラクターのベッキーのポスターがいっぱい貼られているし内装も普通のチェーン店と一緒。冊子のメニューも一緒だろう。ちょうど昼時だったのでほぼ満席だったが待たずに座れた。口頭で注文。
中華そば 天下一品 総本店 『こってりラーメン(普通麺)』 600円
看板メニューであるこってりをにんにく抜きで注文。麺は細麺と普通麺からの選択。具はきざみ九条葱、メンマ、チャーシュー。我は過去『天下一品』には2回くらいしか行った事がない。別に嫌いなからではなくチェーン店だからいつでも食べれると思って候補から外しているだけだけど。だから普通のチェーン店と総本店と何が違うか判らなかった。但しスープの量は普通のラーメン並にあったな。確か蒲田で食べた時は油そばかと思うほどスープが少なかった。それと「箸が立つほどドロドロのスープ」と言われていたので試して見たがやっぱり立つわけがなかった。
さらに15分ほど歩いて一乗寺の駅まで歩く。叡山(えいざん)電鉄という都電のような2両編成の電車で終点の出町柳という駅まで乗った。昼過ぎの時点でラーメン3店舗クリア。さすがに少し時間を空けようと、とりあえず京都の中心部まで戻ってきたのだが何の観光の予定も考えていなかった。地図を見た時に京都御苑が大きく目立っていたのでとりあえず行ってみた。明治になり東京に移るまで長い間天皇の住いであった場所だ。砂利が敷き詰められ広々としていたが別に建物の中に入れるわけではなく、ただの散歩となった。長い塀の周りを中学生がマラソンをしていた。ああ我もマラソンとかやらされてたなぁ、あれは横腹が痛くなるんだよななどと思いながらその様子を見ていた。雨も降り始めてきたので京都御苑を後にして街の中心部へ。街のようすは所々昔の長屋のような歴史を感じさせる建物があるものの、全体的にはいたって普通の都市だ。ローソンやマクドナルドが景観を壊さぬよう茶色の地味な看板に変えているのが興味深かったが、ビルの谷間でそれをやっても焼け石に水だし、隣のパチンコ屋とかがド派手な看板を掲げているので、その気持ちは素晴らしいが現実問題全く意味がない。法的に厳しく規制して街ぐるみでやらないと効果がない。効果が無いことやってもしょうがない。世界の古都なんだからもうちょっと何とかして欲しいものだ。京都御苑が何も無かったが歴史的興味を刺激されたので京都文化博物館というところに入ってみた。入場料500円。久しぶりに博物館というものに入ったな。京都の歴史は安土桃山時代までは日本の歴史そのもの。そこそこ面白く見れた。
でもこれでは全然京都に来た感じがしない。銀閣寺も修繕中だった事もあり、ならば金閣寺でリベンジ?をする事にした。また京都御苑の方に戻りバスを待ち乗る。20分以上もかかった。到着すると雨はあがって日が差し込んできたが既に時刻は夕方4時を過ぎていた。5時で閉まってしまうので結構危なかった。拝観料500円を払い中に入ると写真で何度も見たそのままの姿が目の前に現れて軽い感動。ザ・京都というシンボリックなものが見れて満足出来た。結構いい時間になったので急いでバス停に戻る。京都駅まで戻るわけだが、これが30分以上かかった。
京都駅バスターミナルに戻り朝行ったホテルの裏の路地へ急行。今日最後の目的の店は『新福菜館』に並んで営業している共に老舗の『第一旭』本店だ。赤い看板の『新福菜館』に対してこちらは黄色い看板でコントラストも面白い。朝5時から深夜2時まで営業と『新福菜館』以上に頑張っている。こちらも有名でいくつか支店はあるけど関東では聞かない。『神戸ラーメン第一旭』というのが明大前にあったがあれは全然関係ないらしい。ともかく入店。こちらも『新福菜館』と全く一緒で昔ながらの普通の中華料理屋っぽい。男の店員ばかりで3人くらいいたかな。接客係もおっちゃんだ。8割くらいの席は埋まっていた。口頭で注文。
『ミニラーメン(麺かたいめ)』 500円
4連食めなのでこちらでもミニを注文。麺かためがこちらの言い方だと「かたいめ」なのが面白い。麺は中太ストレート。具はきざみ九条葱、もやし、薄切りチャーシューと『新福菜館』と酷似しているけどスープが全く違う。どちらかというとこちらの方がアッサリして東京正油ラーメンに近い感じ。4杯目だけど苦も無くあっさり食べられた。
さて本日4杯目とは言え十分間を開けたのに何故『第一旭』でミニラーメンを頼んだか。本当の理由は間髪入れずにまた『新福菜館』に入店する為だ。いやもうラーメンは5杯目はない。『第一旭』で本日終了。だけど『新福菜館』のヤキメシが妙に気になってしまって食べたかったのだ。ヤキメシを京都弁でいうとイントネーションが変わっていいな。朝とはうって変わって大繁盛の様子。外で行列があったようだが一気に入店出来て我は全く待たずに座れた。今度はカウンター席。厨房がすぐ近くなので調理の様子を見ていたが手さばきが見事だ。接客もいい感じ。口頭で注文。
この真っ黒な色はラーメンの出汁をそのまま使ったのではないか。ラーメン同様見かけに反してアッサリしている。でもいい味してるな。ほど良い油分、ほど良いパラパラ感。サジでがっついて食べた。今日の締めに相応しい。満足した。
京都の店は皆独特で有名店でありながら全然気取ったところがなく普通に存在しているのが凄いな。またラーメン主体で行ってしまう可能性大だ。
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