厚木雨行
昨夜からの雨は日が昇っても雨脚をそのままに連休初日を迎えても降り続けた。最近の暖かい日が嘘のように寒い。三寒四温というやつか。それでも遠征には出かける事にした。このところ県内の食べ歩きになかなか気が乗らない。交通機関があまり整備されていない片田舎に行先や時間もはっきりしないバスを使って行く。それ自体は楽しい事だと思うし後で思い出になるとわかっているのだが、かなり効率が悪く面倒くさい。どうしても交通の便のいい都内の有名店に行ってしまう事になる。やはり最近疲れが蓄積しているからだろう。だから今日のような無茶していい日は雨でも出かけるのだ。横浜から相鉄線で終点海老名まで出て小田急で本厚木へ。今日の目的は『なると商店』。あまりマスコミには取り上げられないが結構な有名店として知られる。そして厚木といってもはるか山奥の方に店がある。レンタカーを借りて行く計画を立てたくらいだ。結局は雨の日にバスで向かう事になるとは。駅から3分くらい歩いたところにバスセンターがある。しかし一体どのバスに乗ったらいいのか判らなくなった。事前に調べたバスの時刻表を見ると平日朝晩しか運行していないのだ。とにかくそのバスと同じバス停に止まったバスに乗って運転手に直接聞いてみると目的のバス停に止まるとの事。ホッとしたけどバスって本当に判りづらい。いつ止まるかも知れないバス停を聞き逃さない為に延々とアナウンスに耳を傾けなくてはならなかったし。結局目的のバス停まで約30分ほどかかった。でもここは以前来た事がある。3年前になるのかな。友達の伝で紹介してもらい面接しに来た会社があるのだ。まさかまたここに来る事になろうとは。ともかく目的の店は情報どおりバス停の真ん前にあった。3階建てのビルの1F店舗の一角にある。引き戸を開けると木造家屋を思わせる造りの店内。入口に券売機。コの字カウンターにいくつかのテーブル席。壁にはホーローの看板などが飾られレトロ感を演出している。厨房には若い男の店員二人。先客6人後客5人。
せっかく来たんだしチャーシューメンとか頼んじゃおうかと誘惑にかられたが、ここは筆頭基本のメニューだと思い注文。食券機では正油ラーメン表記だったが出てきた食券は支那そば表記だった。魚介ダシがじんわりと効いている醤油スープは本当に美味しい。喉越しの良いストレート細麺。具は薬味ネギ、ナルト、メンマ、ナルト、チャーシュー1枚、海苔1枚。チャーシューは脂身の多い味が甘めなもので美味しかった。スープ、麺、具、総合的に美味しかった。それで500円。文句なしの完食。
店を出て道路を渡って反対側のバス停に移動するとすぐバスが来た。オプションなどを頼んでいたら30分以上雨の中待たなくてはならないところだった。運が良かった。また30分かけてバスセンターに戻る。ここから駅には戻らず線路沿いに相模川方面に歩く。すると昨年末行った『麺や食堂』に突き当たる。その道路を挟んで対面に新店が出来ていた事はその昨年末に発見していた。こここそが秋葉原の『らーめん祭』の前身の店、『賓むら』だ。秋葉原の店が別の店名でリニューアルされる以前にこの店が出来ていたので移転とは微妙に異なる。白を基調にしたピカピカの店構え。ガラスの引き戸を開けるとおばさんとおばあさんが二人並んでいてお辞儀をされて迎えられびっくりした。前客ゼロだったからのようだ。食券機で券を購入した。テーブル席主体だが隅にカウンター席があったのでそこに座る。厨房は奥にありそこに店主が一人でラーメンを作っているようだった。接客は良く満点マークを出したいくらい。壁には厚木駅周辺の昔の写真がいくつか飾られていた。後客3人家族。
醤油が筆頭だったがオススメは塩との事だったので塩を注文。小さな丼で登場。綺麗に盛り付けられている。じんわりダシが効いた優しい味の塩だ。むしろ甘みを感じるくらい。美味しい。麺もちぢれ細麺でスープに良く合っている。具は薬味ネギ、白髭ネギ、ほうれん草、メンマ、ナルト、巻きバラチャーシュー。半分に割られた味玉は黄身トロリで味が染みている。『なると商店』といい、今日はオーソドックスながらハイレベルな一杯に当たる日だ。我の中での塩ラーメンランキングに上位に食い込む美味さだ。しみじみと美味しさが伝わってくる。文句なしの完食!
結局雨は1日中降り続け晩には強風が吹いた。
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